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サラリーマンの夫が亡くなった時、妻に支給される遺族給付はどのくらい?

LIMO / 2019年9月6日 19時45分

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サラリーマンの夫が亡くなった時、妻に支給される遺族給付はどのくらい?

老齢年金より前に受給する可能性がある遺族・障害給付だが…

先の参議院選挙で争点の1つだった公的年金の2,000万円不足問題に加え、8月27日に厚労省が公表した「年金財政検証」により、現在の公的年金制度を維持するための法改正に向けた議論が活発になりつつあります。

ところで、公的年金は主として、A)老齢年金、B)遺族年金、C)障害年金の3つに分類されますが、現在、前述したような議論になっているのは、原則65歳から支給されるA)の老齢年金です。

しかし、その老齢年金よりも前に受給する可能性があるのが、残り2つの遺族・障害給付です。残念ながら、この2つを受給する場合は、ご自身またはご家族に危機(不幸)が訪れることに他なりません。表現は適切でないかもしれませんが、不幸はある日突然やって来ます。したがって、緊急時や危機が起きた時の公的年金制度を知っておくことも大切と言えるでしょう。

サラリーマンの夫が突然亡くなった時、妻が受給できる遺族給付は?

今回は、一家の家計を支える大黒柱であるサラリーマンの夫が、ある日突然亡くなるケースを考えてみます。残された妻はどのような遺族給付を受給できるのでしょうか?

話を簡単にするために、亡くなる夫は働き始めてからずっと会社勤め、つまり、国民年金第2号被保険者であったとします。途中で自営業や無職(アルバイト)の期間があると、少しややこしくなりますので、今回はそのパターンは省略します。

また、残された妻はいわゆる“専業主婦”、つまり、国民年金第3号被保険者とします。また、主婦が年間130万円以下のパート収入がある場合も“専業主婦”とみなされます。ちなみに現在、国民年金第3号被保険者は約870万人います(平成29年度)。

なお、遺族給付を受給するためには、亡くなった夫が定められた保険料納付要件を満たしていることが必要不可欠です。ただ、サラリーマンの場合、保険料は給与天引きとなっているため、要件を満たさないケースは稀と考えられます。

「子供がいるかどうか」「妻の年齢」が重要な2つのポイント

サラリーマンの夫が亡くなった時、その妻が受給対象となる遺族年金には、1)遺族基礎年金、2)遺族厚生年金の2つがあります。ここで重要なポイントは、会社勤めの夫が亡くなった時、「子供がいるかどうか」と「妻の年齢」です。

結論から言うと、子供がいない場合、受給できる遺族年金は少額に止まる可能性が高く、なおかつ、30歳未満(子供なし)の場合は受給期間も非常に短期となります。

遺族基礎年金

遺族基礎年金の受給資格は?

遺族基礎年金の支給対象者は、「子のある配偶者」もしくは「子」です。ここでの配偶者は妻を指します(以下同)。ということは、子供がいない場合、つまり、「妻」のみでは、遺族基礎年金は一切支給されません。

ただし、国民年金法でいう「子」とは、18歳年度末までの子を意味します。ザックリ言えば、高校3年生までが「子」となりますので、たとえば、夫が亡くなった時に妻と大学生の子供1人の場合は支給対象から除外され、1円も支給されません。また、夫が亡くなった時に中学生の子供がいた場合、その子供が高校を卒業すると支給されなくなります。

このように、結構厳しい基準があるのです。なお、夫の死亡当時に胎児であった場合は、出生したときから「子」として扱われ、遺族基礎年金の支給対象になります。

このように、遺族基礎年金では子供がいるかどうかが重要なポイントになります。遺族基礎年金は、“子供が高校を卒業するまで少なからず援助しましょう”という性格の遺族給付です。

受給できる金額はいくらか?

遺族基礎年金の支給額は、基本年金額(780,100円)に「子」の人数に応じた加算額(1人目と2人目は1人に付き224,500円、3人目からは1人74,800円)を加えた額となります。

この金額は、亡くなった夫の収入や保険料納付期間と関係なく、一律の基準となります。

遺族厚生年金

遺族厚生年金の受給資格は?

今回は(現役の)サラリーマンである夫が亡くなった時を想定していますから、原則的に、妻に遺族厚生年金が支給されます。遺族基礎年金とは異なり、子供がいるかどうかは問われません。妻のみでも支給対象となります。

ただし、夫の死亡時に「30歳未満」でかつ「子のいない」妻の場合、5年間の有期支給となります。たとえば、夫の死亡時に28歳で子供がいない場合は、34歳から支給されなくなります。しかし、夫の死亡時に妻が30歳未満でも子供がいれば、その子供が18歳年度末(=高校卒業)に達するまでは支給されます。

表現が適切でないかもしれませんが、“子供のいない若い未亡人は、最長5年間の支給期間の間に新たな生活基盤を準備して下さい”ということでしょう。ここで言う“新たな生活基盤”とは、再婚や就職・自営などの経済的な自立を意味します。やはり、ここでも厳しい基準が設けられています。

遺族厚生年金はいくら支給されるのか?

遺族厚生年金の支給額は、遺族基礎年金とは違って非常に複雑です。ただ、本当にザックリ言うと、死亡当時の夫の報酬額に比例します。基本的には、老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3であり、納付月数が反映されます。ただし、夫の会社勤め期間が300カ月(=25年)未満の場合は、300カ月とみなして計算されます。と言われても、ピンと来ない方が圧倒的に多いでしょう。

これも本当にザックリした粗々の計算ですが、年収700万円で会社勤め10年間の夫が亡くなった場合、支給される遺族厚生年金は約70万円程度と推察されます。実際問題として、この遺族厚生年金額のみで生計を立てるのは難しいと言えるでしょう。

サラリーマンの夫が亡くなった時、支給される遺族給付はいくらか?

では、サラリーマンの夫が亡くなった時、遺族給付はどのくらい支給されるのか。以下に3つかのケースを例示しました。なお、遺族厚生年金の金額は、筆者が粗々で計算したものですのでご留意願います。

<ケース1>

夫(45歳、年収900万円)、妻(44歳)、長男(大学2年)※、次男(中学3年)、長女(小学6年)

1)遺族基礎年金=780,100円+224,500円×2人分=約123万円

2)遺族厚生年金=約76万円(推定)

ただし、長女が高校を卒業以降は、1)=0円になり、2)のみ。

※長男(大学2年生)は18歳年度末を過ぎているため、加算される「子」ではない。

<ケース2>

夫(31歳、年収500万円)、妻(27歳)、長男(1歳)

1)遺族基礎年金=780,100円+224,500円×1人分=約101万円

2)遺族厚生年金=約51万円(推定)

ただし、長男が高校を卒業以降は、1)=0円になり、2)のみ。

<ケース3>

夫(31歳、年収500万円)、妻(27歳)、子供なし

1)遺族基礎年金=0円

2)遺族厚生年金=約51万円(推定)

ただし、5年後には2)=0円となり、一切の遺族年金は支給されない。

遺族給付は必ずしも未来永劫支給されない

なお、遺族年金は未来永劫支給されるわけではなく、以下の事項に該当すると即座に支給停止となりますので、ご注意ください。

妻が再婚した場合

子供が全員18歳年度末に達した場合(遺族基礎年金)

18歳未満でも子供が結婚した場合(遺族基礎年金)

また、遺族年金が支給される妻は、法律上の婚姻関係にあることが絶対条件です。いわゆる内縁の妻や事実婚は対象外となります。

いかがでしょうか。なかなかこの記事だけでは理解が難しいと思われますが、将来の危機に備えようとしていただく一助になれば幸いです。最後にもう一度言います「不幸はある日突然やって来ます」。

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