車を「買う・売る」のは消費増税前と後どっちがいい? 増税に伴う自動車関連税制の変更とは
LIMO / 2019年9月15日 10時45分
![車を「買う・売る」のは消費増税前と後どっちがいい? 増税に伴う自動車関連税制の変更とは](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushin1/toushin1_13330_0-small.jpg)
車を「買う・売る」のは消費増税前と後どっちがいい? 増税に伴う自動車関連税制の変更とは
いよいよ10月1日から10%に増税される消費税(軽減税率対象品を除く)。いずれ買おうと思っている物を9月中に購入したり、増税後の節約を考えたりしている人は多いでしょう。
日用品や家電はもちろんのこと、車のような大きな金額が動く買い物は増税の大きな影響を受けることが懸念されます。しかし、増税前の駆け込み需要はそんなに発生していないとのこと。それは一体なぜなのでしょうか。中古車輸出の専門商社、株式会社ENGの山口和樹さんに増税前後の車事情を聞きました。
10月1日からの消費税増税に関して車が受ける影響
――増税に伴い、増税に伴って車に課される「環境性能割」が始まると聞きました。詳しく教えてください。
山口和樹さん(以下、山口):増税に伴って車関係が受ける影響のひとつは、まず50万円以上の自動車を購入した時にかかる地方税「自動車取得税」が廃止されることです。自動車取得税の税率は自家用車が3%、事業用車と軽自動車が2%でした。自動車を購入した時の消費税とこの自動車取得税の負担感が大きいことから、これまでも反対の声がありましたが、今回の増税で廃止となりました。
この自動車取得税の代わりに増税に伴う軽減措置として導入されるのが、新車中古車問わず購入時に適応される 「環境性能割」。これは、走行に際するCO2排出量などの環境負荷に応じて非課税~3%までの間で課税が決定される仕組みです。
たとえば電気自動車やハイブリッド車など、燃費基準を達成した低燃費の車に対しては非課税になるなど税金負担が軽減されます。一方、燃費基準によっては3%の課税になる自動車もあるので、電気自動車やハイブリッド車以外においては自動車取得税とさほど変わらない税負担になる場合もあるので注意が必要です。
――毎年4月1日時点で自動車を所有している人に課せられる自動車税についてはどうでしょうか。
山口:自動車税にも増税による変更があります。2019年10月以降に購入した新車(軽自動車を除く)から、毎年かかる自動車税は排気量に関わらず年額1000円から4500円の範囲で引き下げられます。細かく見ていくと、軽自動車により近い、もともと金額が少ない排気量が小さな車ほど、引き下げ額が大きくなります。1000~1500ccあたりの車に乗られている方は、実質で10%以上の軽減と、ある程度のメリットは感じられると思います。
つまり、消費増税によって自動車の本体価格は実質負担が増えるわけですが、他の税金まわりを調整して増税前後でそこまで大幅な変動が起きないよう、緩和措置が取られていると考えていいでしょう。そのため、増税前に急いで自動車を買う必要はそこまでないように思われます。
増税前と増税後、今乗っている車を売却するならどっち?
――自動車購入に関しては、増税前後どちらで買っても大きな変動がないことがわかりました。一方で、増税後に高値で売却できそうな車種はありますか?
山口:弊社は輸出専門なので海外への輸出という面から見ると、国内外問わず人気の車種は増税に関係なく値崩れしないので、いつ売却しても良いと思います。具体的な車種で言えば、上記のような理由からもハイブリッドや電気自動車は国内で人気が出ると予想されるので、高値で売却することも可能でしょう。
またそれ以外の自動車でも、購入時に高かったとしても1~2年で売却してローン残債を一括で返済できるほど値が落ちない例も多々あります。新興国ではミニバンやSUVが非常に人気で、かつ高年式車(5年未満の車)での取引だからです。実質、国産高級車を1~2年数万円から十数万円で乗るのと同じことです。
具体的な車種で言うと、トヨタのヴェルファイア、アルファード、ランドクルーザー、ハリアーあたりは国内外問わず人気があるため、売却候補が多く、高値で取引されるケースが多いです。
――逆に増税前に売却した方が自動車はありますか?
山口:上記以外の自動車についても、増税前後で売却金額に大きな違いはないのではないでしょうか。ただ、増税後は実質負担のあるなしにかかわらず、心理的な面からも消費の一時的な抑制が考えられます。実際、過去に消費税が5%から8%になった際も、消費の抑制がありました。もしすでに売却を考えているのであれば、増税前の早めの段階で検討することをおすすめします。
今回の増税幅は2%です。これまで説明してきたように、増税幅が10%を超えるような大幅増税でない限り、自動車の売買はいずれも実質的な負担はそこまで変わらないというのが業界的な認識です。
総合的に考えても、コンパクトカーや電気自動車はコスパが良い
――ほかに消費税増税タイミングで特筆すべき点はありますか?
山口:増税による全体的な物価上昇や、他の増税についても考慮しておいた方がいいのではないでしょうか。自動車本体はもちろんのこと、ガソリン代や高速代、駐車場代などの値上げは予想されています。自動車を所有している人やこれから売買を検討している人は、一度、維持費を含めた全体的なコストを見直す必要はあるでしょう。
トータルで考えると、やはり相対的に維持費のかからないコンパクトカーや軽自動車、また電気自動車などの自動車は増税後の購入や所有において負担がより少なく感じられるとは思います。
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