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日本はだんだん不幸になっている!? 世界幸福度報告2019に見る日本社会の姿

LIMO / 2019年7月2日 20時20分

日本はだんだん不幸になっている!? 世界幸福度報告2019に見る日本社会の姿

日本はだんだん不幸になっている!? 世界幸福度報告2019に見る日本社会の姿

「世界幸福度報告」(World Happiness Report)というレポートをご存じでしょうか。このレポートは、国連の“持続可能開発ソリューションネットワーク”というチームが2012年から作成しているもので、足掛け8年目のレポートが今年3月にリリースされました(全文はこちらから(https://worldhappiness.report/)ダウンロード可)。

日本はモノに溢れ、そこそこというよりもかなり住みやすい幸福な国と感じている方がほとんどだと思います。筆者もそう思っていますし、たとえいくら他国の幸福度が高かろうと、そこに移住する気なんてさらさらありません。中国やアジア諸国の台頭もあり、日本の経済的地位は相対的に下がってきていますが、日本の幸福度は他国を凌駕しているはずです。余裕綽々でこのレポートを見ていきましょう。

日本の幸福度ランキングは世界156カ国中58位

いきなりショッキングなデータです。このレポートを読む前までは、日本の幸福度は世界ランキング20位前後、良ければベスト10に入っているかなと楽観していたのですが、期待は全く外れてしまいました。

図表1:世界幸福度報告2019・OECD(経済協力開発機構)加盟国の幸福度ランキング

(/mwimgs/1/8/-/img_186fa7e4c3c56ac18975eaeb8715e2f8252938.jpg)

拡大する(/mwimgs/1/8/-/img_186fa7e4c3c56ac18975eaeb8715e2f8252938.jpg)

注:「The World Happiness Report 2019」より筆者作成


全体では世界156カ国中58位、OECD加盟国36カ国中32位です。なんとお隣の韓国よりも幸福度が劣るという結果になっています。先日サッカーの南米選手権(コパ・アメリカ)で、日本はチリに0 - 4で一蹴されてしまいましたが、チリの幸福度は世界26位です。幸福度でもチリに一蹴されてしまいました。

一体どうなっているのでしょう。

ランキングはこのような観点で算出されている

でも心配することはありません。たかがランキング、たかが数字です。それより中身が重要なんだ!と言いたい読者のためにランキングの算出方法を見ていきましょう。

幸福度ランキングは次の8項目を点数化して総合的に算出されています。基本的にはイエス/ノーの二者択一の答えから集計されて計算されています。

(1) プラス効果: 毎日楽しく過ごしているかどうか。
(2) マイナス効果: 毎日心配して過ごしているのか。
(3) 社会的支援: 困った時に周りに助けてくれる人がいるかどうか。
(4) 自由度: 人生の選択肢が自由かどうか。
(5) 汚職度: 社会や企業に汚職が蔓延しているかどうか(ランクが高いほど汚職は少ない)。
(6) 寛容度: 寄付をしているかどうか。
(7) 1人当たりGDP: 世界銀行による同値。
(8) 健康寿命: 世界保健機構による同値。

たとえば、幸福度ランク世界第1位のフィンランドの各項目順位はこのようになります。

(1)プラス効果: 41位
(2)マイナス効果: 10位
(3)社会的支援: 2位
(4)自由度: 5位
(5)汚職度: 4位
(6)寛容度: 47位
(7)1人当たりGDP: 22位
(8)健康寿命: 27位

一方、58位の日本の各項目順位はこのようになります。

(1)プラス効果: 73位
(2)マイナス効果: 14位
(3)社会的支援: 50位
(4)自由度: 64位
(5)汚職度: 39位
(6)寛容度: 92位
(7)1人当たりGDP: 24位
(8)健康寿命: 2位

フィンランドと日本を比べてみると、日本はこんなイメージになるでしょうか。

===
日本では毎日プラス思考で過ごしている人が少なく、マイナス思考に陥る人が多い。いざとなっても周りに頼れる人は少ない一方で、社会の仕組みがやや窮屈で、汚職もそれなりに発生し、積極的に寄付をする人は少ない。ただし、個人は平均以上に稼いでおり、健康面も問題なくみんな長生きしている。
===

どうでしょう、当たらずとも遠からじといったところでしょうか。

年々下がっている日本の幸福度ランキング

個人的にはこのレポートの結果に一喜一憂する必要はないと思ってますが、日本の幸福度ランキングは年々下がってきています。

2012年度は44位、2013年度は43位、2015年度は46位、2016年度は53位、2017年度は51位、2018年度は54位(156カ国中)となって、世界160カ国近い中で40位台から50位台後半に後退してきています。

ランキングの低下要因が何かははっきりとはわかりませんが、2013年度と比べると順位が下がっていることもさることながら、配点も6.064ポイントから2019年度は5.886ポイントに低下しています。6.064ポイントというのは2019年度で見ればルーマニア(48位)かキプロス(49位)あたりですので、日本のランキングが落ちたというより、他国の幸福度が上がってポイントも上がり日本が置いてけぼりを食った形になります。

こうしてみると、中進国や後進国の幸福度ランキングが意外と上位に位置しているのは、国の幸福度は経済的尺度だけで測れるものではなく、社会全体の仕組みが人にやさしいかどうかで決まってくるのではないかと推察されます。

決して1人当たりGDPが高くはない中南米のコスタリカ(2019年幸福度12位)、メキシコ(同23位)、チリ(同26位)、グアテマラ(同27位)、パナマ(同31位)などが日本により上位にいるのは、社会が世知辛くなく、食べるものは十分にあり、毎日の生活や食事にはなんとか困らないからでしょう。それぞれの国の食料自給率(穀物自給率/農水省データ2013年)を見ると、コスタリカは16%と日本の28%より低いものの、メキシコ69%、チリ64%、グアテマラ56%、パナマ35%と、この5カ国の平均値は48%と日本の倍近くあり、少なくとも毎日のコメやパン等で困ることはなさそうです。

また、これらの国々はおしなべてユートピア指数(自国はそれほど悪くはないと思う度)が日本より高いというデータが報告書の中にあり、そのため幸福度は相対的に高いと思われます。

他山の石としたいですね。

(注)本コラムは筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織や企業の見解ではありません。また、内容をより簡単にご理解いただくため、細部を要略する場合がありますのでご了承ください。

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