「そんなあなたは母親失格」…正論では決してママを救えない
LIMO / 2019年7月8日 10時45分
![「そんなあなたは母親失格」…正論では決してママを救えない](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushin1/toushin1_12020_0-small.jpg)
「そんなあなたは母親失格」…正論では決してママを救えない
毎日の子育ては、幸せを感じる瞬間ももちろんありますが、それ以上に「しんどいなぁ」「大変だなぁ」と思ってしまうことが多いもの。どうしてもイライラしてしまったり、自分で自分を責めて落ち込んでしまったりすることがあります。
しかし、どれだけしんどくても、どれだけ落ち込んでいても周囲の人々に頼れない…というママがたくさんいます。それはなぜか?周囲の人々の「正論」が、ますますママを追い詰めてしまうからです。
■私は悪い母親なの?
思い通りに動けない、次から次へとやらなければいけないことがある…心も身体も疲れて、出口の見えないトンネルに迷い込んだような気持ちになってしまう子育て期間。
「こんなにイライラしてしまうのは私だけ?」「どうして子どもに優しくできないんだろう」と思って誰かに相談してみると、「そんな気持ちでいるなんて赤ちゃんが可哀想」「もっと大変な人もたくさんいるのに…それって甘えじゃないのかな?」
たまには子どもを誰かに預けてお酒を飲みに行きたい、オシャレをしてショッピングを楽しみたい、大人だけで旅行に行きたい…とこぼすと「私、子育て中にそんなこと考えたこともなかったよ。子どもがママの帰りを待ちわびて泣いているところを想像したら、ひとりで出かけたいなんて思ったりしないと思う」「子どもを放っておいて自分だけ遊びたいなんて…自己中心的で精神年齢が未熟すぎる」「そんなことを考えるより、親子で楽しめることを考える方がよっぽどみんなが幸せになれるんじゃない?」
ほんの少し自分の気持ちを正直に話しただけで、ここぞと言わんばかりに「正論」で責めてくる人の多いこと。逃げ場のない理論で責められて、「自分が悪いんだろうな」「私は母親失格なんだろうな…」とますます自己嫌悪に陥ってしまった…という経験をしたことがある方もいるのではないでしょうか。
確かにおっしゃることはごもっとも。反論の余地もありません。しかし、ふと思う。「正論」を振りかざす人たちの目的は?母親に目を醒まして欲しいから?ちゃんと責任感を持ってほしいから?自覚をうながすため?
どれもしっくりこないと思いませんか。それもそのはず、そこにママたちを救ってあげよう、という思いはみじんも見受けられないからです。
■「正論」はママたちの救いにはならない
また、正論は決してママたちの有益なアドバイスになることはありません。なぜなら、世の中のほとんどのお母さんは、その正論の内容はよく理解し、「そうしなければならない、こうあるべきだ」と思っているからです。
大人の都合で「早くしなさい!」と言ってはいけない、それは百も承知。でも早く帰って夕ご飯の準備をしなきゃ、間に合わない、あぁ、洗濯ものも干しっぱなしだ…と心の中で「あれもしなきゃ、これもしなきゃ」と思っているのに、子どもが道草をしてなかなか歩いてくれない。
早くしないとバスに乗り遅れる、でも子どもがなかなか玄関口で靴を履いてくれない…。そんなときには思わず「早くしなさい!」と声を荒げてしまうこともある。子どもの寝顔を見ながら「あのとき、あんな風に急かさなくてもよかったな」と反省。
そこに追い打ちをかける正論。「早くしろ、なんて親の都合。そうならないようにもっと時間に余裕を持つべきでしょう」そんなことはわかっているんです。わかっているから反省して、自己嫌悪に陥っているんです。
誰だって自分の理想とする母親像があって、その現実のギャップに悩み苦しむもの。そこに正論を振りかざして、ますます母親を追い詰めて、逃げ場をなくして…いったい誰が得をするのでしょうか?
「もっと大変な人もいる」「昔の人はもっと大変だった」「仕事をしている人だって大変」それもごもっとも。しかし、今辛いな、しんどいな、と感じているのは他でもない自分自身。ほんの少し弱音を吐くことも許されないのでしょうか。
苦しみ、悩んでいるママに「正論」という石を投げることで溜飲を下げて、いったい誰の得になるのでしょう。
■大丈夫、あなたは素敵なお母さんです
毎日試行錯誤して、真剣に子どもと向き合っているママを追い詰める正論。周囲の人の正論を真正面から受け止めてしまうと、ますます自己嫌悪に陥ってしまい、「自分は母親失格なんだ」と自分で自分を責めてしまいかねません。
悩むのも、落ち込むのも、上手くいかずにイライラするのも子どもを愛しているからこそ。そのことをきちんとわかってくれる人は世の中にたくさんいます。いたずらに正論に振り回されることなく、自分と子どもを信じていればそれでOKだと、筆者は思うのです。
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