有休取得に罪悪感がある日本人…義務化でどう変わる?
LIMO / 2019年5月28日 18時0分
有休取得に罪悪感がある日本人…義務化でどう変わる?
みなさんは、会社に遠慮することなく有休を取得できますか?上司に言いにくい、よほどのことがない限り取らないというケースも多いのでは。どことなく「有休を取りたい」と堂々と言えない空気が漂う日本。2019年から始まった義務化によって、この流れは変わるのでしょうか。
日本人が抱える、有休に対する「罪悪感」
総合旅行サイト・エクスペディアの日本語サイト「エクスペディア・ジャパン」は、毎年世界19カ国18歳以上の男女計1万1,144人に有給休暇の国際比較調査を行なっています。今回の調査では、日本の有給休暇取得率は50%と3年連続世界最下位の結果に。しかも、ワースト2位のオーストラリアの取得率は70%と、大きな差がある状態での最下位です。
また、「有給休暇を取得することに罪悪感がある」と答えた日本人は59%と、世界で1番高い割合となりました。そのうえ、「自分はより多くの有給休暇をもらう権利がある」と答えた割合は54%と世界で1番低い割合に。日本人がいかに有休を取得しにくい状態にあるかがうかがえます。
有給休暇の取得義務化でどう変わるのか
このような状況を踏まえ、有給休暇の取得率を高めるため2019年4月1日に有給休暇の取得義務化がスタートしました。以前まで働く人の「権利」という位置付けだった有給休暇は、この制度によって有給休暇取得が会社の「義務」になります。
全ての事務所が対象となるため、社長1人と従業員1人の小さな会社や個人事業も対象に。また、対象者は「年次有給休暇を10日付与される人」と定められており、会社に半年以上フルタイムで勤めて8割以上出勤した人は当てはまることになります。入社時に10日の有休を付与する会社の場合は、入社日からの適用です。
対象日数は5日間で、付与日から1年以内に取得します。通常の有給休暇とは異なり、会社が取得日を指定するルール。従っていない会社は罰則を受けるため、強制力のある制度だといえるでしょう。
これまで有休取得をためらっていた方も、制度化したことにより遠慮なく休めるようになるでしょう。最初は会社の指定する日に休む流れでも、いずれは「計画的に仕事を休むこと」が当たり前になる日がくるかもしれませんね。
有給休暇中の給与はどう計算する?
では、有給休暇の給与はどうなるのでしょうか。有給休暇の給与は、労働基準法で以下の3パターンから選択するよう定められています。
1. 所定労働時間働いたものとして支払われる通常の額
2. 平均賃金
3. 標準報酬日額(労使協定で定めた場合のみ)
「所定労働時間」は1日の労働時間を指し、一般的には8時間になっています。「平均賃金」は、直近3か月間の給与の総額を期間中の総日数(暦日数)で割った金額のこと。「標準報酬日額」は、社会保険料の計算に用いられる標準報酬月額を30で割った金額を指します。
3は労使協定という手続きが必要のため、1か2を選択している会社が多いでしょう。そこで、1と2のケースを「月給25万円、月の平均勤務日数が20日、1日の所定労働時間が8時間」という条件で計算してみました。
【所定労働時間の場合】
先ほどの給与を時給に換算すると、「25万円÷20日×8時間=1,562.5円」となり、「1,562.5円×8時間=12,500円」が1日分の有給休暇の給与になります。
【平均賃金の場合】
「残業ゼロ、毎月額面の給与が25万円」とすると、1月、2月、3月で平均賃金は「(25万円+25万円+25万円)÷(31日+28日+31日)=8,334円」となります。この金額が1日当たりの有給休暇の給与です。
2通りの計算の結果、平均賃金のほうが1日当たり約3割も低いことが分かりました。同じ有給休暇でも、計算方法によってはこれだけの差があるのですね。
まとめ
海外に比べ、有休に対して消極的な日本の労働者たち。この状況を変えるには、社会全体が「有休は取得して当たり前」と捉える必要がありそうです。義務化された以上、今後はためらわずに有休を取得していきましょう。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
時間単位の有休日数拡大=デジタル給与で要件緩和―規制改革会議が中間答申
時事通信 / 2024年12月25日 19時12分
-
日本人の有休取得率はどれくらい? 「休める空気がない」と感じている人は多い?
ファイナンシャルフィールド / 2024年12月21日 7時40分
-
ドイツでは「残業がほぼない」って本当ですか?「年間休日数」はどのくらいなのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年12月21日 5時30分
-
扶養内パートで勤務中。月収が「8万8000円」未満の月もある場合「社会保険」には入れない?“加入する・加入しない”ケースを解説
ファイナンシャルフィールド / 2024年12月10日 4時40分
-
大学生の時の友人が「会社の手取りが時給換算で学生時代のバイトとそこまで変わらない」と嘆いていました。実際の所、どれだけの「給料」があれば「アルバイト」より稼げることになるのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年12月3日 9時20分
ランキング
-
112月末まで!今年の「ふるさと納税」注意したい点 定額減税の影響は? 申し込む前に要チェック
東洋経済オンライン / 2024年12月26日 13時0分
-
2焦点:日産との統合、ホンダから漏れる本音 幾重のハードル
ロイター / 2024年12月26日 14時46分
-
3なぜスターバックスの「急激な拡大」は失敗に終わったのか…成長を一直線に目指した企業の末路
プレジデントオンライン / 2024年12月26日 15時15分
-
4「プライドが高い日産」に手を焼くホンダの未来が見える…深刻な経営危機に陥った「国内2位メーカー」の根深い問題
プレジデントオンライン / 2024年12月26日 10時15分
-
5昭和的「日本企業」は人事改革で解体される? 若手社員への配慮と、シニアの活性化が注目される背景
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年12月26日 5時55分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください