子育ての辛さがやわらぐのは”共感”? それとも”違いを受け入れる心”?
LIMO / 2019年8月14日 20時35分
![子育ての辛さがやわらぐのは”共感”? それとも”違いを受け入れる心”?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushin1/toushin1_12723_0-small.jpg)
子育ての辛さがやわらぐのは”共感”? それとも”違いを受け入れる心”?
両者のバランスを取る重要性
子育てをしていると、それまでに培ってきた価値観が揺らぐことは珍しくないでしょう。毎日振りかかる予想外の出来事や子どもの成長に喜びや楽しさを感じる一方で、ストレスや悩みを抱えながらなんとか毎日を乗り越えている人も少なくないと思います。子育てとは「〇〇すればいい」「〇〇が大切」と簡単に一言では片付かないからこそ、自分たちにとっての正解を常に模索しなければいけません。
保育園勤務経験があり、現在1歳の子どもをほぼワンオペで育てている筆者は、この「正解」について一つの方向性を見ています。筆者自身の経験からご紹介します。
子育ての辛さを軽くするのは正論ではなく共感
昨今の子育ては孤育てとも言われ、たとえ共働きだとしても夫や親、近所などの協力をなかなか得られず、母親がワンオペ育児をこなして子どもと向き合っている場合が少なくありません。そんな孤独な状況が続けば母親も次第に追い詰められ、精神的に余裕がなくなってしまいます。誰かに悩みを聞いてほしい、同じ辛い境遇を共感し合いたいと、ネットやリアルで横の繋がりを求めることは自然なことです。
このように、共感は子育てにおいては非常に大きなキーワード。「子どもの夜泣きが辛い」「毎日仕事と育児で時間がない」という悩みも、建設的な解決策や正論を突きつけられるより「わかる、わかる。うちも同じだよ」と頷いてもらった方が嬉しいのは、子育て経験者ならわかることでしょう。
筆者もこの“共感”を求め、妊娠期間中にツイッターの匿名ママアカウントを開設。出産時期が近い方をフォローし合い、産後の頻回授乳が続いて寝不足で辛い時や子どもが離乳食をなかなか食べてくれない時など、悩みやあるある話を共有することで精神的に救われてきました。同じような境遇の人と同じような悩みや愚痴を共有し合う場所は、自分の考えや思いを誰からも否定されない“超・自己肯定の世界”なので本当に心地の良いものです。
また次第に、自分が共感されて救われた経験から、同じように妊娠や出産、子育てで悩み苦しんでいる人に寄り添いたいという気持ちも強くなっていくように。
子連れで電車に乗ると周囲の目が怖くなりがちですが、筆者は以前、近くに座ったおばさまから「子育て大変ね。頑張ってね」と声をかけられて涙が出るほど嬉しかった経験がありました。筆者は今では、赤ちゃんを連れて大変そうにしているお母さんが近くにいたら積極的にベビーカーのあれこれを手伝ったり話しかけたりしています。
無意識のうちに自分と違う考え方の他人を排除してしまうように
一方、共感が子育てにおいては諸刃の剣であることもわかってきました。筆者は同じ経験をしている人や同じ考えを持つ人との共感にどっぷりと浸かりすぎた結果、次第に自分と違う考えの人をどんどん排除していくようになっていったからです。
それは筆者の子より2歳年上の子どもを持つ友人と習い事の話をしていた時のこと。筆者は子どもにはのびのび育ってほしいため、今のところ習い事をやらせる予定はありません。しかしその友人は熱心で、0歳の時にはベビースイミングを、1歳を過ぎてからは英語と体操、さらにピアノなどさまざまな習い事をさせていました。
自分の子育てとはあまりに違うために「えー、予定を詰め込みすぎてかわいそうじゃない? そんなに習い事させるよりも、遊ぶ時間を大切にしたほうがいいと思うよ」と言ったところ、友人は「何をどうさせようが考えは人それぞれなんだから、別にいいじゃん」と一蹴。
その時、筆者は無意識のうちに友人の考えを否定していた自分に気付きました。言い換えれば、自分の意見に対して「そうだよね」と肯定されることを待ってしまっていたのでした。
つまり筆者は、同じ考えの人が集まる輪の中で、共感や肯定ばかりを求めるようになっていたのです。もしかしたら、これが行き過ぎると自分の子育て論や価値観だけが正しいという感覚を持ったまま突き進んでしまうかもしれない。そして、「結婚したら子どもを持つべき」「女性に生まれたのだから子どもを産む幸せを」などといった他人への押し付けは、きっとこうした“共感や肯定への行き過ぎた渇望”が引き起こしているのではないかと感じました。
「共感や肯定」と「多様性の受け入れ」のバランスは子どもの教育にもいいはず
各家庭における子育ての考え方だけでなく、子どもの発育過程や夫婦の在り方さえそれぞれであるはずなのに、共感や肯定を求めすぎると自分とは違う考えや多様性を拒否してしまう。筆者はつくづく、子育てにはこのバランスをいかに取っていくかが非常に重要であると日々感じています。
そして親自身がそうしたバランス感覚を持っていることは、子どもにとってもいい影響を及ぼすはず。人に寄り添うことと他人との違いを受け入れること、そのどちらの大切さも子どもに教えることができるようになるからです。
子育てに悩んだ時、「自分は今、この2つのバランスは取れているのか」と我が身を振り返ってみると、意外と答えが出る時もあるのではないでしょうか。
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