生命保険の死亡保険金はみんな、いくら準備しているのか
LIMO / 2019年8月11日 19時0分
生命保険の死亡保険金はみんな、いくら準備しているのか
かんぽ生命の契約問題で揺れる日本の生命保険。生命保険は世帯加入率が約9割にも達する私たちにとってはなじみのある金融商品。今回は、その生命保険について、公開データをもとにわたしたちのくらしの中で生命保険がどのような位置づけにあるのか見ていこう。
みんなの普通死亡保険金額はいくらか
生命保険文化センター「平成30年度 生命保険に関する全国実態調査<速報版>」によれば、世帯の普通死亡保険金額は以下の通りである。
全生保:2255万円
民保:2079万円
かんぽ生命:551万円
簡保:491万円
JA:1867万円
県民共済・生協等:731万円
このように民間生命保険の普通死亡保険金額は2000万円を超えている。また、今回問題がしていきされているかんぽ生命の普通死亡保険金額は551万円と、民保と比べるとその金額は小さい。
平成19年10月以降は、簡保はかんぽ生命としてカウントされているが、簡保自体は491万円と、かんぽ生命の普通死亡保険金額よりは少なくなっている。
また、民保についで普通死亡保険金額が大きくなっているのがJAである。JAの普通死亡保険金額は1867万円と2000万円を割って入るものの、全生保の中でも普通死亡保険金額は大きいグループに入るといえよう。
普通死亡保険金額は減少傾向に
今回の調査の過去5回分を見ていくと、普通死亡保険金額が減少していることが見てとれる。
民保でいえば、平成18年に3055万円と3000万円を超えていた水準が、先ほども見たように2000万円近い水準ということで約1000万円も下がっている。
これはJAも同様で平成18年に2776万円であったものが、1867万円となっている。
普通死亡保険金額は世帯における金額が減少傾向にあるといえ、死亡保障の位置づけの変化と高齢化などの影響もあるといえよう。
今後は、長生きに伴う問題として、これまで以上に医療保障や介護といった保障に焦点が集まってくるともいえよう。
【ご参考】生命保険に関する全国実態調査とは
生命保険文化センターが1965年から3年ごとに調査を行っている「生命保険に関する全国実態調査」。一般家庭の生命保険加入状況を中心に、老後生活や万一の場合の生活保障に対する考え方などをまとめています。生命保険文化センターは1976年1月に財団法人として設立され、生活設計や生命保険に関する情報を提供しています。
今回の調査については、世帯員2人以上の一般世帯を対象とし、平成30年4月5日から6月3日に調査が行われ、回収サンプルは3983件となっています。
【用語定義】
「かんぽ生命」については、平成19年10月に簡易保険の民営化により設立されたかんぽ生命の機関または商品を示しており、「民保」の中には基本的には「かんぽ生保」を含んでいます。「民保」は民間の生命保険会社の略称です。
また、「全生保」としては、「民保(かんぽ生命を含む)」、「簡保」、「JA」、「県民共済」、「生協等」の4つの機関の総称、またはこれらの機関が扱う生命保険商品の総称として使われています。
「簡保」は、平成19年10月の郵政民営化以前に加入した簡易保険商品。現在は独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構が契約を管理している。新規契約の募集は行っていない。
「県民共済」「生協等」の調査対象機関は「全国生活協同組合連合会」「日本コープ共済生活協同連合会」「全国労働者共済生活協同組合連合会(全労災)」の3機関。それらの機関及び商品の総称。
同調査の生命保険には、勤労者財産形成促進法に基づき取り扱われている財形年金(積立)保険、財形住宅貯蓄積立保険、財形貯蓄積立保険などは含まれていないのには注意したい。
参考資料
生命保険文化センター「平成30年度 生命保険に関する全国実態調査」(2018年9月)(https://www.jili.or.jp/press/2018/pdf/h30_zenkoku.pdf)
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