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フェイスブックの参入で再注目! 仮想通貨に手を出す前に理解しておくこと

LIMO / 2019年7月8日 20時20分

フェイスブックの参入で再注目! 仮想通貨に手を出す前に理解しておくこと

フェイスブックの参入で再注目! 仮想通貨に手を出す前に理解しておくこと

仮想通貨の代表格であるビットコインの価格が、1ビットコイン=100万円台を回復してきたり(直近は乱高下気味ですが…)、SNSの代表格であるフェイスブックが自社の仮想通貨であるLibraの発行を表明したりと、何かと仮想通貨が再注目されています。

こうした仮想通貨を使うかどうか、また投資するかどうかは別にして、理解しておかなければならないことが何点かあります。本日のコラムでは通貨の本質を通じて、仮想通貨の理解を進めていきましょう。

お金をお金たるものにしているのは?

日常何気なく使っているお金ですが、日本では円がお金として使われています。お金は通貨とも言います。でも、このお金、なぜ1万円は1万円として使えるのでしょう。

1万円札をよく見ると、「日本銀行券」となっています。すなわち、日本銀行(日銀)自らが発行するお札としてその価値を保証しているのです。日銀は日本政府の銀行なので、結局その1万円は政府がその価値を保証しています。言い換えると、政府の信用力=通貨の信用力となります。

ですので、アフリカや中南米某国のように政府の信用がなくなると通貨の価値は失われ、ハイパーインフレになり、政府が転覆すると後継政府はデノミ(通貨単位の変更)をするか通貨を代えるかで急場をしのぐわけです。こんな時は旧紙幣を抱えていてもしょうがないので、一般人はモノに交換しておきます。

幸いにして、日本は終戦の混乱期以降はそのようなことが一回もないわけで、円は世界でも最も価値が保証されている通貨の一つとなっています。

繰り返しますが、通貨の信用力は政府の信用力あってこそです。

楽天ポイントやTポイントも“仮想通貨”だが・・・

ここで、仮想通貨とは政府の信用力で担保されていない通貨の総称として定義しましょう。すなわち、通貨と同様に使うことができるが、政府や日銀が関与していないポイントや疑似通貨、ビットコインなども一様に仮想通貨とします。

図表1:法定通貨と仮想通貨の違い

(/mwimgs/1/8/-/img_18608cad7f449833fd4068cd2db3c61a96465.jpg)

拡大する(/mwimgs/1/8/-/img_18608cad7f449833fd4068cd2db3c61a96465.jpg)


たとえば、楽天ポイントやTポイントなどのポイントは、現金の代わりに使うことができるものの、その使用権限は発行会社が管理しています。つまり、ポイントを発行するのも使わせるのもその会社次第です。

仮に読者の方が10,000ポイント持っているとすると、何もなければ1万円分のサービスや支払いを受けられるわけですが、ある日突然「今日からポイントでのご利用は中止させていただきます」といわれても文句は言えません。

また、1万円札は他人に譲ることはできますが、ポイントは原則本人でないと使えませんよね。銀行に行って、楽天ポイントのバーコードを差し出して10,000ポイントを1万円札に換えてくれとお願いしても、決して替えてくれません。

したがって、いくら便利でお得なポイントも、結局はその企業の信用力次第です。資本力のある会社はガバガバとポイントを出せますが、そうではない会社は出せません。ユーザーの立場から考えると、ポイント発行会社の財務力はいつ悪化するのか分からないので、ポイントは早めに使った方がいいということになります(笑)。

ビットコイン、Libraとは何者か

詳細は省きますが、ビットコインは発行上限額が定められているとされる有限の仮想通貨で、発行体は不在ながらコンピューター上のピア(ユーザー)によって、暗号データで作成される電子マネーです。

ビットコインは国家が信用を与えているわけではなく、保有者がビットコインを信用しているという本源的な信用力にのみ依存している通貨です。ビットコインは誰でも現存の通貨と交換所を通じて交換可能ですので、通貨当局が管理をしない、ある意味民主的な通貨と言えるでしょう。

少なくとも、ビットコイン保有者が1ビットコイン=120万円だと信じていれば、その価値があるのです(もちろん、対円とか対米ドルとかでは常時価格が動いているので、価値があるといっても相対的な価値ではあります)。

一方、最近出てきたLibra(リブラ)は、フェイスブックが傘下の別会社に発行させる疑似仮想通貨のようです。この別会社には決済大手(たとえば、ビザ、マスターカード、ペイパルなど)が資本出資し、その資本をベースにLibraを発行するようですので、法定通貨や国債などを裏付けとした「法定通貨本位制仮想通貨」のようなものになりそうです。

なぜわざわざこんな屋上屋の仮想通貨を流通させようとさせるのか、狙いは今一つ不明ですが、おそらくLibraを使わせることによって自社グループ経済圏を作り、その中で支払いも受け取りもLibraで完結させて何らかの手数料を取る狙いなのかな、と想像します。

Libraは英語ではてんびん座という意味になりますが、Libraはビットコインよりも、個別企業の商魂のたくましさを裏付けにした人工通貨で、フェイスブックはこの仮想通貨の成功を天秤にかけているといったところですね(笑)。

今後は法定通貨と仮想通貨が混在

結局、正式な法定通貨と仮想通貨を分けるものは絶対的な信用力の差ですが、筆者は今後、この信用力差がかなり薄まって、双方自在に使われるようになってくると考えています。

ユーザーの立場からすれば、たとえば買い物をしてポイントがたくさん付与されれば実利が得られ、その有効性に大きな疑念は抱きません。ビットコインがポイントと同様に使われるためには、投資対象以上のメリットや利便性・簡易性が必要でしょう。Libraが流通するためには、支払時や受取時に現金やクレジットカード以上のメリットがないと拡大しないでしょう。

ただし、通貨に対する信用力は普段そんなに意識することはないので、スイカやパスモなどの電子マネーのように流通が上手く行けば、ひょっとして第三の通貨として使われる存在になっていくのかもしれません。

リーマンショック以降、各国中銀はゼロ金利政策を採用して、金利を思いっきり下げてきました。しかしながらここにきて、金融政策の正常化を行おうにも米国でさえ利上げには四苦八苦しています。

私見になりますが、金融引き締めへの転換がなかなかできないのは政治的な理由もありますが、各国の中央銀行がコントロールできる通貨に加え、ポイント等を含む仮想通貨がじわじわと実体経済に浸食し、すでに中央銀行が全体の通貨量を完全にはコントロールできないからではないのかと疑っています。

最後は少々難しい話になりましたが、読者のみなさまは仮想通貨やブロックチェーンといった流行語に振り回されるのではなく、通貨の本質的意味をよく理解して、法定通貨もポイントも、はたまた仮想通貨も賢明に使いこなしていただきたいと思う今日この頃です。

(注)本コラムは筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織や企業の見解ではありません。また、内容をより簡単にご理解いただくため、細部を要略する場合がありますのでご了承ください。

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