「子どもが小さければ問題ない」は本当?「ステップファミリー」の人に言えない悩みと現実
LIMO / 2019年9月16日 20時45分
![「子どもが小さければ問題ない」は本当?「ステップファミリー」の人に言えない悩みと現実](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushin1/toushin1_13389_0-small.jpg)
「子どもが小さければ問題ない」は本当?「ステップファミリー」の人に言えない悩みと現実
「結婚する人はする、しない人はしない」これは本当かもしれない。
『平成30年(2018)人口動態統計月報年計(概数)の概況』によると、婚姻件数は58万6438組と前年より2万組の減少となっている。しかし離婚件数は若干の減少(約4000組減少)の20万8333組とほぼ横ばいだ。そして再婚件数の割合は、夫19.7%、妻16.9%となっており、夫妻ともに2017年より0.2ポイント上昇している。再婚が増加傾向にあるようだ。
しかし再婚には、否定的な意見も多い。再婚相手の連れ子虐待などがニュースになり、「子連れの再婚は子どもがかわいそう」と思う人もいる。これが影響してか、そもそも「再婚」を周囲に反対されたり、「再婚による悩み」は自己責任で片づけられやすい。今回は「再婚」の中でも子連れ再婚、いわゆる「ステップファミリー」の悩みについて、筆者の経験も交えて紹介する。
「子どもが小さければ問題ない」は本当か?
筆者はシングルマザーであったが、長男が3歳の時に再婚した。そのため「子どもが小さいうちに再婚できてよかったね」「子どもは本当の父親のことなんて覚えていないでしょ?だから問題ないよね」と周囲に言われ、祝福された。
筆者自身も、「子どもが小さいうちに…」と思っていた部分もある。
しかし、よく見聞きする「再婚相手による連れ子の虐待」は、連れ子が乳児~幼児の場合が多いように感じていた。もちろん、ただニュースになっていないだけで、子どもが10代の場合なども虐待・性的虐待があるのだと思う。
子どもが小さいうちに再婚し、もう数年経つが、やはり「ステップファミリー」は子どもが何歳であっても不安はあるし悩みもあるのではないか…と思うようになった。子どもがある程度の年齢の方が、再婚についてまず「理解を得る」というところが大変…など、言い出したらキリがないが、「再婚」には初婚同士の結婚にはない「モヤモヤ」があることは間違いない。
夫婦で話し合って話し合って…それでも夫の悩みは深かった
息子は筆者の連れ子のため、夫からしてみれば突然「父親」になるわけで、心がついていかないのだと思う。
血のつながっていない子どもと親子関係を築く方法…なんて、書籍を読んでもインターネットで検索してもピンとくるものはなく、気軽に周囲に相談できる内容でもない。息子が就寝後は夫婦の話し合いを繰り返した。
子どもと接する時間の積み重ね…ということもあるが、たぶんこれは家族全員が「血のつながりは関係ない」と心の底から思うことが重要なように感じた。
しかし再婚前からそう思える人は少ないのだとも思う。実際に一緒に生活をして初めて気づく「生活習慣の違い」「価値観の違い」は大なり小なり夫婦にもあるが、もちろん親子関係にも存在する。親子は夫婦と違って、自らが選んだ関係ではない。「相手の連れ子だから注意できない」と親が思うこともあるだろうし、子どもからしても「知らない人が家にいて『親ぶってる』のは嫌だ」と思うかもしれない。『もし血のつながっている本当の親子だったら…』口には出さないが、何度も考えてしまう。
しかし「血のつながりがある親子」だから、その関係性を築く努力をしていないかというと、そうではない。親も子も悩みながら、時にはぶつかりながら生活していく。逆に血がつながっているからこそ、関係がこじれてしまうこともある。
現在の夫は、このような悩みは言わなくなった。どう思っているのか聞いたところ、「もはや関係ない。息子が自分と血縁関係がないことを知っても大丈夫な気がする」とのことで、今はそれよりも「男同士だと厳しくしてしまうことが多くて、反省している」「進学先どうしよう」などで悩んでいるらしい。
「僕のこと、前の名字で呼ばないで!」
子連れ再婚で悩むことが多いであろう、「子どもの名字どうする問題」。筆者はシングルマザーからの再婚で、旧姓から夫の名字になった。当時の息子は保育園に通っており、保育園は何でもかんでも記名するので、年度途中で名前が変わるのは先生方に迷惑だと考えた。そのため新年度でクラスが変わるタイミングで、名字を変更することにした。
息子本人は「前の名字(旧姓)の方がカッコいい」と文句を言っていたが、すぐに慣れていた。また現在の夫が息子と初めて会ったとき、フルネームで自己紹介しており、「新しい父親と仲間になった」という印のようなもの…という印象が強かったようだ。
保育園では、友人間で名字を呼ぶことはあまりない。
しかし、毎日1度だけフルネームで呼ばれることがあった…それは朝の会の出欠確認。3歳の子どもたちは様々な反応を示した。自然と新しい名字で息子を認識してくれる子、卒園まで前の名字で呼び続ける子、なぜか2年後に新しい名字で認識し直してくれる子…。子どもたちそれぞれ違う反応だったが、名字が変わったことでいじめられる…ということはなかった。
ただ1人の子だけ、「やーい、△△(前の名字)くん!」と、息子とふざけあっている時にわざと前の名字で呼ぶ子がおり、これは年長まで繰り返された。しかもなぜか息子をいじる時だけ前の名字で呼ぶので、息子も「前の名字=人にからかわれている」と認識していたようだ。
これに気づいたのが、夫婦の会話でたまたま筆者が旧姓を口にしたことがあり、その際息子が「△△(前の名字)って呼ばないで!」と激怒したことで、そのことが発覚した。
3歳といえども、名字変更に配慮は必要であった。筆者の考えが甘く、息子に嫌な思いをさせてしまった…と反省している。
まとめにかえて
子連れ再婚の悩み、というと「子どもを振り回して…そりゃ親は悩んで当然」「最初から分かり切っていたことでは?」など、周囲に冷たくされがちだ。
結婚して初めて分かることがあるように、再婚して初めて分かることもある。そのような悩みを打ち明けられるような場所もできつつあるが、まだまだ1人で抱え込みやすいのが現状だ。悩みを打ち明けられるような周囲の人や場所を見つけることも、家族関係を築く助けになる。「ステップファミリー」も1つの家族のかたち…と自然に受け入れられる社会を目指したい。
【参考】
『平成30年(2018)人口動態統計月報年計(概数)の概況(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai18/index.html)』厚生労働省
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