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「ガリガリ君」の25年ぶり値上げから3年、アイスクリーム市場はどうなった?

LIMO / 2019年5月3日 20時15分

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「ガリガリ君」の25年ぶり値上げから3年、アイスクリーム市場はどうなった?

意外に知られてない?「アイスクリームの日」

毎年5月9日は「アイスクリームの日」です。

日本アイスクリーム協会のホームページによれば、「アイスクリームの一層の消費拡大を願って、東京オリンピック開催年(1964年)に、アイスクリームのシーズンインとなる連休明けの5月9日に記念事業を開催し、あわせて諸施設へアイスクリームのプレゼントをしました。以降、毎年5月9日を“アイスクリームの日”として、この日を中心に各地区で各種イベントと施設へのアイスクリームのプレゼントを実施しています。」となっています。

業界が旗振り役となって制定した数多くある記念日の1つのようですが、ネットで検索した限りでは、各種イベントはなかなかの盛り上がりを見せているようです。確かに、“アイスクリームが大好きだ”という人は珍しくありませんが、“アイスクリームが嫌いだ”という人は非常に少ないような気がします。

ところで現在、日本のアイスクリーム市場はどのような状況にあるのでしょうか?

結論から言うと、アイスクリーム市場(注1)は安定した成長が続いています。2008年度に3,845億円だった市場は、9年後の2017年度には5,114億円に拡大しました。この間における年間平均成長率は+3.2%ですから、急成長とは言えませんが、食品市場の中では安定的に伸びていると見ていいでしょう。

注1:アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、氷菓の合計販売金額ベースです。

アイスクリームの売れ行きが悪かった年は?

さて、アイスクリームというと、その売れ行きが夏の気候に左右されるイメージが強いと推察されます。確かに、年間を通してみれば7~8月が最需要期であり、実際、記録的な猛暑となった2010年は前年比+6.6%増と高い伸びを示しています。夏季気候に左右されるのは間違いありません。

一方で、この10年間で前年割れとなったのが、リーマン・ショックの影響が直撃した2009年と、東日本大震災が起きた2011年の2回だけだったことから、景気変動の波を受けていることも分かります。やはり、個人消費動向に依存するところが大きいのでしょう。

また、消費増税が実施された2014年にも伸び率がごくわずかに止まっていることも、それを証明する形となっています。

それにしても、アイスクリームを好むと考えられる子供の人口減少や、いわゆる“ダイエットブーム”などを勘案すると、アイスクリーム市場が年平均+3%以上伸びているのは、少なからず違和感があります。前掲の市場データをもう少し詳しく見てみましょう。

日本アイスクリーム協会は、販売金額の他に、販売物量(キロリットル)も公表しています。その販売物量は、直近9年間(2008年~2017年)の平均成長率が+1.2%増に止まっています。つまり、販売物量が+1%強の増加に対して、販売金額が+3%強の増加を示したのですから、単純に考えるとアイスクリームの単価上昇が見て取れます。

“プチ高級化”と言ったら言い過ぎなのでしょうか?

好採算が続くアイスクリーム事業の懸念材料は?

単価上昇で思い出されるのが、ロングセラー商品である赤城乳業のアイスキャンデー「ガリガリ君」が、2016年4月に25年ぶりの値上げとなったニュースです。それまでの販売価格60円を70円に引き上げるものでしたが、10円の値上げとはいえ、値上げ率にすれば+17%と大きなものでした。

今から3年前には大きなニュースとなりましたが、それ以降も、輸入に頼らざるを得ない原材料価格の高騰などにより、アイスクリームの値上げが数多く見られているのです。また、国内における一部の乳製品不足も一因と考えられます。こうした値上げが、結果的に販売価格上昇に繋がっていることは否定できません。

今年10月には再び消費増税の実施が予定されています。相次ぐ値上げが、アイスクリーム市場の安定成長に歯止めをかける懸念は残ったままと言えそうです。

最後に、アイスクリーム事業を展開する企業の採算性を見てみましょう。最大手のロッテを含めて非上場企業が多いこと、上場企業でも「アイスクリーム」の利益率を開示しているケースが少ないことなどから、採算性を一概に判断することは困難です。

しかし、大手の一角である江崎グリコ(2206)の決算情報を見ると、アイスクリーム事業(注:事業名表記は「氷菓」)の営業利益率が開示されています。それによると、当該事業の2018年3月期の利益率は6.9%となり、主力の菓子事業の7.8%に次ぐ高い収益性となっています。

ただし、その前年度(2017年3月期)の9.1%からは悪化しました。これは、9.1%がやや出来すぎという面の他に、前述した乳製品を中心とした原材料価格高騰の影響を受け、さらに一部製品のニーズが想定以上に高まって増産コストがかさんだためです。とはいえ、それでも安定した高採算事業であることがわかります。

普段、何気なく食べているアイスクリームですが、こうして見てみると、なかなか奥が深いのかもしれません。しかし、これから暑くなる時期に、おいしく食べられればそれで満足ですね。

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