「毒親にならないか心配」…その違いは「見張る」か「見守る」か。ヘリコプターペアレンツを考える
LIMO / 2019年7月30日 12時10分
「毒親にならないか心配」…その違いは「見張る」か「見守る」か。ヘリコプターペアレンツを考える
親なら、子どもの様子がつい気になってしまうもの。ちょっとしたことで口を挟んでしまう、見守っておかないと落ち着かないといった人もいるのではないでしょうか。
しかし、そんな気持ちが強すぎると「ヘリコプターペアレンツ」に当てはまる可能性があります。あまり聞きなれない言葉ですが、一体どのような意味をもっているのでしょうか。
「ヘリコプターペアレンツ」の意味
「ヘリコプターペアレンツ」とは、「子どもに関して気になることがあったら、すぐに関与してくる過保護で過干渉な親」のことを意味しています。ヘリコプターが子どもの頭上でしっかりと見張り、ずっとホバリングしているかのような親、とイメージすると分かりやすいかもしれません。
子どもを心配する、悪影響があるものには関わらせたくないというのは、親の愛情ともいえます。しかし、その愛情があまりにも行き過ぎていると、子どもの自由を奪うことになってしまうのです。
親にとって「私が何とかしてあげたい」と思うような場面が、子どもの成長に繋がるケースもあるはず。わが子を守るためにしたことが、子どもが自信を得る機会を台無しにしていた…と思うと、本末転倒のようにも感じられますね。
毒親には4タイプが存在する
先ほどの「ヘリコプターペアレンツ」のように、子どもに悪影響を与える親を「毒親」と表現することがあります。精神科医の斎藤学氏は、この「毒親」を4タイプに分類しています。その内容をみてみましょう。
・過干渉、統制型の親(「こうしなさい」と何でも先回りして指示を出す)
・無視親(ネグレクトも含まれる、ワーカホリズム(仕事依存)の親など)
・ケダモノのような親(暴言・暴力などの虐待や性的虐待など)
・病気の親(精神障害をもった親、反社会性人格の親など)
こうみると、同じ毒親でもタイプが大きく異なっているのが分かります。そのため、毒親に育てられた人同士で会話をしても、「相手に比べると自分はマシな方だ」「私と相手では状況が異なる」と感じることもあるでしょう。
どのタイプの毒親に育てられたとしても、本人が悩みを抱えているという状況には変わりありません。このような苦しみを味わっている人がいる限り、毒親に関する議論は続ける必要があるはずです。
ときには心配することも大事
毒親に苦しんでいる子どもたちがいる一方、「自分も毒親になりはしないか」と悩んでいる親も増えています。
「毒親にならないようにしよう」と意識しすぎると、「これは心配しすぎなのでは」「過干渉になっていないだろうか」と気になってしまいますよね。たしかに過干渉すぎる関わり方は考えものですが、「全く心配してはいけない」というわけでもありません。
育児をしていると、両親や義両親から「このくらい大丈夫よ」「あなたは気にしすぎ」と告げられることもあるでしょう。繰り返しいわれ続けていると、自分の基準に自信がなくなってしまう人もいるかもしれません。
しかし、大切なのは「子どものことを一番知っているのは母親である」ということです。周囲の人が大丈夫だと思っていても、子どもの事情を熟知している母親からすれば違ってみえるでしょう。
だからこそ、誰よりも母親が子どもを心配するのは当然のこと。とくにアレルギーや体調不良時の対応など、健康面に関するものは自分の判断を大切にしましょう。
親離れ、子離れは思った以上に早くおとずれる
どの親のもとに生まれたか、育てられたかで人生は大きく変わります。虐待されて命を落とした子どもたちのニュースを見聞きするたびに、思い知らされます。
しかし、社会にはあなたを必ず助けてくれる人がいると信じて、警察や行政機関、民間の相談機関に助けを求めましょう。
また、子どもの精神的な自立は思った以上に早くおとずれます。もちろん子どもの意志は0歳の時からありますが、その表現方法は大きくなるにつれて上手くなっていきます。2~3歳の「イヤイヤ期」もまさにそのステップだといえるでしょう。
子どもが小さいうちはキケンな場合も多いので、すべての意志は尊重できません。しかし、親子で話し合う機会は必要でしょう。話し合いの中で、「親が思っている以上に子どもはよく考えていた」と気づく場合も。
「見張っている」のではなく、「見守っている」姿勢が親に求められる場面もあるのかもしれません。
まとめ
知らない間に、子どもはどんどん成長していくもの。口を挟みたい気持ちにブレーキをかけ、たまには子どもの力に任せてみてはいかがでしょうか。子どもの成長を改めて感じられるかもしれませんよ。
とはいえ、危険だと感じたら助け舟を用意するのも大切です。普段はそっと見守り、子どもの成長に応じた対応ができるといいですね。
【参考】
『毒親と子どもたち』斎藤学
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