「人生再設計第一世代」、ロスジェネの老後資金を考える
LIMO / 2019年6月1日 19時15分
「人生再設計第一世代」、ロスジェネの老後資金を考える
約1700万人存在する、と言われる就職氷河期(ロスジェネ)世代。近年ようやく政府による具体的な支援策が検討され始め、2019年4月には「人生再設計第一世代」と名称変更されたことも話題になっています。この世代も今や40歳前後のミドルエイジ。退職後の生活について考える機会も多くなってきたのではないでしょうか。
非正規雇用が急増した世代のため、若いうちから貯蓄に取り組めなかった人も少なくないでしょう。そこで今回は現在40代になった就職氷河期世代の貯蓄状況や、今後の対策についてご紹介します。
40代の貯蓄・負債の現状は?
就職氷河期世代の定年が「65歳」と仮定すれば、現在40代の人が老後資金を用意する時間はあと20年前後。この20年間にできる貯蓄を考えるにあたり、まずは40代時点での貯蓄額から見ていきましょう。
平均貯蓄額は1012万円
19年5月に総務省統計局が発表した「家計調査報告(貯蓄・負債編)-平成30年(2018年)平均結果-(二人以上の世帯)(https://www.stat.go.jp/data/sav/sokuhou/nen/index.html)」によれば、全体の貯蓄現在高の平均は1752万円(貯蓄保有世帯の中央値は1036万円)。
一方、40代の2人以上世帯の貯蓄現在高の平均は1012万円。全体平均の6割弱程度にとどまっていることが分かります。
負債額平均は1105万円
さらに同調査では、「40代世帯のうち65.4%が負債を抱えている」という事実も明らかに。世代別の負債現在高の平均値は、トップである40歳未満世帯(1248万円)に続き、40代の2人以上世帯(1105万円)もかなりの負債額があることがわかります。
40代が始めたい貯蓄方法
子どもの教育費や住宅ローンの返済など、大きな出費がかさみやすい40代。ハイペースで貯蓄を増やしていくのが難しい時期と言えますが、残りの20年前後で老後に向けての資産をできるだけ増やすには、どのような方法が有効なのでしょうか。具体的な貯蓄方法をご紹介します。
「先取り貯金」をする
まずは最もベーシックな方法から。貯金専用口座を作り、一定の金額を給与口座から毎月、移動させる方法です。ポイントは、給料日の時点ですぐに移動させておくこと。使いすぎを防げます。銀行の自動振替サービスを利用すれば、手間なく貯金することも可能です。
「iDeCo」を利用する
「自分でつくる年金」として利用者が増えているiDeCo。毎月決まった額を掛け金に、定期預金、投資信託、信託商品、保険商品などを組み合わせて自身で運用していく方法です。節税効果が得られることに加え、原則60歳まで引き出せないため、「老後生活のための資金」として貯められるのも大きなメリットです。
「長期分散投資」を行う
預金金利や年金に期待できない時代、株式や投資信託は有効な資産形成方法です。リスクやリターンの程度は商品によって千差万別ですが、できるだけリスクを減らしたい方はグローバル資産などに分散投資をし、長い目で運用していくのもひとつ。安定的なキャッシュフローを好む方は、債券などもおすすめです。
「つみたてNISA」を利用する
投資未経験の方は、始めやすい「つみたてNISA」も検討してみては。「年間40万円」「20年間」を上限に株式投資信託やETFを積み立てていく制度ですが、期間内に受け取る普通分配金や配当、解約時の利益が非課税になるため、節税効果が高いのも魅力です。
「生命保険」に加入する
所得控除枠を活用できるという点では、「生命保険」も資産形成法のひとつ。現在でも88.7%の世帯が加入しており、長年多くの人に利用されてきた方法です。疾病や学資保険だけでなく、シニアライフに向けた個人年金保険など貯蓄性の高い商品もあるので、検討してみるといいでしょう。
まだ40代! 貯蓄できる期間を有効活用しよう
「もう40代」などと感じる瞬間も出てくる年齢ですが、資産形成で考えれば「まだ40代」。老後までの時間が十分に残っている世代だからこそ、時間と頭を有効に使って、できる限りの貯蓄に取り組んでおきたいところ。安心して老後を迎えられる状態を目指していきましょう。
【参考】
「平成30年度 生命保険に関する全国実態調査(速報版)」生命保険文化センター
【ご参考】貯蓄とは
総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。
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