日本人のポテンシャルは高い?国別ファイナンシャルリテラシーを徹底解説
LIMO / 2019年7月19日 18時30分
日本人のポテンシャルは高い?国別ファイナンシャルリテラシーを徹底解説
「日本人はファイナンシャルリテラシーが低い」とささやかれたりしますが、実際のところどうなっているのでしょうか。
Standard & Poor's(S&P)の調査(2014年)を元にした、「国別ファイナンシャルリテラシーへの考察」というワールド・バンク・デベロップメント・リサーチ・グループによる論文に、各国のファイナンシャルリテラシーの度合いが分かりやすく比較されてます。
15万人以上の成人を対象に行われたS&Pのこの大規模調査では、140カ国以上のファイナンシャルリテラシーをランキングしています。
最もファイナンシャルリテラシーが高いのは?日本は?
調査対象となった143カ国の内、最もファイナンシャルリテラシーが高かったのはスウェーデン(71%)とノルウェー(71%)で、日本は38位(43%)につけてます。
なお、パーセンテージは、ファイナンシャルリテラシーが高いと判断された人の割合です。
ところで「ファイナンシャルリテラシー」とは?
S&Pの調査では、「基礎的な算数」、「複利の仕組み」、「インフレーション」、「リスク分散」の4項目から、ファイナンシャルリテラシーを測ろうとしています。
次に各項目の例題をみてみましょう。
基礎的な算数:
あなたが100ドルを借りるとします。105ドルの返済額と、100ドルに3パーセントの利息を付けた返済額では、どちらが安上がりでしょう?
複利の仕組み:
銀行に2年間お金を預けるとします。銀行が毎年15パーセントの利息を付けるとすると、銀行は2年目により多くの利息を付けることになりますか?それとも1年目も2年目も利息額は一定でしょうか?
インフレーション:
この先10年であなたが購入する物品の値段が倍になるとします。あなたの収入も同様に倍になるとしたら、10年後のあなたは今より購買力が劣ることになりますか?それとも今と変わらないでしょうか?または、購買力が増すことになるでしょうか?
リスク分散:
あなたに多少のお金があるとします。このお金をひとつのビジネス/投資先に投じるのと、複数のビジネス/投資先に投じるのとどちらがより安全でしょうか?
S&Pの調査では、4項目中3項目に正解すると「ファイナンシャルリテラシーが高い」と判断しています。
ファイナンシャルリテラシーが総じて高いヨーロッパ
調査結果を見ると、EUのファイナンシャルリテラシーの高さが際立ちます。(なお平均で52%が「ファイナンシャルリテラシーが高い」との評価となります)
なかでもデンマーク(71%)、ドイツ(66%)、オランダ(66%)、スウェーデン(71%)、ノルウェー(71%)のファイナンシャルリテラシーが高く、これらの北欧諸国では少なくとも65%以上が高ファイナンシャルリテラシーであるとの評価です。
一方、ギリシャやスペイン(49%)、イタリア(37%)、ポルトガル(26%)など南部の国々では低めで、EU諸国で最下位のルーマニアでは22%となっています。
アジア諸国のファイナンシャルリテラシーは?
日本人にとって気になる近隣諸国のランキングは次のとおり。
シンガポール(59%)12位
ブータン(54%)16位
日本(43%)38位
香港(43%)38位
韓国(33%)77位
中国(28%)98位
インド(24%)116位
ベトナム(24%)116位
アジア諸国では、シンガポールとブータンが健闘しています。
経済大国である中国は28%と低めになっています。
日本のポテンシャルは高い
日本では、これまで終身雇用が約束され、退職金をもらって定年退職し、年金で老後を安泰に過ごすという人生プランが一般的でした。
このようなレールの上を歩いていた頃は、ファイナンシャルリテラシーを磨く必要性はさほどありませんでした。
しかし、「2,000万円問題」で取りざたされている通り、年金不安に対処するためには、好むと好まざるとにかかわらずファイナンシャルリテラシーを磨いていくことが要求されます。
何事も、手をつけ始めたら究めるのが日本人の美徳。ファイナンシャルリテラシーにおいても、今後の巻き返しが期待されます。
【参考】
'Financial Literacy Around the World(https://gflec.org/wp-content/uploads/2015/11/Finlit_paper_16_F2_singles.pdf)’ S&P
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