「スクハラ」私立校の子どもは要注意?親にできることとは
LIMO / 2019年8月9日 22時10分
「スクハラ」私立校の子どもは要注意?親にできることとは
セクハラ、パワハラ、モラハラ…昨今、「嫌がらせ」を定義するハラスメントという言葉が、シチュエーションや立場により細分化されています。
その中でも、本来子どもを守る立場にある教師から生徒への「スクールハラスメント」が問題視されています。
定義があることによって自身の経験がスクールハラスメントに該当するかもしれない、子どもが被害にあっているかもしれない。声を上げることができる今だからこそ、問題について目を向けてみましょう。
スクールハラスメントとは
スクールハラスメントとは、文字どおり「学校で行われる嫌がらせ行為」のことをいいます。先月スクールハラスメントに苦しむ小中高校生が相談できる窓口の設置を求め、自身も被害にあった学生がインターネットによる署名活動を始めました。
学生は中学時代、担任教師から家庭環境に関する心ない一言を言われます。その言葉にショックを受け不登校となってしまいますが、さらに追い討ちをかけるように学校側から転校を勧められ精神的に追い詰められました。
このことが原因で、今もなお睡眠障害に苦しめられているといいます。
このように体罰はもっての外ですが、生徒を精神的に追い詰める言動などもスクールハラスメントといえるのです。
さらに教師が教育と称し身体を触る、立場を利用して異性との交際を一方的に禁止するなど、性的な嫌がらせ「スクールセクシャルハラスメント」も問題視されています。
またメールやSNSなどでのやり取りも含め、スクールハラスメントは様々な形で増加しています。
スクールハラスメントから派生する二次被害
スクールハラスメントはとくに教師という立場を悪用し、自分より弱い立場にある生徒が対象となっているため、生徒が声をあげにくいという現状があります。
生徒自身も「友人に知られたくない」「成績に影響するのではないか」「単位をもらえないのでは」などと考え、被害を周りに相談できない状況も多くあります。
さらには相談された他の教師や学校が、問題が大きくなることを恐れ加害者である教師ではなく、被害者である生徒を説得しハラスメント行為が解決しないという事例もあるようです。
さらに、「セカンドハラスメント」という言葉をご存知でしょうか。
勇気を持ってハラスメントへの声をあげた人が、味方だと思っていた周囲の人からバッシングを受けたり、協力を得られずさらに苦しんでしまう状況を指します。
先述のスクールハラスメント被害にあった学生は、ハラスメント行為がきっかけとなり不登校になってしまいました。さらにその精神的苦痛から今もなお睡眠障害に苦しめられており、1度のハラスメントが二次被害を生んでしまっていることがわかります。
「教師がやっているから…」と他の生徒からの無視や暴言など、いじめの引き金にもなりかねません。
過去に性的被害を受けたために「男性に触れられることで記憶がよみがえってしまう…」など、どんな些細なものであれ、被害にあった生徒は大人になってからもそのトラウマに苦しめられています。
スクールハラスメントから自分の子どもを守るために
ハラスメントは目に見える基準がなくとも、自身が嫌だと感じたり人権を侵害されたと感じた場合はそれを定義づけることができます。
そのため少しでも嫌だと感じる教師からの行為があれば、まずは生徒自身が「スクールハラスメントではないか」と意識をすることが必要です。
その上で、その行為が不快だという意思をしっかりと表示することが大切になります。それでも執拗に行為が続く場合は、信頼のできる教師や大人、友人に声をあげ、意思を表示することが重要です。
家庭でも、学校のことを話し合える環境作りが大切になるのではないでしょうか。また、学校内ではサポートが得られない場合、公立学校ではその地方自治体や教育委員会が設置する相談窓口など、第三者に相談する方が効果的な場合があります。
しかし私立学校では声をあげられない、相談する場所がないということも問題視されています。この現状を打破したいと考え、先述のインターネットでの署名活動では、文部科学省に教育委員会から独立した組織としての相談・紛争処理機関の設置を、都知事と世田谷区長には相談窓口の設置を求めています。
自分の子どもが心の内を打ち明けられるようなサポートができるように、このような相談の場が自分の地域にもあるか知識を持っておくと良いでしょう。
まとめ
ハラスメント問題は大人だけではなく、子どもたちにとっても深刻な問題となっています。被害を受けることが恥ずかしいことや罪悪感をおぼえることではないと、子どもや弱い立場の人に社会が示していく必要があります。
スクールハラスメントから子どもたちを守るために、どんな些細なことでも声をあげられるような家庭、学校、社会の環境作りが重要なのではないでしょうか。
参考
『「スクールハラスメント」相談窓口を 学生が署名活動へ』朝日新聞
『ハラスメントの二次被害「セカンドハラスメント」を考える』 NHKハートネット
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