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「親ならちゃんと怒って!」という指摘…人前という視線に縛られる母親の本音

LIMO / 2019年8月20日 8時45分

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「親ならちゃんと怒って!」という指摘…人前という視線に縛られる母親の本音

電車やスーパー、飲食店などで泣き続けていたり走り回っていたり。元気な子どもを見かけることがあると思います。子どもの声はひときわよく聞こえてきますよね。中には、そばにいる親が子どもに対して何もしていない時もあります。そんな様子を見て、「どうしてあの親はちゃんと怒らないのだろうか」「親は一体何をしている?」と疑問や怒りを覚えることもあるかもしれません。

しかし、その親は決して「理由なしに何もしていない」というわけではないのです。

(1) 人前だからこそ「叱れない」親の心理

連れている子どもが騒いでいると、人目につきますし、親に対する風当たりも厳しくなります。周囲に迷惑をかけようものなら親は頭を下げるのが当たり前。「もっと申し訳なさそうにすべきでは」など、常に周囲への気配りが求められます。

そのような視線に包まれながら、的確に子どもを叱って、効果的に静かにさせる…ということができるでしょうか。しかも周囲が納得するような叱り方です。非常に難しいものではないでしょうか。

(2)親としての能力不足?

テレビなどのメディアでは、子どもの目の高さに目線を合わせて、きちんと話して聞かせる、そうすれば必ず子どもに伝わる…と言われていますが、まず、場所が「お出かけ先」という子どもにとって楽しい環境です。同じ場所にいても静かに過ごせる子もいますが、子どもの気持ちをコントロールするということは、一人の人間をコントロールするということ。お出かけ前に約束をしたり、気を引くおもちゃを用意して対策をしたりしていても、どうにもならない時があるのです。

もしも、スポーツ観戦やコンサートの会場で、大人に対して「静かに見ましょう」と言って、本当に制限できるでしょうか。場所が場所なら大人でも騒いでしまいます。また、電車の中でおしゃべりが止まらない大人もいます。怒りの収まらない様子の人もいます。親の能力が不足しているというわけではなく、人の感情を周囲に合わせてコントロールすることは、もともと簡単なことではないのです。

(3)「あの親、虐待?」と疑われるのではないか

子どもが人に迷惑をかけてしまった時、しっかり叱りつけることができない場面もあります。親としては子どもに伝わるように強めに叱りたいところでも、それが他人の目から見ると「あの親、虐待では?」と思われることもあるからです。

悪ふざけするのを見た親は、反射的に「こら!やめなさい」と大きな声で叱ったりします。親としては「これくらいの声や表情で叱らないと、うちの子は止まらない」と知っているため、そのような声や動作が瞬間的に出ています。

しかし、他人の視線は非常にきついものです。子どもの年齢や親の表情、声の大きさなどから「虐待?」という目を向けるのです。親も周囲の視線に気づき、疑いを持たれる恐怖を感じ、さらに子どもを叱れなくなってしまいます。

(4)どうしようもできず、無言に

人前で子どもを叱れない親も、何もしていないわけではありません。今の状況で、静かに叱る方法では子どもに伝わらないと知っています。叱って落ち着かせたいけれど、人前だからそこまで大きく叱れない。親は日ごろの様子から、必要な叱り方のレベルが分かっています。だからこそ何も言えなくなってしまうこともあるのです。

また、多忙な育児の毎日で、子どもを叱る気力すら失っている場面もあります。子どもを「泣き止ませる」「怒る」「叱る」というのは、とてもエネルギーが必要です。しかし、何をどうやっても泣き止まない、いくら言っても言うことを聞いてくれないほどの様子になる事は決して珍しくありません。激しく駄々をこねている子どもの前で、反応もできず、子どもをどうにもできないというケースもあるのです。

(5)そんなに難しい?子どもに言い聞かせること

子どもが迷惑をかけたらしっかり叱る、迷惑をかけないような行動をさせる。そうするのが親の務めだという意見も正論かもしれませんが、子育ては思い通りにならないことも多いのです。騒ぐ子を見て「またか・・・」という思いで、駄々っ子が収まるのをひたすら耐えて待っていることもあります。

育児書などでは「これがまだやりたかったんだね?」など、子どもの心の中を言葉で表現してあげながら同調する方法もありますが、外出先では伝わり方も違います。人前や公の場で子どもの行動を切り替えるには、親の力だけでは限界もありますので、やはり周囲の見守る力がほしいところなのです。

さいごに

他人に迷惑をかけてはいけないことを子どもに教えることは親の義務であり責任でしょう。しかし、その場で即、怒っていないからといって、その親が子どもを甘やかしているわけでも、自分が楽をしようとしているわけでもありません。様々な事情があるのです。

子どもを外に連れていく際には、親も神経をとがらせています。子どもの体調はもちろんのこと、周囲への迷惑対策、気候対策、不審者へ目を光らせること、交通安全、食事・排泄のこと…気を配りながらの外出です。このような意識は、子育てを経験して始めて分かるものではないでしょうか。子どもの性格もさまざまですので、必要となる伝え方や教え方もそれぞれでしょう。

子どもを親の思い通りにするというのは状況により非常に困難ですし、さらに他人がよその子どもの行動をコントロールしようとする意識も正しいものだとは言えません。「親ならちゃんと怒って」と憤る前に、もう少しだけあたたかい気持ちで見守る目も必要なのではないでしょうか。

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