学校のプール開放が縮小傾向。子供の楽しみは減るけど仕方ない?
LIMO / 2019年7月24日 19時45分
学校のプール開放が縮小傾向。子供の楽しみは減るけど仕方ない?
夏休みが始まった地域もあれば、間もなく始まる地域もあると思います。そんな夏休みに子供が楽しみにしていることの1つが、学校のプールではないでしょうか。
昭和や平成初期に小学生だった方には、夏休みの思い出として学校のプール通いが記憶に残っているということも珍しくないでしょう。かく言う筆者も、学校のプールに行けば時間を潰せる上、友達にも会えるので楽しみにしていた1人です。プールがないのは日曜日とお盆休みくらいで、当時は土曜日も午前中だけ開放されていました。
しかし最近では、全国的に夏休み中の学校のプール開放日は縮小傾向になっており、自治体によっては廃止している地域もあるようです。今回は、小学校のプール開放日の減少・廃止の理由や、規模の縮小や廃止によるメリット、デメリットを探っていきましょう。
かつては夏休みの定番だった「学校のプール」が減少している
夏休みの定番だった学校のプール開放が減少傾向にある主な理由は2つあります。
理由1. 安全を考慮して減少や廃止の流れが加速している
夏休みのプール開放は学校の授業とは異なり、子供達があちこちで自由に泳いだり遊んだりします。そのため、溺れた子がいても周囲の歓声で助けを求める声がかき消されたり、太陽の光が激しく揺れる水面に反射すると水中の様子が見えにくくなることもあり、発見が遅れる危険性もあります。PTAや保護者が運営している中、こうした不測の事態に100%対応できるかと問われたら、学校側は保証できません。
また、近年増加傾向にある猛暑日が続くと、子供がプールに入りながら熱中症になる危険性も高まります。プールサイドで監視する保護者も体調が急変する恐れがあります。連日の猛暑日となった2018年の夏は、晴天でも気温上昇を理由に開放を中止する学校が相次ぎました。実際、筆者の子供達が通う小学校でも、当日の朝にプール開放を中止したり、午後の予定を取りやめにする日がありました。
このように、子供から危険を遠ざけるためにプール開放日の減少や廃止を決定する自治体が増加しているのです。小学校でも安全面を考慮し、年々プール開放を減らしたり廃止に踏み切るなどの決定をしています。
理由2. プール当番の保護者を確保することが難しくなっている
多くの学校では、夏休みのプール開放の運営をPTAや子供会の保護者が行っています。開放できるかどうか毎回温度を測ったり、来た児童にスタンプを押すために事前に机を並べるなど、早めに来る必要があります。長時間にわたり運営に携わらないといけないので、仕事をしている保護者を当番に充てることは難しい状況です。
昔と違い、専業主婦のお母さんが減少していることもあり、プール当番を引き受けてくれる保護者が少なくなっています。また少子化に伴い、子供会の会員数も減り、プール当番をする保護者の数も限られてきているのです。
その一方で、プール当番をする保護者の中には仕事を休んで参加する方もいます。しかし、わざわざ休んで当番を引き受けたのに、天候でプールが中止になることもあります。「せっかく休みを取ったのに中止になるから、来年は断ろうかしら」と思うのも当然のことです。
こうしたこともあり、夏休み期間中のプール開放日が多いと、保護者の確保も難しくなります。そのため、小学校では以前よりも期間を短縮して対策を講じているという面もあるのです。
学校のプール開放の減少や廃止によるメリットとデメリット
次に、学校のプール開放の回数が減少することや廃止によるメリットとデメリットを見ていきましょう。
メリット1. 子供が事故に遭う確率が低くなる
プールでの子供の事故は後を絶ちません。夏休みということもあり、登校班を組まずに各自別々に学校に向かうケースもあります。そのことに不安を感じ、あえて学校のプール開放日に行かせない保護者もいます。学校のプール開放が減少したり廃止措置にすることで、プールでの事故やその往復で危険な目に遭う確率は低くなるでしょう。
メリット2. プール当番などの保護者の負担が減る
プール開放の日数が減ったり、廃止になると保護者の負担が減ります。筆者の学区でも、毎年夏が近づくと「プール当番の回数問題」があちらこちら聞こえてきます。同じ人が2回、3回と受け持つことが多く、負担が偏っているのです。プール開放日が縮小したり廃止になると、こうした不満を解消していくことができます。
デメリット1. 子どもが体を動かせずストレスが溜まる
プール開放日が少なくなると、子供が思い切って体を動かせる機会が減ってしまいます。炎天下で遊ばせるのもためらうので、やはり夏は学校のプールに行って楽しんでくるのが理想的です。しかし、プール開放日の日数が少なくなったり、廃止になると手軽に行ける遊び場がなくなるので、ストレスを溜めがちになります。
デメリット2. プールの代わりになる場所に連れて行き出費がかさむ
開放日が縮小したり廃止になると、子供は暇を持て余すようになります。筆者の体験談になりますが、昨年の連日の猛暑日でプールが中止になったとき、代わりに科学館に連れて行きましたが予想以上にお金がかかったのです。入館料は少額ですが、飲食スペースで食べるためにとコンビニでおにぎりなど合計4人分のお昼を買うと、それなりの金額になります。家にいれば冷蔵庫にあるものや麺類で済ませられますが、外出先での飲食は、たとえコンビニでの購入でも家計に影響してきます。
まとめ
保護者世代では当たり前だった「夏休みに学校のプールに行く」ということが、自治体によっては減少し、場合によっては消滅しています。昨今のプール開放日は現代に合う形で変化をし、縮小や廃止が増えているのです。あまり大きな変化が起きにくい小学校の現場でも、夏休みのプールに関しては現状に合わせた変革が進んでいるようです。
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