インデックス投信への投資を始める前に知っておきたい3つの真実
LIMO / 2019年5月30日 19時0分
インデックス投信への投資を始める前に知っておきたい3つの真実
TOPIXやS&P500というような株価指標のパフォーマンスに連動するように運用するインデックス・ファンド。投資信託の買付手数料も無料である、いわゆる「ノーロード」の商品も多く、投資家にとっては分かりやすい金融商品といえるでしょう。
また、そのインデックス・ファンド(インデックス投信)を活用する方法としてよく取り上げられるつみたて投資。たとえば、毎月一定金額を投資に充てるアプローチが取り上げられ、ドルコスト平均法とともに紹介されます。今回は、そうしたアプローチで気を付けておきたいポイントを整理しておきましょう。
インデックス・ファンドだからといってリスクが小さくなるわけではない
インデックス・ファンドは、市場価格に連動するように運用されている投資信託です。購入手数料や信託報酬などの費用がアクティブ・ファンドと比べて低く、また商品性が分かりやすいため人気があります。
一方で、インデックス・ファンドで資産形成をするにあたって気を付けておくべきは、インデックス・ファンドの性質です。
極めて当たり前の話ではありますが、インデックス・ファンドは市場そのものです。したがって、投資家はそのリスクを裸(ネイキッド)でとっているということになります。
たとえば、TOPIXのインデックス・ファンドであれば、TOPIXのボラティリティ(価格変動)がリスクとなりますし、MSCIコクサイであれば、そのボラティリティがリスクとなります。
こういうと「何を当たり前のことを言っているのだ」という指摘を受けそうですが、インデックス・ファンドだからリスクが低いと勘違いしている人も見受けられますが、それは違います。
そうした資産のリスクを分散するために、株式だけではなく、債券などを組み合わせて資産分散を行います。様々な資産のインデックス・ファンドを組み合わせてリスク分散を行うことも可能です。
しかし、どの資産をどの配分で組み合わせたらよいか、そしてそれぞれのリバランス(再調整)を行えばよいのかといったことを自分で決めるのは難しいという状況もあるでしょう。
バランス型ファンドといって、様々な資産クラスを組み合わせて運用してくれる投資信託もありますが、これはアクティブ投信の範疇であり、信託報酬がインデックス・ファンドを自分で組み合わせて運用するのと比べると高くなるのがネットとなります。もっとも、他人(プロ投資家)に運用を任せるわけですから、仕方がないともいえるでしょう。
つみたて投資の落とし穴とは
つみたて投資でよく言われるアプローチは「ドルコスト平均法」です。
たとえば、毎月同じ金額を同じ投資対象に投資していれば、株価が安い時にはより多くの数量が購入でき、株価が高い時にはより少なく購入しているというものです。
こうすることで、買付における平均株価(簿価)を低く抑えることができます。そのため、投資で利益を出せると勘違いしている人が多いですが、実際はそうとは言い切れません。
これも当たり前の話ですが、時価が簿価を下回れば含み損が発生し、時価が簿価を上回れば含み益が発生します。
ドルコスト平均法を活用している際に、投資対象の株価が下落トレンドであるとすれば、毎回安値で投資ができていても、結果として、買付コストは時価よりも低いことはあり得ます。その際には含み損ということになります。
株式市場では、過去の買付価格よりも安い株価で投資をすることを「難平(ナンピン)買い」といいます。あまりすすめられた投資アプローチではないとされています。
また、株価が上昇トレンドで株を購入し続けることを「買い上がり」といい、これもまた株式市場では、あまり褒められる投資行動でもありません。
つまり、ドルコスト平均法は、「難平買い」と「買い上がり」の両側面を持っているともいえます。これは、頭の片隅に入れておいてもよいでしょう。
ドルコスト平均法は勝つまで続けるゲーム
ここまでドルコスト平均法の特徴を見てきましたが、ドルコスト平均法の実践者は以下のようなリスクを頭に入れておくとよいでしょう。
たとえば、40歳から60歳まで毎月給与の中から一定の金額を積み立てていたとしましょう。60歳に定年退職を迎え、つみたて投資を終了するものとします。
その際に、買付平均株価(簿価)が時価を上回っていれば資産形成はひとまずは成功したといえるでしょう。一方で、簿価が時価を下回っていれば、資産形成の結果は含み損ということになり、残念な結果だったといえるでしょう。
リーマンショック級とは言わないまでも、現役最後の日に株式市場が大暴落をしたとすればどうでしょうか。そこまでの簿価が相当程度低い水準で、暴落後の株価よりもさらに低い簿価であれば問題ないですが、株式市場の株価が暴落することで簿価を下回るような時価となった際には、含み損となってしまいます。
現役時代は「また安く買いつけることができる」という安心感はあるでしょうが、定年後には新規の資金拠出がないとすれば、ここまで見てきたドルコスト平均法の良さの一部を活用できないということになります。
もっとも、新規の資金拠出は終わったとしても、保有している資産の価格が上昇し、簿価を上回れば含み益となるので、その後の状況次第ということになりますが、老後を含み益の状況でスタートするのか、または含み損でスタートするのかは、心理的に大きく異なるといえるでしょう。
こうみると、ドルコスト平均法を上手に活用するためには、時価が簿価を上回るまで続けるという姿勢が必要です。
しかし、もっとも気を付けておくべきは、ドルコスト平均法を実践する投資対象に何を選ぶかという問題です。
長期に資産価格が上がる資産を見出せるのか
ドルコスト平均法という方法論に議論は集中しやすいですが、もっとも議論すべきは、「何に投資をするか」です。
現在では、国際分散投資の考え方が浸透しつつあり、世界株式などに注目されるようになってきていますが、それも「過去、世界株式の株価が長期で見れば堅調に推移してきた」という過去をみているのに過ぎません。
過去そうだったものが、未来も同じとは必ずしも言えません。リーマンショック以降10年近くにわたって、多少の株価の凸凹はこなしながらも堅調に推移してきた資本市場。いまこそ、何に、またどういったアセットクラスに投資をすればよいのか議論があってもいいように思います。
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