年齢別の世帯の死亡保険金額はいくらか
LIMO / 2019年8月12日 19時0分
年齢別の世帯の死亡保険金額はいくらか
かんぽ生命の契約問題で揺れる日本の生命保険。生命保険は世帯加入率が約9割にも達する私たちにとってはなじみのある金融商品。今回は、その生命保険について、公開データをもとにわたしたちのくらしの中で生命保険がどのような位置づけにあるのか、また世代ごとに生命保険の死亡保険金がどう変化しているのかについて見ていきたい。
年齢層別の死亡保険金はいくらか
生命保険文化センター「平成30年度 生命保険に関する全国実態調査<速報版>」(2018年9月)では、世帯主の年齢層別に世帯普通死亡保険金額を発表している。
以下では、世帯主の年齢別でみた世帯普通死亡保険金額(全生保)を見ていこう。
29歳以下:2475万円
30-34歳:2883万円
35-39歳:2857万円
40-44歳:3032万円
45-49歳:3050万円
50-54歳:3183万円
55-59歳:2618万円
60-64歳:2493万円
65-69歳:1615万円
このように見ていくと、普通死亡保険金額が最も高くなるのは世帯主が50-54歳の世帯で普通死亡保険金額が3000万円を超える。
しかし、その後、死亡保険金額は減少傾向となる。子育てなども一段落する世帯が増え、その中で保険の見直しも進むのであろうか。
60代になると、普通死亡保険金は2400万円台となり、また、65歳を過ぎると1600万円台となる。
過去は40代で死亡保険金4000万円台も
過去を振り返ると、死亡保険金額が4000万円台の時もあった。平成18年の調査時には、45-49歳で死亡保険金が4506万円と、4000万円台となっている。平成30年の調査では3050万円となっているので、大きくその水準は減少している。
働き手にもしものことがあった時に残された家族はどのくらいのお金が必要かという視点が死亡保険金額を議論する際には必要であろう。
保険金額は年収の何年分か
また、現在の年収の何年分のお金が必要かという評価基準もあるかもしれない。
同調査の世帯年収は604万円となっている。仮に死亡保険金額が3000万円ということであれば、年収の5年分にあたることになる。
同調査の過去5年の平均年収は平成18年の633万円が最も高く、平成24年の589万円がもっとも低い。
世帯年収が大きく上がらないことが死亡保険金額の低下トレンドにも影響している可能性もある。
しかし、世帯年収は平成24年の調査でボトムアウト(底打ち)をしており、その後、先ほども触れたように平成30年で604万円となっているのにもかかわらず死亡保険金額が戻ってきていないことを考えると必ずしも年収と相関が高いとも言い難い状況だ。
もっとも、これらの調査は平均値で議論しており、中央値や偏差を知ることでさらにより深い議論ができる。それらは今後の論点とできるとよいであろう。
【ご参考】生命保険に関する全国実態調査とは
生命保険文化センターが1965年から3年ごとに調査を行っている「生命保険に関する全国実態調査」。一般家庭の生命保険加入状況を中心に、老後生活や万一の場合の生活保障に対する考え方などをまとめています。生命保険文化センターは1976年1月に財団法人として設立され、生活設計や生命保険に関する情報を提供しています。
今回の調査については、世帯員2人以上の一般世帯を対象とし、平成30年4月5日から6月3日に調査が行われ、回収サンプルは3983件となっています。
【用語定義】
「かんぽ生命」については、平成19年10月に簡易保険の民営化により設立されたかんぽ生命の機関または商品を示しており、「民保」の中には基本的には「かんぽ生保」を含んでいます。「民保」は民間の生命保険会社の略称です。
また、「全生保」としては、「民保(かんぽ生命を含む)」、「簡保」、「JA」、「県民共済」、「生協等」の4つの機関の総称、またはこれらの機関が扱う生命保険商品の総称として使われています。
「簡保」は、平成19年10月の郵政民営化以前に加入した簡易保険商品。現在は独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構が契約を管理している。新規契約の募集は行っていない。
「県民共済」「生協等」の調査対象機関は「全国生活協同組合連合会」「日本コープ共済生活協同連合会」「全国労働者共済生活協同組合連合会(全労災)」の3機関。それらの機関及び商品の総称。
同調査の生命保険には、勤労者財産形成促進法に基づき取り扱われている財形年金(積立)保険、財形住宅貯蓄積立保険、財形貯蓄積立保険などは含まれていないのには注意したい。
参考資料
生命保険文化センター「平成30年度 生命保険に関する全国実態調査」(2018年9月)(https://www.jili.or.jp/press/2018/pdf/h30_zenkoku.pdf)
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