就職氷河期世代の苦労は続く?現在の貯蓄額と負債額は
LIMO / 2019年5月8日 19時15分
就職氷河期世代の苦労は続く?現在の貯蓄額と負債額は
今の40代は、かつて就職氷河期を経験した世代でもあります。住宅ローンや子どもの教育資金などの出費が続くなか、介護保険料の支払いもスタート。老後を見据えて貯蓄額を増やしたいものの、負債額も減らしていかなければならない…。そんな就職氷河期世代の現状に迫りました!
就職氷河期を経験した不遇の世代、40代
就職氷河期中に就職活動をすることとなった40代の方のなかには、新卒で正社員として採用されなかったケースも多く存在します。その結果、同世代のなかで「持つもの」と「持たざるもの」の差が大きく広がりました。
また、2017年末に放映されたNHKの『クローズアップ現代+』の「アラフォー・クライシス」では、有効求人倍率がバブル期を超え、各世代で月収が増加している一方で「アラフォー世代(主に40代前半)の給与のみ5年前の水準に比べて約2万円下がっている」とも報じられています
かといって、40代で中小企業から大手企業への転職を狙うのは困難。優秀な人材にもかかわらず、低い給料でやりくりしている人も多いようです。女性においては、結婚や出産で一度退職したのちに正社員雇用を狙うのも難しいでしょう。
派遣社員の人も多いなか、リーマンショック後には派遣切りをされた人も。女性にとって安定して働けない環境も多く、「家計を助けたい」という理想の実現は厳しいのが現状でしょう。
40代の貯蓄・負債現在高とは?
総務省統計局の「家計調査報告[貯蓄・負債編]平成29年(17年)平均結果の概要(二人以上の世帯)」によると、世帯主が40~49歳の世帯の平均貯蓄額は1074万円、平均負債額は1055万円となっています。40代の貯蓄と負債額は同額程度といえそうです。50~59歳の世帯だと、平均貯蓄額は1699万円、平均負債額は617万円と負債額が減って貯蓄しやすくなります。
まだローンなどの支払いが残っていて家計のやりくりが大変かもしれませんが、老後に必要な貯蓄額を把握し早めに貯蓄に取り掛かりましょう。
年代別、金融資産保有額は?
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](18年)(https://www.shiruporuto.jp/public/check/style/yoron/futari/2018/)」から、金融資産保有世帯の年代別金融商品保有額の平均値と中央値をみてみましょう。(カッコ内は平均値)
• 20代の中央値 250万円(370万円)
• 30代の中央値 500万円(810万円)
• 40代の中央値 800万円(1238万円)
• 50代の中央値 1186万円(1828万円)
• 60代の中央値 1500万円(2415万円)
• 70代の中央値 1500万円(2565万円)
ご覧のように、40代から50代・60代にかけて貯蓄額が一気に増えています。教育費などの出費が落ちつき、定年後の生活に備えて貯蓄を増やそうとしている世帯の多さが感じられますね。
なお、先ほどのデータは「金融資産を保有していない世帯を含んでいない」結果です。金融資産を保有しない世帯を含んだ場合の年代別金融商品保有額の平均値と中央値は、以下の通りです。(カッコ内は平均値)
• 20代の中央値 111万円(249万円)
• 30代の中央値 382万円(660万円)
• 40代の中央値 550万円(942万円)
• 50代の中央値 900万円(1481万円)
• 60代の中央値 1000万円(1849万円)
• 70代の中央値 700万円(1780万円)
資料の中では、40代の金融資産非保有率が22.6%だったことに対し、50代は17.4%、60歳代以降は22%という割合も示されています。金融資産を持たない世帯は、全体の約5分の1程度存在することも踏まえておきましょう。
※「金融資産」・・・定期性預金・普通預金等の区分にかかわらず、運用の為または将来に備えて蓄えている部分
まとめ
就職氷河期の影響は、給与水準の低下や派遣切りにあった人の存在など、今もなお続いているようです。とはいえ、老後に向けてそろそろ動きだしておきたい時期でもある40代。安心して定年を迎えるためにも、今のうちから貯蓄を増やしていきましょう。
参考資料:
「アラフォー・クライシス」(クローズアップ現代+)
「家計調査報告[貯蓄・負債編]平成29年(17年)平均結果の概要(二人以上の世帯)」(総務省統計局)
【ご参考】貯蓄とは
総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。
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