初心者ママ・パパの休暇とお金事情〜ニュージーランドの育児補助金・休暇制度
LIMO / 2019年7月16日 21時15分
初心者ママ・パパの休暇とお金事情〜ニュージーランドの育児補助金・休暇制度
倹約生活も悪くない?
子どもが生まれて家族が増えるのはうれしいことです。その一方で赤ちゃんとはいえ、新たに1人が加わった生活はカップル2人きりの時とはいろいろな面で違ってくるもの。特に産後や育児に伴う休暇や、支給される補助金は気になるところです。
ニュージーランドのカップルもそれは同じ。ほかの先進国と比べて有給育児休暇制度が整っているとは言えないので、なおさらです。しかし実際、制度上与えられた枠組みの中で、工夫を凝らし、シンプルな生活を送ってみるとそう悪くないもの。新しい家族としての価値観が生まれるきっかけにもなり得ます。
子どもを主に面倒見る親の休みは22週間
ニュージーランドで子どもが生まれた時に与えられる休暇には、「プライマリー・ケアラー・リーブ(主たる保育者のための休暇)」と、「パートナーズ・リーブ(パートナーのための休暇)」があります。
これは「マタニティー・リーブ(出産休暇)」でも、「パタニティー・リーブ(父親の育児休暇)」でもないのです。つまり、子どもの面倒を主に見るのは、必ずしも出産した母親とは限らないというわけです。「パートナー」という言葉を使うのも同様の理由から。性別による役割分担があまり明確ではない、この国の社会の特徴が見てとれます。
とはいえ、やはり当地でも子育てに専心するのは母親というケースが大半です。生まれる前からずっと一緒だった母親の方が先に赤ちゃんとの絆が生まれるものですし、出産で疲れた体のまま仕事をするのは難しいからです。
勤務条件によりますが、「プライマリー・ケアラー・リーブ」は基本的に22週間あります。昨年の7月に18週間から22週間になりました。さらに来年の7月からは26週間になる予定です。雇用主との交渉次第で、52週間まで延ばすことも可能です。
一方、「パートナーズ・リーブ」は1~2週間というのが通例です。しかし、プライマリー・ケアラーに与えられた、52週間までの延長期間分を、パートナーと分け合って取得することも許されています。こんなところにも、育児は片親だけで臨むのではなく、カップルでという社会の風潮が垣間見られます。
ジャシンダ・アーダーン首相は昨年、在任中に出産したことで話題になりました。彼女の場合は首相という要職ということもあり、6週間だけ休暇を取り、復職しています。プライマリー・ケアラーは、フィアンセのクラーク・ゲイフォードさんです。ラジオ・テレビの司会者ですが、現在も休職中で、娘の二―ヴちゃんを育てています。
子ども誕生に際する政府からの助成金は、最高計約93万円
お休みと共に気になるのが経済面です。ニュージーランドでは政府がプライマリー・ケアラーに補助金を支給しています。勤務形態によって若干異なってきますが、毎週最高で585.50ニュージーランド(NZ)ドル(約4万2,000円)が出ます。
本人の週給が585.50NZドル以下の場合は通常通りの週給額、それ以上の場合は一律585.50NZドルとなります。支給期間は「プライマリー・ケアラー・リーブ 」とマッチし、22週間。来年7月からは26週間になります。
一方、パートナーに対しては、残念ながら補助金は出ません。それでもカップルで一緒に赤ちゃんの世話をしたいと思う人は多く、1~2週間のお休みを取るのが一般的です。「パートナーズ・リーブ」を取ると無給になってしまうので、皆有給休暇を利用します。
政府が提供する、子どもがいる家庭への経済支援はほかにもあります。「ベスト・スタート」は、1歳以下の子どもが対象です。全1歳児に、1人当たり週に60NZドル(約4,300円)を支給しています。世帯の収入いかんで、3歳まで受けることも可能です。
「ワーキング・フォー・ファミリーズ」は18歳以下の子どもがいる世帯のための補助金です。世帯の収入などによって額は違います。年間所得が6万5,000NZドル(約467万円)以下の家庭のほとんどすべてが、また8万NZドル(約575万円)以下の家庭の多くが、額もさまざまに、この補助金を受け取っています。
創意工夫次第で、倹約生活もまた楽し
大企業の中には、プライマリー・ケアラーが受け取る政府の補助金に上乗せする形で、社員の家庭をサポートするところもあります。ですが、これはほんの一部の企業のこと。一般的に赤ちゃんがいる家庭は、政府の補助金とパートナーの収入で生活をやりくりします。
どんなふうに出費を抑えるかは、個々の家庭で違います。筆者の場合はおむつもおしりふきも布製のものを使いました。頻繁に洗濯しなくてはいけませんが、おむつの値段も気にしなくていいですし、ごみも増えずに済みました。
また母乳で育てたので、人工乳を買うことも、用意することも必要なく楽でした。食事をはじめ自分がきちんとした生活を心がけていれば、それが母乳を通じて赤ちゃんにも反映されるという考え方は単純明解でした。離乳食は手作りを中心にしました。特別に材料を買うのではなく、自分たちの食事に使う食材を少し取り置いて作り、製氷皿で保存しました。
ベビーチェアなどの家具類や服にはセカンドハンドを取り入れました。セカンドハンドグッズはニュージーランド人の生活に深く浸透しています。成長が早い赤ちゃんのためのアイテムにも当然ながら登場します。知り合いからお下がりをもらったり、買い受けたり。お店でも質が良く、かわいいセカンドハンドのものを手に入れるのは難しいことではありません。
食べるのにも困るというのでは問題ですが、赤ちゃんが誕生した時に倹約生活を送るというのは悪いことではないように筆者は感じます。自分の子どもにとって、家族にとって、何が必要で、何が不要なのかが見えてくるからです。赤ちゃんを育てながら、また同時に新しい家族を築きながら培った価値観は、これからの人生にプラスになりこそすれ、邪魔になることはないはずです。
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