残業手当はどれくらいあがる?残業は何時間まで?働き方改革をわかりやすく解説
LIMO / 2019年6月19日 19時45分
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残業手当はどれくらいあがる?残業は何時間まで?働き方改革をわかりやすく解説
働き方改革とは、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」が2018年6月に成立し本格始動し始めた政府主導のプロジェクトです。
19年4月から企業に向けて施行され、様々な企業に大きな影響を与えています。しかし、働き方改革によって「何が変わるのか?」という点においては十分に世間に浸透しているとは言えません。
そこで、本記事では「働き方改革によってどのように変化するのか」を分かりやすく解説します。
働き方改革で何がしたいの?目的は?
働き方改革は、以下で紹介する3要素を是正・実現することが主な目的です。働き改革の目指すこのゴールを「柱」と表現し、一つ一つご説明していきます。
働き方改革の柱①長時間労働の是正
働き方改革がまず目指すのが、長時間労働の是正です。日本は「労働時間が長い国」として、世界的に知られています。その影響で、過労死などの深刻な問題に発展しました。独立行政法人 労働政策研究・研修機構の「データブック国際労働比較2018(https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/databook/2018/documents/Databook2018.pdf)」によると、日本の長時間労働者(週49時間以上)の割合は20.1%となっています。
同じ先進国であるイギリスは12.2%、フランスは10.5%であることから考えると、圧倒的な数値であることがわかります。
このような状況を改善するため、政府は労働基準法を大幅に見直し改善。「残業時間は月45時間まで」というルールを定めました。
さらに、残業割増賃金率いわゆる「残業手当」の割合を50%まで引き上げ、労働時間の状況を客観的に把握できるよう企業に義務付けます(1カ月に60時間を超える法定時間外労働が対象)。
現状では大企業のみが対象となっていますが、20年4月からは中小企業もこの法律が適用される予定です。
働き方改革の柱②雇用待遇による格差の改善
これは、「正社員と非正社員(アルバイト、派遣社員など)の格差を無くそう」という試みです。
様々な改善策がありますが、目玉と言えるのは「同一労働同一賃金の実効性を確保する法制度とガイドラインの整備」でしょう。
噛み砕いて説明すると「正社員と非正社員間の給料や手当の差を縮める」ための試みと言えます。
例えば、しっかりと成果を挙げているのにも関わらずアルバイトであるという理由で基本給が上らないといったケース。
あるいは、「非正社員には交通費が出ない」といったルールがあったり、役職があるのに手当が無いといったケース。
このような不合理な格差が、働き方改革によって変わるかもしれないということです。この取り組みが浸透すれば、アルバイトにも正社員と同じようにボーナスが支給されるといったこともありえます。
働き方改革の柱③柔軟な働き方ができる社会を実現
「柔軟な働き方」とは、「個人の事情や生活スタイルに合わせた働き方」ということです。
日本では月~金の週5日に会社に出勤し、9~17時の最低8時間は勤務するという働き方が常識となっており、それに合わせられない人間は不利になる傾向がありました。
そういった現状を改善するために、まず「フレックスタイム制」を働き方改革で拡充しています。
フレックスタイム制とは、簡単にいってしまえば「月あたりの勤務時間を自由に調節できる」という制度で、以前から採用している企業はありました。
これを働き方改革で拡充し、以前は1カ月単位での調整であったフレックスタイムが、「3カ月単位」になったのです。
例えば、「6月に2泊3日で旅行に行くから、5月に3日分多く働いておく」といったような調整も可能になるということです。
その他にも「雇用型テレワークの推進」にも力を入れています。雇用型テレワークとは、自宅で働く正社員のようなものです。
正社員と同じ給与・待遇を受けながら自宅で働けるようになれば、子育てや介護などで出勤できない方への負担が軽減するでしょう。
上記のような取り組みの目指すところは、これまでの「仕事に生活を合わせる」という常識を変え、「生活に仕事を合わせる」というスタイルを定着させることと言えます。
また、高齢化社会に向けて高齢者の雇用促進も併せて取り組んでいるようです。厚生労働省のアンケートによると、60歳以上の人のおよそ60%以上が「65歳を超えても働きたい」と考えていることがわかっています。
このような要望に応えるべく、65歳をアンダーラインとしている企業が多い定年退職の引き上げ、高齢者の就労マッチング支援などを行なっています。
まとめ
働き方改革による試みは、多くの法律や制度の見直・改善を実行しており、賛成する意見もあれば否定する意見もあります。
しかし、日本の労働環境の問題が深刻であることは事実であり、改善しなければならないのは間違いありません。
このプロジェクトによって、日本の労働環境は大きく変わることとなるでしょう。社会に生きる人々はその変化を受け入れ、一人一人が労働への考え方を見直すことが重要となります。
【参考資料】
『平成28年版厚生労働白書―人口高齢化を乗り越える社会モデルを考える―』厚生労働省
【ご参考】
中小企業とは・・・中小企業基本法では、中小企業者の範囲と小規模企業者の定義を下記のように定めています。
中小企業者
1. 製造業、建設業、運輸業その他の業種(2~4を除く)
資本金の額または出資の総額が3億円以下、常時使用する従業員の数が300人以下のいずれかを満たす
2. 卸売業
資本金の額または出資の総額が1億円以下、常時使用する従業員の数が100人以下のいずれかを満たす
3. サービス業
資本金の額または出資の総額が5000万円以下、常時使用する従業員の数が100人以下のいずれかを満たす
4. 小売業
資本金の額または出資の総額が5000万円以下、常時使用する従業員の数が50人以下のいずれかを満たす
小規模企業者
1. 製造業、建設業、運輸業その他の業種(2~4を除く)
常時使用する従業員の数20人以下
2. 卸売業
常時使用する従業員の数5人以下
3. サービス業
常時使用する従業員の数5人以下
4. 小売業
常時使用する従業員の数5人以下
『中小企業の定義について』中小企業庁
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