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孫息子だけに愛情を注いだおばあちゃんの哀しい末路

LIMO / 2019年9月18日 10時15分

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孫息子だけに愛情を注いだおばあちゃんの哀しい末路

子や孫への偏愛には要注意

同じお腹を痛めた子供でも、つい愛情が偏ってしまうことはあるものです。親子であっても、必ずしもどの子とも相性がいいとは限りません。ただ、偏愛の度が過ぎてしまうと家庭内不和が生じたり、親子断絶につながるなど良いことは一つもないでしょう。

この愛情の偏りは、何も親と子にだけに当てはまる話ではありません。祖父母と孫というと、普通は平等に愛情をかけると思うかもしれませんが、祖父母であっても一人ばかりをえこひいきしてしまい、成長と共に孫が近寄らなくなるケースもあるのです。今回は、特定の孫ばかり可愛がっていた、とあるおばあちゃんの哀しい末路を紹介します。

ある日、近所に越してきた初老の夫婦の目的とは?

筆者がまだ高校生だった頃、実家近くの小ぎれいな中古住宅に初老の夫婦が引っ越してきました。挨拶をされた筆者の母によると、娘の育児を手伝うために近くに越してきたとのこと。共働きの娘夫婦のことを思って、長年住み慣れた街を離れてきたのです。「娘のために越してくるなんて、どれだけ育児が大変なのかしら」と母は不思議そうに呟いていました。

筆者も当初は、お孫さんたちが病気がちだったりハンデを抱えているのかと思っていましたが、その初老の夫婦宅に遊びに来る娘さんと二人の孫、女の子と2歳年下の弟は元気そのもの。近所の小さな公園で時々その二人が遊んでいる様子を見ても、いたって普通の子供たちでした。

そんな様子を見るうちに、単に孫可愛さに元の家を引き払ってきたのが分かりました。ただ、いつも孫息子の後を追いかけたり相手をして、お姉ちゃんを放置しているおばあちゃんの姿に違和感を覚えたものです。

「あの子が一番好き」と孫息子ばかり可愛がるおばあちゃん

町内会での集まりなどで初老の夫婦と顔を合わせる筆者の母は、会合のたびにいつも孫息子自慢をされると苦笑いを浮かべていました。

「おじいちゃんのほうは無口だし平等なんだけど、おばあちゃんの方がね」と漏らすのです。どうやら大人しく慎重な性格の孫娘とは合わないらしく、陽気で明るい孫息子の話ばかりしてくるので、周囲にいる人は適当に話を聞き流していると教えてくれました。

習い事に関してもあれこれ口出しをしているらしく、「お金は出すから孫息子に色々習い事をさせて才能を引き出したら? と娘に言っても意見を無視される」とそのおばあちゃんが不満顔で嘆いてたそうです。筆者の母は、「私たち他人にも話をしているくらいだから、本人たちの前だとさらに態度はハッキリしているだろうね」とお姉ちゃんのことを気にかけていました。

祖父母の家に寄りつかなくなったお姉ちゃん

筆者が大学進学で実家を離れると、初老の夫婦と孫たちのことを耳にする機会もなくなりましたが、たまに思い出すこともありました。数カ月経って大学1年の夏休みに帰省すると、母が表情を曇らせて私に近づいてきて突然言うのです。「今年は、お姉ちゃん来てないみたい」と。

誰のことなのか分からず母に聞き直してみると、初老夫婦の孫たちのうち弟だけ泊りにきているようだと主張するのです。「スーパーでね、お姉ちゃんとお母さんが買い物をしているのを見かけたの」と詮索好きな主婦らしく、あれこれ語り始めるので、少々うんざりした気分に。その一方で、冷たくあしらわれる祖母に会わなくてすむから清々しているのでは…、とお姉ちゃんの気持ちに思いを巡らしたりもしました。

習い事などで忙しくて泊まりに来れない、というほど孫たちの自宅と祖父母宅は離れた距離ではありません。車で5分もかからないと母も口にしていましたし、小学生になったお姉ちゃんなら自転車で来れる距離です。「やっぱり嫌なのかしらね」と筆者の母は探偵のように推理をし始めました。

そんな勝手な憶測をするのは馬鹿げたことです。しかし、これまでのおばあちゃんの言動を見聞きしてきた身として、お姉ちゃんが祖母に寄りつかなくなるのも仕方がない、と感じました。

小学生になり、自分の意思を持ち始めて「行きたくない」と口にしたのでしょうか。そんなお姉ちゃんの気持ちを尊重したお母さんが、無理に行かせなかったのかもしれません。その年以降、お姉ちゃんが祖父母宅に泊りに来る姿を見たことはありません。

あれだけ可愛がっていた孫息子も離れてしまい…

越してきた時は初老だった夫婦も、時の流れとともに老いていきました。あれだけ顔を出していた孫息子も、中学生になった頃からパッタリ姿を見せなくなったと、帰省のたびに筆者の母は一方的に報告してきます。お年玉などお金に絡むときには顔を出すので感じが悪いなどと、他人様の子に文句を言うのには正直疲れるところがありました。

しかし、そのおばあちゃんは相変わらず町内の会合では、「孫息子は勉強や部活で忙しいから大変」「孫娘は相変わらず愛想がなくて性格がキツイ」と偏愛ぶりを披露していたそうです。同い年の孫を持つ、近所のおばあさんやおじいさんの話によれば孫の印象は真逆で、「大人しいけど後輩にも優しいお姉ちゃん」と「わがままな弟」という評判でした。

結局、お姉ちゃんは父方の祖父母が住む街から近い大学に進学し、実家を離れました。祖父母と同居しながら学生生活を送り、そのままその近隣で就職したそうです。一方、母方の祖母から愛情を一身に受けていた弟ですが、このままではいけないと心配した両親の配慮なのか、かなり遠くの大学に進学し、周辺の大都市圏で就職しました。

このことにおばあちゃんは怒りを露わにし、筆者の母など近所の奥様方に娘夫婦の悪口を言いふらしましたが、ほとんどの奥様は事情を知っているので、内心呆れながら聞いていたそうです。

子供や孫への偏愛で良いことはひとつもない

他の家庭のことをあれこれ詮索するのは好きではありませんが、近所に越してきた初老夫婦を介して色々と考えさせられることがありました。

ある一人に愛情が偏ってしまうと、他の兄弟姉妹の心には大きな傷となり、家族間の関係にも悪い影響を及ぼします。間近で見続けている筆者の母にも孫と接する際の良い教訓となっている様子です。「同じ孫なのに、なんでああも差別するのか分からない」と3人の子供を持つ筆者に断言しています。

伴侶に押し切られる形で孫のために住み慣れた街を離れたおじいちゃんの方は、かれこれ25年近くたった今でも、「昔の仲間が多く住んでいるあっちに戻りたいよ」と冗談めかしく近所の人にぼやきますが、それが本心なのかもしれません。

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