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キラキラネームに否定的ですか? 名付けの流行に隠された笑えない社会の闇

LIMO / 2019年4月14日 19時45分

キラキラネームに否定的ですか? 名付けの流行に隠された笑えない社会の闇

キラキラネームに否定的ですか? 名付けの流行に隠された笑えない社会の闇

親から子どもへの最初のプレゼントである名前。字面や音感、漢字の意味、画数など、様々な条件をもとに考案された名前の中には、家族以外の人が初見で読むことができないものが少なくありません。

中でも特に個性的な名前は「キラキラネーム」と呼ばれ、近年インターネットユーザーを中心に批判の対象となるケースが見受けられます。誰が言い始めたか定かではありませんが、「光宙」で「ピカチュウ」、「黄熊」で「プウ」という子もいる……といった都市伝説のような話も。

キラキラネームをバッシングする側の言い分としては、「子どもが成長した後の不都合を考えていない」「学校や病院などの公的な場所で読み手を混乱させる」といった声が聞かれます。

昨今では、漢字の読み方を創作した名前が増えており、「キラキラネーム」と「普通の名前」を線引きするのが非常に難しくなっているのですが、子ども自身が「自分の名前が他の子の名前と違う」と感じる時期はいつごろなのでしょうか。

「自分の名前がキラキラネームかも」と気づいた時期

ベビー用品を販売するミキハウスが子どものいる男女と妊娠中の女性、合計5,086人に対して行った調査によれば、自分の名前を「キラキラネーム」だと感じていたのは、わずか45人。

該当した45人が、自分の名前を「キラキラネーム」だと思い始めた時期に関しては、以下のような結果になっています。

【キラキラネームだと思い始めた時期】
幼少期~未就学期・・・11.1%
小学1~3年生・・・17.8%
小学4~6年生・・・11.1%
中学生・・・13.3%
高校生(または相当の年齢)・・・0%
18歳以降・・・24.4%
覚えていない・・・22.2%

(/mwimgs/a/8/-/img_a82029b994235a501fa1ee1661b9a3a333879.png)

拡大する(/mwimgs/a/8/-/img_a82029b994235a501fa1ee1661b9a3a333879.png)

自分の名前を頻繁に書くようになる小学校1~3年生や、家庭から自立して自分の人生を歩み始める18歳以降に自分の名前が「キラキラネーム」だと思い始める人が多いようです。

気づいたきっかけとしては、人からからかわれたり、正しい読み方をされたことがないことなどがあがっています。

名づけには「社会の欠乏感が表れる」との見解も

同調査は、子育て中の男女、妊娠中の女性に対して行われたものですが、「キラキラネーム」に対し、「とても好意的」「やや好意的」「好意的でも批判的でもない」と、抵抗感のないママ・パパは48.4%と半数近くにのぼっていました。

一方、10万人以上の名づけ相談を受けた実績をもつ専門家の著書『子供の名前が危ない』では、子の名づけに隠された社会的な背景がわかりやすく考察されています。

1つめは、名前のトレンドには、社会の欠乏感が反映されやすいという点。

勝てない戦争をしていた時代には「勝利」「勇」といった名前、戦後の食糧難の時代には「茂」「実」といった豊作を連想させる名前、高度経済成長期によって家族が空洞化し始めた80年代には「愛」という名前が流行したといいます。

その上で、現代のキラキラネームの流行は、リスクを避けるために先回りされ、選択肢を与えられる社会になったことで、日本人に「自分が何者で、何をしたいのか実感できない」という空虚な感覚が生まれていることのあらわれでは……と著者は警鐘を鳴らしています。

もう1点は、名づけには親が無意識に抱えている「無力感」「欠乏感」「孤独感」が表れる「こともある」という点。

奇しくも、昨年から今年にかけて、東京都目黒区や千葉県野田市で、親からの虐待で命を落とした少女の名前には、いずれも「愛」が含まれていました。

先日発表された理化学研究の調査結果によれば、子供を虐待したとして有罪判決を受けた親ら25人のうち、72%に当たる18人が自身の子供時代に虐待を受けていたといいます。

たった25人の例で「虐待が連鎖する」と結論づけるのは早急ですし、全ての名づけが親の欠乏感を表すものではないにせよ、虐待児の親たちが自分の子ども時代に欠乏していたものを子どもに与えたいという意思表示を曲がりなりにもしていたのかもしれない……と仮定すると、胸が痛みます。

誰かの名前を「キラキラネーム」だと感じたとき、脊髄反射のように非難することで、一見自由に見える社会でありながら、自分が歩む道を自由に決めることが難しい社会に拍車をかけている可能性もあります。

キラキラネームは生活する上で何らかの不都合がある点は否めませんが、名前に対する偏見で子どもを傷つけることのないような社会であってほしいものです。

【参考】
『子供の名前が危ない(https://www.amazon.co.jp/gp/product/4584123578/ref=as_li_qf_asin_il_tl?ie=UTF8&tag=navipla-22&creative=1211&linkCode=as2&creativeASIN=4584123578&linkId=cc190a6baf7716d213bcd6a9bd806d20)』(牧野恭仁雄著、ベスト新書 2012年)
『キラキラネーム」はもはや普通?平成最後の名づけ調査でわかったママ・パパの名づけ事情(https://baby.mikihouse.co.jp/information/post-11344.html?readmore=1)』(ミキハウス)

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