単身世帯の老後不安は強く…4割が老後の備えなし
LIMO / 2019年7月13日 18時10分
![単身世帯の老後不安は強く…4割が老後の備えなし](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushin1/toushin1_12119_0-small.jpg)
単身世帯の老後不安は強く…4割が老後の備えなし
厚生労働省が2018年に公開した『平成29年簡易生命表』(17年)によると、日本人の平均寿命は男性が81.09歳、女性が87.26歳で、過去最高を記録しました。一方で、長い老後の生活に不安を覚える人も増えています。
今回は世帯人数別に、老後への不安について考えていきます。また老後資金の準備方法についてもご紹介します。
老後を心配していない世帯は少数派
まずは、金融広報中央委員会の『平成30年 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査][単身世帯調査]』(18年)をもとに、「老後の生活に対する不安」の実態についてみていきましょう。
この調査によると、2人以上世帯で「老後の生活が非常に心配だ」と答えた割合は36.2%、「多少心配」は43.0%でした。合わせて約8割もの世帯が老後の生活に不安を覚えていることがわかります。
一方、単身世帯は「非常に心配」が49.7%で約5割を占めており、老後への不安が強いことがうかがえます。「多少心配」は33.4%となっており、こちらも合わせて8割の世帯が老後への不安を感じているという結果になりました。
老後が心配なのは金融資産が不足しているため
次に、同調査をもとに老後の生活を心配する理由についてみていきましょう。
2人以上世帯では、「年金や保険が十分ではないから」(72.6%)と「十分な金融資産がないから」(69.0%)が不安の2大要因になっていることがわかります。一方、単身世帯では、「十分な金融資産がないから」が最も多く、72.8%を占めました。
金融資産はいくらある?
多くの人が「老後を心配する理由」に挙げているのが金融資産の不足です。そこで、同調査をもとに全年齢を対象にした金融資産保有額の平均と中央値を紹介します。
2人以上世帯は平均1430万円の金融資産を保有しています。また中央値(大きい順に並べたとき真ん中にくる値)は609万円となっています。老後に備えるための預貯金や有価証券などを持たない「金融資産なし世帯」の割合は22.7%です。
一方、単身世帯の金融資産保有額の平均値は744万円です。また中央値は50万円にとどまっています。さらに38.6%が将来に備えた「金融資産なし世帯」でした。
自動的に貯蓄ができる仕組みを取り入れよう
「貯蓄を増やすのが苦手」という人が老後資金を作るためには、自動的・強制的に貯蓄ができる仕組みを作るのが効果的です。
収入を得たタイミングで貯蓄に回す分を取り分けて、専用口座などに入れてしまう「先取り貯金」をしている人もいるでしょう。しかし、取り分けた貯金をつい使ってしまう人や取り崩すしかない状況に追い込まれる人も少なくありません。
より確実にお金を貯めたいなら、自動的・強制的に貯蓄ができ、かつ取り崩しにくいシステムを取り入れましょう。会社に財形貯蓄制度があるなら使わない手はありません。
貯蓄が苦手な人に向いているiDeCoとは
老後資金を作る有効な方法の1つに「iDeCo」があります。
国が推奨している制度なので興味を持っている人もいるでしょう。「iDeCo」は国民年金基金連合会が運営する仕組み。簡単に言うと「個人で行う私的年金制度」です。
「iDeCo」の仕組みをわかりやすくするために図式化してみました。
拡大する(/mwimgs/5/9/-/img_59d6ba2ba15932f959a5093fdf9b0f5f37316.png)
利用者は、国民年金基金連合会に対し、毎月5000円以上の掛け金を預け入れます。一方、好きな運営管理機関に利用申込みをして、提供された金融商品の運用方法を指示します。
運用指示は運営管理機関から国民年金基金連合会に伝えられて、実際に運用が行われる流れです。運用によって利益が出ると自動的に元本に加えられますが、60歳(原則60歳だが加入期間などに応じて異なる)になるまでは元本はもとより運用益も引き出すことができません。60歳以降に一時金か年金として受け取れます。
「iDeCo」は税制の面で優遇されており、節税に有効です。掛け金は全額非課税となるため所得税や住民税が安くなる可能性があります。また、運用益も非課税扱いとなり税金がかかりません。60歳以降にお金を受け取るときは退職金控除や公的年金控除が使えます。
「iDeCo」の最大の特徴は、原則的に途中解約ができないことです。そのため、貯蓄が苦手な人でも老後資金を貯めやすいでしょう。
ただし、掛け金は投資信託などの運用に回されるので、60歳になるまでは「自分がいくら受け取れるのか」が確定しません。結果的に元本を割り込むこともある点に注意が必要です。
自分に合った方法で老後資金を蓄えよう
iDeCoや財形貯蓄制度は貯蓄を自動化するための有効なシステムですが、その特徴を理解したうえで利用する必要があります。
「老後に向けた貯蓄を始めたい」と思っているなら、まずは貯蓄用口座と生活用口座を分けて、「先取り貯金」をすることから始めてみてはいかがでしょうか。
【参考】
『平成29年簡易生命表』厚生労働省
『平成30年 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査][単身世帯調査]』知るぽると
『iDeCoってなに?(https://www.ideco-koushiki.jp/guide/)』iDeCo公式サイト(国民年金基金連合会)
【ご参考】貯蓄とは
総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。
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