ゆとり世代の自分探し、「自分らしさ」を追い求めた先にあるものは?
LIMO / 2019年5月5日 21時15分
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ゆとり世代の自分探し、「自分らしさ」を追い求めた先にあるものは?
規範が時に救いになることも
平成が終わり、いよいよ5月1日から令和の時代が始まりました。平成元年生まれで平成の世界だけを生きてきた筆者は、生まれて初めて元号が変わる体験をしています。
筆者と同じ平成の前半に生まれた人たちは、一般的にはゆとり世代に分類されます。小学校や中学校におけるゆとり教育では、答えが決まっている科目の勉強と同じくらい、自分たちで自由に学びたい課題を見つけ、自分たちで解決する総合学習が重視されました。
ゆとり世代は、物心ついた時から大人たちに“個性”を求められ、「自分らしさとは何か」について絶えず考えさせられてきた世代とも言えるのです。
「自分らしさ」=ただ規範に反発することだと思っていた
筆者は平成元年に三姉妹の三女として生まれました。幼い時から、洋服も持ち物も長女と次女のおさがりがほとんどで、自分で好きなものを選択するという体験はあまりしてきませんでした。
そのため、長女と次女が好きなことや興味のあることに反発し、二人とは違う、「自分だけはこれが好き」「私だけが持っているもの」を常に追い求めていました。「二人とかぶらないものは総じて良い」という、歪んだ自己流のルールさえ持っていた気がします。
また思春期の間は女子高に通っていたこともあり、“女性らしさ””女の子っぽく“といったジェンダー規範に強く反発するようになりました。セーラー服を着ていながら剃り込むほど髪の毛を短くし、部活ではサッカー部に入り、他校の男子とボールを競り合う毎日。
そして、学校で常に言われ続けていた「ナンバー1よりオンリー1」。自分らしさ、個性、オリジナリティ、アイデンティティ…。幼い頃から姉たちやジェンダー規範に反発していた筆者は、オンリー1とは「すでに存在する“らしさ”や規範に反発すること」だと思って生きてきました。
女性らしさ、母親らしさ、妻らしさなどの“らしさ”から問答無用で脱却することこそが、自分探しの答えだと思っていたのです。
妻になり、母になり、規範を新たな面で捉えられるように
そんな筆者も結婚し、子どもを出産するとガチガチの「母」規範にどっぷり浸かることになります。夫の仕事関係の人に会えば「〇〇さんの奥さん」と呼ばれ、保育園や小児科では「〇〇くんママ」と呼ばれ…。家でも外でも、世間一般的に想像されるであろう“母らしい”振る舞いや表情を無意識でするようになっていました。
しかし、これまでの人生で規範に反発することだけが自分らしさの正解だとしてきた筆者にとって、子育てはそうした“らしさ”の規範を新たな側面で捉えることができるきっかけになりました。
子育ては常に正解のない瞬間との戦い。一般的に良しとされる方法だけではなく、自分なりのやり方で「自分らしい子育て」をしていかなくてはいけなくなります。
この「自分らしい子育て」というものが、さっぱりわからない。もう一度言いますが、子育てには正解がありません。「自分らしい子育て」以前に、「自分らしくない子育て」が何かもわからないし、そもそも子育てって何?というパラレルワールド状態。ただ単に、規範から脱却すればそれでいい、という単純なものではなかったのです。
そんな折、いったんはどっぷり漬かっていた母らしさ規範の中から、自分らしさが生まれていくことに気付きます。
「子どもにテレビを全く見せないというやり方は、自分がストレスになるから合わない」「誰かに押し付けられる母親らしさは、自分を否定されているように感じるから嫌だ」と、なぜ一般的な規範に反発するのか、その上で自分はどうしていきたいのか、という明確な理由や指針を持てるようになっていきました。
一方で、規範にもたれかかることで答えの出ないモヤモヤから救われることも。筆者は、自分がどんな母親になれば子どもにとっていいことなのか、しばしば悩んでしまいます。
そんな時、世間的に良しとされる「良い母親像」規範から「子どもに愛情をしっかり注ぐ」「子どもを受け入れる」など、シンプルで抽象的な答えを抽出してみると、「これでいいんだよね」と自分の子育てに自信が持て、スッと心が晴れるようになりました。これもまた、自分らしい子育てに対する捉え方だと感じます。
自分らしさは、規範から生み出されることもある
現代は、生き方や働き方、子育てなど、あらゆる場面で個性やその人らしさが重要視されます。自分の個性とは何か。きっとまだ自分も知らない本当の自分がどこかにいる。そう信じて旅をして、見つけられる人もいれば見つけられない人もいるでしょう。また、旅をしなくても、見つけられる人もいれば見つけられない人もいるはず。
そんな探したい自分が見つからない時、性別や立場によるわかりやすい「らしさ」や規範に一度は少し寄りかかってみても、決して悪くはないと思うのです。
筆者の場合の自分らしさとは、「こうあるべき」という規範に疑問を抱き、反発したり、一方で時にはその規範にもたれてみたりしながら生み出されていくものでした。そうやってすでに存在する規範から、自分なりの規範を作っていくことができたら、それで自分探しは十分なのではないでしょうか。
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