就職氷河期世代の貯蓄・老後問題は待ったなし!? 雇用対策はどうなるのか

LIMO / 2019年7月31日 20時15分

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就職氷河期世代の貯蓄・老後問題は待ったなし!? 雇用対策はどうなるのか

社会問題としての深刻さが広く認識されるようになった就職氷河期世代の苦境。発端はNHKの「クローズアップ現代」でしたが、今年2月には『アラフォー・クライシス「不遇の世代」に迫る危機』(新潮社)として書籍化もされています。

実際、今の30代後半~40代は、就職氷河期のため新卒で正社員になれなかった人が多く、その後リカバリーができないまま貧困に陥ってしまうケースが少なくないと言われます。それに追い打ちをかけるように、昨今では将来の年金不安が高まっている状況です。そこで今回は40代に焦点を当てて、そのお金事情を見ていきます。

政府が就職氷河期世代支援の方針を打ち出したが…

厚生労働省の調べ※では、就職氷河期はバブル崩壊期の1993年から約10年ほどの時期とされ、その頃に大卒や高卒で初職への就職活動をした世代(大卒:1970年頃〜80年頃生まれ、高卒:1975年頃〜85年頃生まれ)が就職氷河期世代と示されています。

その就職難を表す数字を見ると、2018年3月大学卒業者の就職者割合は77.1%であるのに対し、1993年~2003年卒業者では50~60%台。「一時的な仕事に就いた者、進学も就職もしていない者の割合」は、2018年3月卒業者で8.6%でしたが、就職氷河期末期の2003年には27.1%と3倍超になっています。

この6月から7月下旬にかけては、政府が「骨太の方針」の素案として、就職氷河期世代支援のため今後3年間で正規雇用者を30万人増やす数値目標を掲げたり、省庁横断型の支援室を新たに設置する方針であることが報道されています。長い間、国が手をこまぬいてきた就職氷河期世代の問題。遅きに失した感はあるものの、これらの動きは一歩前進と言えるかもしれません。

※平成30年度 労働者等のキャリア形成における課題に応じたキャリアコンサルティング技法の開発に関する調査・研究事業(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/career_consulting_gihou_00004.html)(第2編 就職氷河期世代の労働者への支援技法)」

40代の貯蓄現在高、他の世代との比較

ここからは、40代の貯蓄について見ていきます。まず、総務省が2019年5月17日に発表した「家計調査報告(貯蓄・負債編)-平成30年(2018年)平均結果-(二人以上の世帯)」では、40代の一世帯あたり貯蓄現在高の平均値は1012万円で、全体の平均値1752万円を700万円以上下回っています。世代別の平均値は以下の通りです。

世代別の一世帯あたり貯蓄現在高平均値

40歳未満:600万円
40歳代:1012万円
50歳代:1778万円
60歳代:2327万円
70歳以上:2249万円

ちなみに、全体の平均値は1752万円ですが、この平均値を下回る世帯数は全体の3分の2(67.7%)にのぼり、貯蓄現在高が100万円未満の世帯も11%あるなど、金額が低い階級に偏った分布になっています。また貯蓄保有世帯の中央値は1046万円でした。

なお「貯蓄」には預貯金のほか、保険や有価証券などの金融資産が含まれます。

40代の金融資産保有額、二人以上世帯と単身世帯の比較

次に、金融広報中央委員会(事務局 日本銀行情報サービス局内)の「平成30年(2018年) 家計の金融行動に関する世論調査」のデータ(2018年11月9日発表)を見ていきます。

40代の二人以上世帯

金融資産を保有する世帯の割合:77.4%

金融資産保有世帯の保有額平均値:1238万円、中央値:800万円

金融資産を保有しない世帯を含めた保有額平均値:942万円、中央値:500万円

40代の単身世帯

金融資産を保有する世帯の割合:57.4%

金融資産保有世帯の保有額平均値:1177万円、中央値:500万円

金融資産を保有しない世帯を含めた保有額平均値:657万円、中央値:25万円

このように単身世帯では特に、金融資産の有無における格差が大きくなっています。ここには先述の「アラフォー・クライシス」の影響もあるかもしれません。就職氷河期で非正規雇用の割合が多く収入面でハンデがあると、結婚も難しく、貯蓄もなかなか増えないという状況が見え隠れします。

なお、この調査における金融資産には、預貯金のほかに保険、有価証券などが含まれます。

40代から老後資金を貯めていけるのか

40代の子育て世帯では子供の教育費や住宅ローンなどで出費がかさむ場合が多いものです。一方、上記のように単身世帯では厳しい経済状況に置かれている人も少なくないと見られます。

そんな中、”老後は年金以外に2000万円必要”というような話が出てきました。出所は金融庁の「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書」です。この金額が取り沙汰されることが多いですが、報告書には資産形成を支える制度である個人型確定拠出年金の「iDeCo(イデコ)」や、積立型の少額投資非課税制度「つみたてNISA」の活用についても言及されています。

特にiDeCoは60歳まで積み立てた資産を原則引き出せないので、これはデメリットでもありますが、老後のためのお金に手を付けず蓄えていくことができるという側面もあります。また、その大きな特徴は(1)掛金が全額所得控除になる、(2)運用益が非課税(通常は源泉分離課税20.315%がかかる)、(3)受取時にも控除がある、という節税メリットがあることです。

ただ、40代となると60歳までそう時間がありません。ここで注意しなければいけないのが、60歳から年金資産を受け取るには、iDeCoに加入していた期間等(通算加入者等期間)が10年以上必要だということです。通算加入者等期間が10年に満たない場合は、以下のように受給可能な年齢が繰り下げられます。

加入期間等10年以上:60歳
8年以上10年未満:61歳
6年以上8年未満:62歳
4年以上6年未満:63歳
2年以上4年未満:64歳
1年以上2年未満:65歳

なお、iDeCoの加入資格、加入区分による掛金の上限、運用や需給の詳細などについてはiDeCo公式サイト「iDeCoってなに?(https://www.ideco-koushiki.jp/guide/)」をご参照ください。

おわりに

どの世代にとっても老後の生活資金は不安なものですが、特に就職氷河期のあおりをくらった世代では今後の資産形成が切実な問題になるでしょう。iDeCoやつみたてNISAといった税制優遇のある資産形成の仕組みも整ってきてはいますが、まずは正規雇用者を増やす対策がしっかり進んでいくかを見守りたいところです。

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