「年金プラス2000万円」? 6000万円じゃなかったっけ?老後資金として貯めたい金額を徹底解説!
LIMO / 2019年6月18日 19時15分

「年金プラス2000万円」? 6000万円じゃなかったっけ?老後資金として貯めたい金額を徹底解説!
95歳まで生きるには年金に加え、夫婦でプラス2000万円の蓄えが必要——。2019年6月3日に金融庁・金融審議会がまとめた報告書の内容が、大きな議論を巻き起こしている現在。私たちの老後資金は、本当に2000万円を用意しておけば安心なのでしょうか。
そこで今回は、老後資金として必要な金額について改めて検討してみました。貯金は大体の目標額を決めておいたほうが、計画的に取り組みやすいです。効果的な貯金の方法もあわせてチェックしておきましょう。
60~95歳までの老後の生活資金はどのくらい必要?
まずは、老後の生活資金を見積もってみましょう。一般的に、老後の生活資金の目安は「現役時代(退職直前)の生活費の7割」といわれています。
仮に現役時代の生活費が月36万円程度とすれば、老後の夫婦2人の生活費は月25万円。そうなると、60歳から年金を受け取れる65歳までの5年間分の生活資金は[25万円×12カ月×5年間=1500万円]かかることになります。
さらに、65歳から支給される年金の金額を考えていきましょう。厚生労働省が公表(※)しているモデル世帯(夫は平均賃金で40年勤務、妻はその間専業主婦)の場合、2019年度の標準的な厚生年金額は月22万1504円となっています。
1カ月の生活費を25万円とすると、毎月の不足分は3万円。85歳まで生きた場合、65歳以降の20年間で[3万円×12カ月×20年間=720万円]が必要に。さらに95歳まで長生きすると仮定した場合、[3万円×12カ月×20年間=1080万円]が必要になります。
つまり、85歳まで生きた場合は「60~65歳までの1500万円」と65歳以降の不足分を合わせた2220万円、95歳まで生きた場合は2580万円が、年金以外で賄う必要がある金額となります。
ただし、旅行や冠婚葬祭に関わる費用も含めると、さらに多くの支出が発生する可能性も。今の年金制度がずっと続くとも言い切れないため、できるだけ多くの貯金をしておいたほうが安心だと言えるでしょう。
2200〜2580万円と聞くと、金融庁の資産額とそう大きくは違わない印象ですが、上記はあくまで勤続40年間の場合の資産。雇用形態が複雑化し、また雇用自体も流動化している今、上記のように十分な額の厚生年金を受け取れない家庭も増加していると予想されます。厚生年金にあまり期待できない方は、さらに多くの貯金をしておく必要があるでしょう。
老後をエンジョイしたいなら「6000万円」は必要
また、上述の数字を見て、「あれ?老後資金は6000万円必要だと聞いたことがあるぞ」と感じた人もいるかもしれません。
この2つの目安金額の違いは、「ゆとりある老後生活費を踏まえているか」という点にあります。老後は現役時代よりも自由な時間が増えるため、お金を使う機会が多くなる可能性が大。特に60代は身体も元気な人が多く、趣味や旅行、身内や友人との付き合い、家族形骸が変わることによる新居やリフォーム費用など、さまざまなお金がかかることも予想されます。
生命保険文化センターの「平成28年度 生活保障に関する調査(http://www.jili.or.jp/research/report/pdf/h28hosho.pdf)」によると、ゆとりある老後を贈るために、老後の最低日常生活費に加えて必要な上乗せ額は、月額平均が12万8000円といわれています。
つまり、「老後の最低日常生活費」である22万円とあわせると、月額34万9000円が必要に。60歳で退職し、夫婦で90歳まで生きたとすると、30年間に必要な生活費は「34万9000円 × 12カ月 × 30年 = 1億2564万円」となります。
そこから支給される年金額を差し引くと、6000万円以上が必要になってくるというわけです。「老後は趣味や旅行などを思いきり楽しみたい!」と考えている方は、これを基準にお金を備えておくと安心でしょう。
効果的な老後資金の貯め方は?
老後資金を貯めるための方法は複数ありますが、今回おすすめしたいのは「積立定期預金で時間をかけて貯める」もしくは「会社の財形年金貯蓄を利用する」という方法です。
積立定期預金は、自分が設定した額を毎月自動で貯金用口座に振り替えてもらえるシステム。どんな雇用形態でもできる貯蓄方法ですし、必要となれば、理由を問わず途中解約も可能です。
企業に属している人は、「財形年金貯蓄」もぜひ検討してみてください。給料から自動で天引きしてもらえる上、貯蓄残高550万円までは利子などに税金がかかりません。ただし、年金以外で払い出す場合、過去5年間の利子に課税が行われるので、その点はご注意ください。
まとめ
たくさんの自由な時間が手に入る老後生活。自分の好きなことを思いっきり楽しみたい、というのは多くの人の願いではないでしょうか。「やりたいことはたくさんあるのにお金がない!」なんて状況に陥らないためにも、ゆとりある老後資金を貯めておきたいもの。退職直前になって慌てずに済むよう、早いうちからコツコツと取り組んでおくのがおすすめです。
【参考】
『平成31年度の年金額改定についてお知らせします』厚生労働省
【ご参考】貯蓄とは
総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。
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