かんぽ生命に加入した理由とは一体何だったのか
LIMO / 2019年8月11日 17時0分
かんぽ生命に加入した理由とは一体何だったのか
かんぽ生命の契約について調査が行われていることについてはかんぽ生命より2019年7月31日に「日本郵政グループにおけるご契約調査及び改善に向けた取組について」でプレスリリースが開示され、また既に多くの報道がされている通りである。
では、そのかんぽ生命の加入者はどのような理由で保険に加入したのであろうか。そしてかんぽ生命の直近の業績影響はどうであったのかを見ていきたい。
かんぽ生命への加入理由
生命保険文化センターが2018年9月14日に発表した「平成30年度 生命保険に関する全国実態調査(速報版)」によれば、以下のような調査結果となっている。
もっとも多い理由は、「郵便局員・かんぽ生命の営業職員の人が親身になって説明してくれたので」が27.5%(複数回答可の調査結果)。
次いで多かったのが、「以前から加入していた郵便局員・かんぽ生命の営業職員の人にすすめられたので」が21.0%。
第三位には、「希望にあった生命保険だったので」が19.7%となっている。
こうしてみると、加入理由の第一位と第二位は、かんぽ生命の加入理由の多くは、人を基軸とした接点による営業が力を発揮していたと言えよう。かんぽ生命の商品性を理由としたものが第三位に登場する。
今回のような問題が浮上している可能性の一つには、皮肉だという声もありそうだが、営業と顧客の距離が近かったということが指摘されよう。
かんぽ生命の直近の決算はどうだったのか
かんぽ生命は8月9日に2020年3月期第1四半期(Q1)の決算を発表している。
経常収益は対前年同期比で▲8%減、経常利益は同▲26%減、親会社株主に帰属する四半期純利益は同▲1%減となっている。減収減益の決算である。
その中で、個人保険の新契約年換算保険料は935億円と対前年同期比で▲1%減、第三分野は同2%減と、いずれの保険も減少となっている。
また、保有契約年換算保有保険料は個人保険に関しては4兆6471億円と対前年同期比▲1%減、第三分野は7557億円となっており、こちらは対前年同期比で若干増加している。
かんぽ生命の個人保険の契約数
ここまで決算業績を見てきたが、注目の契約件数を見ていこう。
個人保険の2020年3月期第1四半期(Q1)の新契約件数は42万件となっており、対前年同期比で▲5%減となっている。2019年3月期Q1が45万件、2018年3月期Q1が46万件と減少傾向にあることが分かる。
かんぽ生命は年間で170万件以上を新規に契約しているが、その水準も漸減傾向にはある。今回冒頭にも触れた状況とはなっているが、新契約の減少傾向というように同社の事業環境は安泰とは言えなかった背景はある。
かんぽ生命では何が売れ筋なのか
では、かんぽ生命ではどのような保険商品が売れ筋であったのであろうか。
先ほど見た個人保険の新契約の内訳を見ていこう。
養老保険が21万件、終身保険が19万件、学資保険が2万件となっており、養老保険と終身保険が約半分ずつを分ける形となっている。
養老保険では普通養老、終身保険では普通終身(倍型)の比率が高くなっている。
かんぽ生命のお金はどのように運用されているのか
かんぽ生命の2019年6月末の総資産は73兆4557億円。
そのうち、全体の約半分である38兆951億円を国債で運用している。次いで多いのが、地方債で10%、外国債券(※注)で9%、貸付金で9%、社債で8%となっている。
国内民間生保最大手の日本生命の2019年3月末時点での総資産が78兆8095億円(単体では68兆847億円)であることを考えると、かんぽ生命の巨大さがお分かりになるであろう。
ちなみに、日本生命の2019年3月期の一般勘定資産66兆8267億円の資産運用内訳が公社債が35.2%、外国証券が29.7%、株式が13.4%、貸付金が11.1%であることを考えると、かんぽ生命の資産運用の資産構成は国債に偏っていることが分かる。
※注:個別銘柄の債券のほか、それぞれの資産のみを投資対象とする投資信託を含む。
日本を代表する生命保険会社といえるかんぽ生命。今回の同社の対応と今後の契約数の変化から目が離せない。
参考資料
かんぽ生命「日本郵政グループにおけるご契約調査及び改善に向けた取組について」(https://www.jp-life.japanpost.jp/information/press/2019/abt_prs_id001470.html)
生命保険文化センター「平成30年度 生命保険に関する全国実態調査(速報版)」
日本生命保険相互会社「日本生命の現状 2019 本編」
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