高齢者と若者の貯蓄格差は1500万円以上。「持てる世代」と「持たざる世代」とは
LIMO / 2019年8月25日 20時45分
高齢者と若者の貯蓄格差は1500万円以上。「持てる世代」と「持たざる世代」とは
若年世代と中年・高年世代により、貯蓄や負債の状況には差が見られます。その全体を見渡していると、貯蓄に余裕のある「持てる世代」と余裕のない「持たざる世代」の存在に気が付くでしょう。
両者には、一体どのような違いがあるのでしょうか。お金を貯める方法もあわせてご紹介します!
「持てる世代」と「持たざる世代」って?
それぞれの世代では、いくらぐらいの貯蓄や負債があるのでしょうか。
2019年5月に総務省が発表した『家計調査報告(貯蓄・負債編)-平成30年(2018年)平均結果-(二人以上の世帯)』から、世代別の貯蓄額・負債額のデータを見てみましょう。比較的余裕がある世代もあれば、ギリギリの状態をなんとか維持している世代もあります。
【世代別の一世帯あたり貯蓄現在高平均値】
40歳未満:600万円
40代:1012万円
50代:1778万円
60代:2327万円
70歳以上:2249万円
一世帯あたりの平均貯蓄現在高は1752万円となっており、世代が上がるほど貯蓄が多い傾向がうかがえます。
40歳未満の貯蓄現在高平均値が600万円であるのに比べ、60代は2327万円、70歳以上は2249万円と4倍近い差がうまれています。
さらに、各世代の負債額についても見てみましょう。
【世代別の一世帯あたり負債現在高平均値】
40歳未満:1248万円
40歳代:1105万円
50歳代:683万円
60歳代:207万円
70歳以上:104万円
世代が若いほど負債額が多く、住宅ローンなどの大きな負債を抱える世帯が多くなっていることが分かります。ローンの負担は住宅・土地の資産価値も意味していますが、一世帯あたりの平均負債現在高は558万円でした。40歳未満は負債額が最も多く、年齢による賃金の面を考えると家計負担も大きくなっているはずです。
その一方、十分な生涯賃金と退職金を得られるシニア世代は、若い世代に比べ余裕がある様子がうかがえます。このように「持てる世代」と「持たざる世代」が存在しているのは、世代間ごとによる経済状況の違いが顕在化したものだといえます。
「持たざる世代」は消費傾向にも特徴が
2019年3月、SMBCコンシューマーファイナンス㈱が実施した『30代・40代の金銭感覚についての意識調査2019』によると、30代から40代の消費意識にも特徴があるようです。
「多少無理しても、いいものにお金をかけたい」
・・・「そう思う」46.7%
「購入検討する際、同じ商品群・サービスの中で「最安値」のものは必ずチェックする」
・・・「そう思う」81%
30代・40代の多くの人が物を購入する際に慎重に比較・検討をしていることが分かります。
また、自己投資(スキルアップのための勉強や資格取得など)について
「自己投資にお金をかけたい」
・・・「そう思う」52.2%
約半数が自己投資への支出に肯定的に回答しています。
[ひと月あたりに使っている金額]
・自己投資(スキルアップのための勉強や資格取得など)…平均7567円
・自分磨き(美容やファッションなど外見磨き)…平均7262円
これ以外にも、「自分の趣味嗜好に合う「もの」や「こと」」に対しては、月平均1万2281円使っているようです。
将来を見据えた自己投資や、自分が本当に好きなことがらに対する消費が多いようです。「将来の自分にとってどうか」「今の自分が本当に満足するものか」という「自分視点」を重視しているといえるのではないでしょうか。
年金問題が一番不安…「老後2000万円問題」
2019年6月に大きなニュースとなった「老後2000万円問題」があります。「老後は年金だけでは足らず、夫婦が95歳まで生きていくには年金にプラスして2000万円の貯蓄が必要」との内容が書かれた金融審議会『市場ワーキング・グループ』の報告書が話題となりました。これまで何度も問題を起こしてきた年金問題が再燃し、大きな批判を浴びています。
社会情勢によって給付水準が変わる「マクロ経済スライド」が採用されている以上、受給年齢引き上げや受給額の減額は避けられなくなってきます。しかし少子高齢化の加速は数10年前から予測できていたことですし、景気の停滞から早や20年。少子化対策や年金制度に関する政府からの説明は、国民が納得できる対応ではないことも事実です。
さいごに
若い世代は終身雇用制度も保証されておらず、雇用形態も契約社員などの不安定な状態の人も多くいます。住宅ローンや教育費がどんどん家計を圧迫していくこともあるでしょう。今の若い世代がシニア世代になったとき、どれほどの貯蓄額があるのでしょうか。
貯蓄をしていく余裕もなく、労働環境や非正規雇用問題、子育て世帯の負担、介護者のなり手不足の問題など、国費で対策すべき問題が山積みになっています。
超高齢社会である日本は、「シルバー(高齢者)民主主義」といわれています。そもそも高齢者よりも若年層が少数派となっていますが、若者の投票率の低さが拍車をかけています。現代を生きる若者だけではなく、これから生まれてくる将来世代がその負担を背負うことになってしまいます。自分の意思表示ができる手段を無駄にせず、できることから取り組んでいきたいですね。
【参考】
『家計調査報告(貯蓄・負債編)-平成30年(2018年)平均結果-(二人以上の世帯)(https://www.stat.go.jp/data/sav/sokuhou/nen/index.html)』総務省統計局
『30代・40代の金銭感覚についての意識調査2019』SMBCコンシューマーファイナンス
【ご参考】貯蓄とは
総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。
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