就活は実力主義になる?加速する内定の早期化と問題点
LIMO / 2019年6月21日 18時30分
![就活は実力主義になる?加速する内定の早期化と問題点](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushin1/toushin1_11721_0-small.jpg)
就活は実力主義になる?加速する内定の早期化と問題点
経団連が提唱している就活ルールでは、3月に採用情報が解禁、6月から選考をスタートするよう定められています。しかし、このルールは経団連に加盟している企業にのみ適応されるものであり、もはや形骸化しているといっても過言ではありません。
今年の6月1日、正式に選考解禁となったものの、5月末時点ですでに6割以上の学生が内定を保持している状況であり、多くの企業が内定の前倒しをしていることが読み取れます。
この記事では加速する内定の早期化の実態と、どのような問題を引き起こしているのかを解説していきます。
なぜ内定が早期化されるのか
経団連が推奨する就職活動時期のみをみてみると、年々後ろ倒しとなっています。3年前の2017年卒から情報解禁が3月、選考開始が6月に定められました。就職活動のための業界・企業研究の時間や、学業に支障をきたさないよう配慮されたためです。
これまで大手企業の採用が終盤となってから、中小企業は採用活動に力を入れていました。しかし、採用難が続いていることから、いかに学生と早期接触を図るかに注力する企業が急増しています。従来とは逆転し、中小企業が採用の先手を打つようになりました。
また、大学3年生時に開催されるサマーインターンシップでは、水面下で採用に直結することも多々あります。インターンシップは早期内定を獲得するためには、もはや参加必須となっているのが現状です。インターンシップの参加期間を含めると、実質1年以上前から就職活動に向けて動き出している学生がいることは明らかでしょう。
外資系企業やITベンチャー企業は早期採用・内定がとくに多い
経団連が掲げるルールに縛られない外資系企業は、元々現地の採用スケジュールに合わせて動いているため、前倒しせざるを得ない状況でもあります。
それに加え、近年早期採用に力を入れているのがITベンチャー企業です。多くのITベンチャー企業は、外資系企業と同じく経団連に加入していないため、採用スケジュールにのっとる必要がありません。より企業を成長させるためにも優秀な人材を確保するためにも、大手企業よりも早期採用に取りかかっています。内定辞退を見越した上で内定を早期化していることが考えられるでしょう。
内定の早期化による問題点とは
内定の早期化だけを見ると、あまり大きな問題に感じないかもしれません。しかし多くの学生が大学3年生時にインターンシップの選考・参加から、大手の選考が解禁される大学4年生時の6月まで約1年もの時間を就職活動に費やすことになります。就職活動が長引き、学業に専念するどころか疎かになる可能性が高いでしょう。
また、上記でも述べたように5月末時点での内定率は6割以上。しかし、6月以降も就職活動を継続する学生は全体の7割にものぼります。採用スケジュールが統一されていないため、学生はすべての選考を終えられず、自身の内定先を決めきれないという問題が発生しています。
企業側も内定を出したとしても、決して安心できるとはいえません。大手企業の選考結果によっては、内定辞退も大いにありえます。反対に、就活ルールを守っている経団連加入企業にとっても、優秀な人材がフライングで引き抜かれている現状は苛立たしいものでしょう。
21年卒以降は現状の就活ルールが白紙となる
形骸化している就活ルールに終止符を打ち立てたのは経団連です。21卒以降は採用選考に関する指針を定めないことが決定されています。これにより、採用情報や選考開始の日程も白紙となります。現状の就活ルールが適応されるのは、現在の大学4年生(20年卒)までです。
今後の新たなルールは政府主導で、経済界と大学を交えて議論されることになります。混乱を生まないよう今までどおり3月に情報解禁、6月に選考開始の流れが維持される見通しです。
これまでの就活ルールではインターンシップは就業体験であり、採用に直結することを避けるようにいわれてきました。しかし、今後は経団連加入企業もよりインターンシップでの早期選考を行う可能性が高いことは否めません。今まで以上に内定の早期化、就活時期の長期化が問題視されることになるでしょう。
通年採用でより実力が重視される未来も近い
短期決戦であった就職活動が長期化され、通年採用が一般化される未来はもうすぐそこまできています。インターンシップの参加もほとんど必須となるでしょう。
通年採用により企業と学生の相互理解が深まり、入社後のギャップを減らすことができ、離職率低下にもつながるでしょう。さらに学生側はスケジュール調整が緩やかになるため、吟味して企業を選ぶことができます。
ただし、今までのようにポテンシャルよりも実力で判断されることが格段に増えることは間違いありません。学業に励むのはもちろん、社会で通用するスキルを何かしら極めておくことがこれからの就職活動には欠かせないでしょう。
【参考】
『2020年卒マイナビ大学生就職内定率調査』㈱マイナビ
『定例記者会見における中西会長発言要旨』一般社団法人 日本経済団体連合会
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