中高年のひきこもりには女性も2割超。親の死後には生活困窮が待っている!?
LIMO / 2019年9月20日 19時45分
中高年のひきこもりには女性も2割超。親の死後には生活困窮が待っている!?
親や親族との同居は、人それぞれに事情もあるので必ずしも悪いこととは言い切れません。ただ、親の収入に頼り、仕事をしなくてもなんとかなるという状況に甘えて、最近社会問題となっている「中高年のひきこもり」を生む危険性があるのも見逃せない側面です。
なぜ未婚男女は親と同居を続けるのか
不動産情報メディアの「マンションサプリ」は、親または祖父母と同居中の20代~50代未婚男女を対象にしたアンケート調査を行っています(2016年9月)。
その結果を見ると、同居理由の第1位は「生活費を節約したいから」で男性28.3%、女性32.0%と、男女ともに全体の約3割。続く第2位は「特に理由はない」(男性22.2%、女性21.9%)、第3位は「家事や炊事をしてもらえるから」(男性16.7%、女性14.1%)となっています。
実家で暮らすなら、一人暮らしと比べて家賃や光熱費などの生活費を大幅に抑えることができます。十分な賃金をもらえていない若い世代は、本人の意思に関わらず実家暮らしを余儀なくされているのかもしれません。
また、「特に理由はない」というのは「実家暮らしが不快ではなく、わざわざ出て行く必要がない」という意味にも捉えられます。もし実家が経済的に困窮していたり、親子の仲が悪ければ、同居したくてもできないということになるでしょう。特に理由はなくても実家に住み続けることができるのは、ある意味恵まれた環境とも言えます。
女性に注目して年代別に見てみると、20代女性、30代女性ともに第1位の理由は「生活費を節約したいから」。第2位以降は年代によって順位に違いが見られます。特に20代女性では「一人暮らしが寂しいから」という理由が4%であるのに対し、30代女性は15%と大きく跳ね上がっているのが特徴的です。
この年代だと、周りが結婚して家庭を作り始める中、自分が独身だと休日に遊べる人がいなかったり、子どもの話を共有できなかったりと寂しくなる気持ちも理解できます。単純にお金のことだけではなく、心理的な理由から実家暮らしを選択する女性もいるのでしょう。
社会問題化する「中高年のひきこもり」
平成31年3月に内閣府は「生活状況に関する調査(https://www8.cao.go.jp/youth/kenkyu/life/h30/pdf/s3.pdf)」の中で、40歳〜64歳で半年以上ひきこもり状態になっている人の数を次のように発表しました。
①趣味の用事のときだけ外出する人は推定24万8000人(準ひきこもり)
②近所のコンビニなどに出かける人は推定27万4000人(狭義のひきこもり)
③「自室からは出るが家からは出ない」と「自室からもほとんど出ない」を合わせた人の推計は9万1000人(狭義のひきこもり)
①から③を合わせた「広義のひきこもり」は61万3000人に上ります。また、ひきこもりになった主な原因としては、「退職(定年退職)」「人間関係がうまくいかなかった」「病気」「職場になじめなかった」などが挙げられています。
特に就職氷河期で大学卒業後にうまく就職先を見つけられず、非正規やパートの仕事しかなく、結婚もできず、ひきこもりになってしまったケースも目立つようです。
同調査では、ひきこもりを始めてから7年以上になるという人が半数ちかくいることも分かりました。また、父または母が生計を立てている割合は34.1%となっています。
この人たちがこのままの状態で親世代が亡くなれば、生活保護受給者となることも十分に考えられます。これを支える社会保障費のしわ寄せは若い世代にくるため、ひきこもりの人たちが社会復帰できるような対策を立てることは急務だと言えるでしょう。
女性のひきこもりも意外と多い
また、「ひきこもり=男性」というイメージが強いかもしれませんが、同調査によると、広義のひきこもりの23.4%が女性。これまで女性のひきこもりは、「家事手伝い」として実家にいたとしてもあまり深刻な問題になりにくかったようです。
しかし、職場での人間関係に悩んだ結果退職したり、メンタルが弱く働くことができなかったりと、さまざまな事情でひきこもりに陥るケースがあるといいます。
一昔前は女性は結婚さえしてしまえばなんとかなるという風潮もありましたが、最近では共働きが当たり前になっているため、働いて稼ぐことができない女性は婚活市場から淘汰されてしまいつつあるのかもしれません。「仕事も上手くいかず、結婚もできず、実家にひきこもるしかない」という状況は今後さらに増えていく可能性もあるでしょう。
おわりに
社会問題として認識されつつある中高年のひきこもり。親の収入や年金に頼っていると、親の死後は一気に生活が行き詰まることが予想されます。このままだと生活保護の受給者が増加し、それを支える若者の負担がますます増えてしまうでしょう。ひきこもりになってしまった人の自立支援を真剣に考える時がきているのではないでしょうか。
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