43歳で妊娠、44歳で出産…待ち受けていた過酷な妊娠生活と「命の選択」
LIMO / 2019年8月22日 20時45分
43歳で妊娠、44歳で出産…待ち受けていた過酷な妊娠生活と「命の選択」
就職や結婚、引越し…と、さまざまなライフイベントがありますが、中でも、女性にとってもっとも大きなイベントと言える「妊娠・出産」。
最近の日本は晩婚化が進み、さらにはタレントや女優が40代での妊娠・出産を報告する様子も見受けられることから、高齢出産へのハードルが感覚的に低くなっているように思えます。
ですが、それは実際に高齢出産という行為が楽になった・不安が無くなったという訳ではありません。
今回は、43歳で妊娠・44歳で出産を経験した筆者の実体験を元にした、40代の妊娠・出産について考察していきます。
40代での妊娠・出産。でも、それってそんなに珍しいこと?
「40代での妊娠は可能であるか」と問われれば、答えは「はい」と言えます。
ですが、その確率が低いのは確かです。
まずはデータを踏まえて、40代の妊娠・出産について検証していきます。
上記の表をご覧下さい。(図「ART妊娠率・生産率・流産率2016」を参照)
日本産科婦人科学会が毎年、施設ごとに生殖補助医療の成績をまとめ、その解析結果を報告しています。この図は、生殖補助医療を受けた女性の年齢による妊娠・流産・生産(出産)の確立(2016年)を示したものです。
この表をご覧いただくと分かるように、39歳を境に妊娠率と流産率が交差します。39歳の妊娠率は29.7%であるのに対し、流産率は29.1%となっています。そして40歳の妊娠率は26%、流産率は34.3%と数値は逆転し、その差はどんどん広がっています。
40代での妊娠・出産は、決して不可能ではありません。不可能ではありませんが、大変確率が低いという事実を確認することができます。
40代の妊娠・出産。その不安と悩み
40代の妊娠・出産が、大変確率の低いものであることはご理解頂けたかと思います。
ですが昨今の晩婚化の影響から、40代の妊娠・出産を望む声や高齢出産を経験する人が増えてきたのも事実です。
実は筆者も高齢出産を体験した1人です。
34歳で長男を、36歳で次男を出産しました。次男を出産した時点ですでに高齢出産なのですが、その後43歳で長女を妊娠、そして44歳で出産しました。
長女を妊娠・出産したときの経緯そして悩みは、長男と次男のときとは異なりました。
ここでは、長女を妊娠・出産した時に私自身が感じた悩み、そして経緯についてもお話させて頂きます。
もしかしたら、読んで不快な思いをされる方もいらっしゃるかもしれません。あくまで、筆者個人の体験談として、お読み頂ければ幸いです。
43歳 3人目の妊娠が分かった、その時。
男の子2人の母として生活し、その子ども達も小学校に上がりやっと少し手を離れたと思っていた時、自分が妊娠していることに気が付きました。
嬉しくなかったわけではありませんが、それよりも始めに頭に浮かんだのは「無事に産めるのか」ということでした。
「無事に産めるのか」という気持ちは、自分の体調のことよりも、お腹の中にいる子どもに染色体異常などの先天性異常があるのではないかという不安でした。
病院でも出生前診断を受けるかどうかの話をされました。
先生は「高齢出産の方には全員聞いていますから」とおっしゃっていましたが、同じく高齢出産だった次男の時に説明はありませんでした。
『8年という年月が経っているし。方針が変わってるのかも…』と思いましたが、どうしてもネガティブな方に考えてしまいました。
それでも、私は出生前診断を受けず、長女を出産することを選択しました。
その決断には、長男と次男の存在が大きかったと言わざるを得ません。
すでに元気に育っている長男と次男を目の前にして
「先天性異常の可能性が高いというだけで、命を奪えるのか?」
「この子達と同じように元気に育つ可能性もあるのに?」
という気持ちが消せませんでした。
当然、もし長女に先天性の異常があった時、兄妹である長男と次男への負担も考えました。
私達夫婦は高齢となりますので、より一層2人への負担は大きいだろうという不安が頭をよぎりました。
ただ、将来の不安よりも目の前の幸せが、その時の私には重要に思えたのです。
ハッキリした結果を得るために羊水検査を受けることも考えましたが、羊水検査を受けることは「=(イコール)堕胎という選択肢」を受け入れることだと考えており、子どもの命を奪うことを前提とした考えはどうしても選ぶことができませんでした。
あくまで仮定の話ですが、もし私が長女を妊娠したのが第1子だったら…
出生前診断を受けて、結果によっては堕胎を選択していたかもしれません。
前回とあきらかに違った妊婦ライフ
長女出産を決めた私でしたが、長男・次男の時とはあきらかに体調が違いました。
初めての悪阻。
幸いにも、長男と次男の時には悪阻はありませんでした。
しかし、長女のときは違いました。
軽い船酔いのような気持ち悪さが続き、日中はほとんどソファで横になっている日々。3人目にして初めて「これが悪阻か・・・」と実感しました。
妊娠5ヶ月以降は妊娠糖尿病と診断され、食事毎に血糖値の測定とインスリン注射が必要になりました。
妊娠8ヶ月以降は足の浮腫みがひどく、今まで履いていた靴は全て履くことができず、メンズ物のサンダルを履いて過ごしました。(娘が夏産まれで良かったです 笑)
出産予定日1週間前には、とうとう血圧が下がらなくなり「妊娠高血圧症候群」の診断が下りてしまいました。
妊娠中の母体に影響するトラブルは全て体験したような長女妊娠ライフですが、先生達も明るく対応してくださり、必要以上にネガティブになること無く過ごすことができました。
無事に出産!でも・・・
妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群、そして高齢出産ということもあり、病院スタッフが万全な状態での出産を進められ、計画出産を提案されていました。
また、出産後は長女は小児科の方でしばらく様子を見るという説明を受け、保育器に入ることが決まっていました。
何故かというと、へその緒を切った時点で子どもの血糖値がガクンと下がり、子どもも糖尿病になる可能性が高いという説明だったと記憶しています。
すごくザックリとした説明で申し訳ないのですが、自分が妊娠糖尿病になったことが、子どもの病気にもつながるなんて思ってもいなかったので、驚いたとともに落ち込んだことを覚えています。
結局は、計画出産のために前日入院したベッドで破水して陣痛が始まり、約2時間後の夜間に出産となりました。
スタッフも手薄の中、計画出産の予定がまったく計画通りに行きませんでしたが、母体の血圧・血糖値も安定したまま出産できたことは非常に運が良かったと思っています。
甘くなかった40代の妊娠・出産。そして現在
とても簡潔に書かせて頂きましたが、常に体がしんどかった長女の妊娠ライフは、あきらかに長男・次男のときとは違いました。
そうして産まれた長女は2019年現在、4歳になりました。幼稚園が大好きで、口達者な元気な女の子に成長しています。
そんな長女を目の前にしながら、妊娠・出産当時を思い起こすと、元気な今は本当に運が良かっただけなんだと思っています。
その運を幸せの形にするためにも、私は母として頑張ろうと思います。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
【参考】
「ARTデータブック2016年版(https://plaza.umin.ac.jp/~jsog-art/)」公益社団法人日本産科婦人科学会
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