「駐夫」を決意!周囲の反応は?…多様化するキャリアの選択
LIMO / 2019年8月28日 19時45分
「駐夫」を決意!周囲の反応は?…多様化するキャリアの選択
日本企業の海外進出やグローバル化に伴って、海外で生活をする日本人が年々増えています。
2018年発表の外務省の統計によると、その数は135万人となり過去最多を記録しました。その64%を締めるのが「長期滞在者」つまり企業の駐在員や留学などいずれ帰国をする人々です。
働き方が多様化する近年は、パートナーの海外赴任に同行して駐在するいわゆる「駐在妻」、さらには「駐在夫」を選択する人も増えているそう。
女性だけではなく男性もキャリアを ”自ら選ぶ” 時代。今回は「駐夫」となった男性のケースをみながら、キャリアの多様化について考えます。
「駐妻」ならぬ、「駐夫」!?
夫の海外赴任についていく「駐妻」という言葉、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
海外生活を送れる!というイメージから憧れる女性も多いといいますが、母国語が通じない地域での生活の苦労や、休職や退職など自身のキャリアがどうなるのかという不安ももちろんあります。そんな中同じ不安を抱えながらも、自ら「駐夫」となる道を選んだ男性がいます。
都内の企業に勤める30代のAさんは、仕事を辞めて海外赴任中の妻の住むアメリカへ行くことを決意、駐夫となる道を選びました。9月からは現地で語学を学び、試験に合格すればそのまま現地のビジネススクールに進学して、海外でビジネススキルを身につけたいとのこと。
もともとAさんの妻は昨年から海外赴任をしていましたが、その際は自身の仕事の都合もあったため妻のみの単身赴任を選んだといいます。ただその当時も自分も海外へ行ってみたいという気持ちはあったというAさん。そんなAさんの気持ちを変えたのは、周囲の人たちの声でした。
駐夫になることを決意させた周囲の反応
Aさんが相談した人たちは全員「チャンスがあるなら海外に行ったほうがいい!」と背中を押してくれたと言います。正直なところ「仕事を辞めて海外に行くなんて」というこれまでのキャリアが途絶えてしまう不安な気持ちが心の中にあったAさん。
けれど上司が「必要だったら帰国後うちの会社に戻ってこい」と言ってくれたことや、Aさんの家族や妻の家族も、仕事を辞めることよりも、新しい挑戦への応援や夫婦が揃って暮らすことを喜んでくれたことで、決意が固まったと言います。
周囲の理解があるだけでポジティブに将来のことを計画できる、とAさんは新生活に期待を寄せているそうです。Aさんだけではなく、近頃は駐夫や駐妻など180度キャリアが変わるような決断も徐々にしやすくなってきています。
実は増え始めている制度や考え方
「配偶者同行休業制度」をご存じでしょうか。この制度はもともと ”国家公務員の継続的な勤務を促進するため、外国で勤務等をする配偶者と外国において生活を共にするための休業制度” として2014年に政府が導入したもの。この導入を機に企業でも制度化されるケースが増えてきています。ただし実際にその制度を利用する人は、まだまだ少ないといいます。
とくに決まった制度が整っているというわけではありませんが、一度辞めた社員を再度雇用する “出戻り” という考え方も浸透してきています。求人情報メディアのエンジャパン㈱の『企業の出戻り(再雇用)実態調査2018』によると、再雇用社員は即戦力にもなるし、人柄もわかっているから安心して雇用できると7割以上の企業が前向きな回答をしています。
先述のAさんも上司の一言から、転職ではない形で会社を辞めること=キャリアの中断ではないと考えられたと言います。むしろ語学力や海外で生活をしているからこそ得られる経験を、自らのキャリアのスキルアップに繋げたいと意欲的。企業の柔軟な体制も新たなキャリアへの挑戦を後押ししてくれる大切な要素だとわかりました。
まとめ
終身雇用や年功序列が当たり前ではなくなったこのご時世、女性の働き方の多様化に加え、働くだけではないキャリアを選ぶ男性も増えています。
リスクだけに目を向けず駐夫という道を選ぶ人たちの決断が、自らの人生は自らの意志で進みたいという人たちにとっての後押しとして、益々注目を集めるようになるのではないでしょうか。
【参考】
『海外在留邦人実態調査』(外務省)
『配偶者同行休業制度』(人事院)
『企業の出戻り(再雇用)実態調査2018』(エンジャパン株式会社)
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