「旅をしながら働く」と「地域の医療費削減」を結ぶ〜まちに必要なものをつくるUDS中川社長に聞く

LIMO / 2019年6月13日 21時15分

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「旅をしながら働く」と「地域の医療費削減」を結ぶ〜まちに必要なものをつくるUDS中川社長に聞く

ストックビジネスの本質(第3話)

最近銀座にできた話題の「MUJI HOTEL GINZA」をご存じですか? 無印良品のブランドを冠したこのホテルは、私が尊敬する経営者である中川敬文社長のUDS株式会社が企画・設計・運営・経営しています。

前回(https://limo.media/articles/-/11277)・前々回(https://limo.media/articles/-/11276)に続き、日本で最初にコーポラティブハウスを仕掛け、現在ではホテルの運営までを手がけるようになった同社の中川敬文社長へのインタビューを通して、ストックビジネスのエッセンスをお届けします。

第3話の今回は、医療費削減を目指すまちづくりという新たな挑戦についてお聞きしました。

医療費を削減する「まちづくり」

大竹:ここまで「まちづくり」というコンセプトや中川さんの経営力の源泉についてお聞きしてきました。今後は、どのような分野で事業を推進していきたいと考えていますか?

中川:地方創生に少し関連しますが、現在、1万人規模の町の地域医療と地域包括ケアを具現化させる総合保健福祉センターの企画設計をはじめ、まちのグランドデザインづくりを行なっています。

大竹:医療ですか?

中川:はい。よく地方創生というと地場産業をブランド化して……というようなお話があって、それはそれで意味もありますし、お手伝いしているんですが、それよりも国として40兆円を超える医療費を少しでも削減したほうが、効果が高いのではないか?と最近は感じることが多いです。

大竹:それは、国も地方行政も喜びますね。

中川:そうなんですよ。産業がどうのというのは、もちろん雇用に関わるので大切なんですが、地方自治体にとっては医療費の削減のほうが効果がある。

大竹:確かに……。でも、医療費削減というと「風邪をひいても医者に行かない」みたいなことしか、思いつきませんね。

中川:病気になってからもそうなんですが、この仕事をきっかけに行政の方から学んだのは、予防が大切だということでした。たとえば、ベッドから起き上がって足をつく方向と畳の目が同じだと滑って転びやすいのもその一つですね。

大竹:畳の目の方向ですか!

中川:はい、ベットは畳の目と直角に交わるように置くようすると転倒を防止することができるそうなんです。

大竹:転ばせないようにする。

中川:転ぶと自助能力が下がって病気になったり介護が必要になるそうです。

介護人材を集めるための新しい働き方

大竹:病院も介護も人手不足ですから国としても大きな課題ですね。

中川:介護人員は、これから55万人必要らしいんですが、本当に足りない。この数字って警察官と郵便局員を足した人数ぐらい多いそうです。

大竹:簡単には解決できない数字ですね。

中川:離職率の高い仕事でもあるので大変な数字です。ただ、実際に介護業界の若者に話を聞くと「旅をしながら働きたい」というようなニーズもあって、これには可能性を感じています。

大竹:最近の話題で家を持たずに転々と暮らすというサービスを立ち上げた会社がありましたが、日本でどこまでニーズがあるかなと思っていたのですが「旅をしながら働く」はありですね。イメージがわきます。

中川:介護施設に隣接してゲストハウスを作って、奄美大島から次は北陸の金沢へというように旅をしながら働く感じですね。

大竹:これならば、介護人材が集まりそうですね。

中川:認知症なども、これからは高齢化社会が進んでいくなかで、ある意味社会で当たり前の存在になります。

大竹:そうなるでしょうね。

中川:ですから、認知症も普通であって、街自体を認知症に合わせるように変えていく必要があると思っています。

大竹:実際にそういった事例もあるんですか?

中川:東京町田市に、日本で唯一の認知症の方が働いてお金を貰えるデイサービス「DAYS BLG!」があります。

大竹:お金を払うのではなくて貰える?

中川:はい、隣にある自動車洗車場の仕事を有償で手伝うんですが、これを全国100カ所に広げたいというようなお話もあります。

大竹:海外についてはいかがですか?

中川:北京の「MUJI HOTEL BEIJING」をはじめとして、これからも色々と事業を進めていくと思います。

MUJI HOTEL BEIJING(UDSウェブサイトより)


大竹:他の国はいかがですか?

中川:現在ですと、中国と合わせて韓国でも事業を推進していますが、当然スリランカや東南アジアも視野に考えています。

大竹:社会が必要としているサービスを見つける感性と、それを実現するマネジメント力を兼ね備えた中川敬文社長の活躍を追えば、ビジネスチャンスのヒントがたくさん見えてきますね。これからも目が離せません。

本日は、ありがとうございました。

中川:こちらこそありがとうございました。

まとめ・対談を終えて

フロー事業の会社をストックビジネス主体の会社に転換した事例から学ぶことは非常に多いですが、そんな大きな転換を果たした中川社長に気負いはなく、経営者として課題解決と企業発展を追求した結果という感じでした。

継続的なストックビジネスは作る際に長期的な視点がとても大事です。中川社長はいつも、まちづくりという軸を持ちながら、日本の、地域の、業界のという具合に社会課題を発見する姿勢だからブレずに事業拡大ができたと思います。

クリエイティブはフローな部分が多い一方で企業の活力です。焦らずに年月をかけながらストック事業とバランスをとってきた経営手法こそ見習いたいと思います。

<第1回・第2回の対談はこちら>

古いものを「再定義」して新たな価値を生む〜まちに必要なものをつくるUDS中川社長に聞く(https://limo.media/articles/-/11276)

お客様視点と事業採算性をバランスする経営力〜まちに必要なものをつくるUDS中川社長に聞く(https://limo.media/articles/-/11277)

中川敬文社長の最新著書:『おもてなしデザイン・パターン インバウンド時代を生き抜くための「創造的おもてなし」の心得28(https://www.amazon.co.jp/gp/search/ref=as_li_qf_sp_sr_il_tl?ie=UTF8&tag=navipla-22&keywords=%E3%81%8A%E3%82%82%E3%81%A6%E3%81%AA%E3%81%97%E3%83%87%E3%82%B6%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%91%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%B3%20%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%90%E3%82%A6%E3%83%B3%E3%83%89%E6%99%82%E4%BB%A3%E3%82%92%E7%94%9F%E3%81%8D%E6%8A%9C%E3%81%8F%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E3%80%8C%E5%89%B5%E9%80%A0%E7%9A%84%E3%81%8A%E3%82%82%E3%81%A6%E3%81%AA%E3%81%97%E3%80%8D%E3%81%AE%E5%BF%83%E5%BE%9728&index=aps&camp=247&creative=1211&linkCode=xm2&linkId=6a885e3aa75039052702a13d0a1cdf4e)』(翔泳社)

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