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流産、死産は突然やってくる。妊娠15週の死産を経験してわかった「誰のせいでもない」ということ

LIMO / 2019年9月22日 10時45分

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流産、死産は突然やってくる。妊娠15週の死産を経験してわかった「誰のせいでもない」ということ

芸能人だけでなく、一般の人においても35歳以降の高齢出産がとても多くなってきました。最近では女優の小雪さんの姉・弥生さんが44歳で第一子を出産したことが話題になっています。

一方で、高齢出産は子どもの先天性障害や難産の可能性、母体の病気、流産率の上昇など、さまざまなリスクが懸念されているのも事実。一般的に「妊娠、出産は若い方がいい」と言われるのは、子育てで必要な体力はもちろん、そうした出産リスクが少しでも低いうちにという考え方があるのは当然のことでしょう。

しかし、何歳であろうと妊娠や出産には常にリスクがあるもの。20代で原因不明の死産を経験した筆者の経験をお話します。

順調な妊娠生活に突然やってきた激しい腹痛

それは筆者が27歳だった頃、夫と入籍した約半年後のことでした。妊活を始めてすぐに出た妊娠検査薬の陽性反応。筆者はめでたく、第一子を妊娠していました。

産婦人科の2回目の受診時には妊娠8週目となって赤ちゃんの心拍確認もでき、エコー写真の下に記された出産予定日を見て「いよいよ母になるんだ!」と喜びがこみ上げていた筆者。その後、「もう順調ですね」と先生からOKをもらったので役所で母子手帳も受け取り、きたる出産と産後の子育てに向けてさまざまな準備を進めていきました。

その後はつわりも、トラブルらしきものも一切なく、むしろ妊娠した実感がないくらいに順調な妊娠生活を送っていくことに。無理はしない程度に、いつも通り仕事もこなしていました。

妊娠15週になり、いよいよ来週から安定期に入るため、「仕事関係の人にも妊娠を伝えていかないとな」と思っていた頃。夜に生理痛のようなかすかな鈍痛を下腹部に感じたため、家のベッドで横になって休んでいました。”もう病院は開いていないから今夜はとりあえずこのまま休み、明日の朝いちばんで産婦人科を受診しよう”と、そのまま眠りに就きました。

しかし翌朝、激しい腹痛で目が覚めます。「これはおかしい」とすぐに病院に行く準備をしようと立ち上がった瞬間、どろどろとした感触の出血がとめどなく流れ出ました。妊娠15週での突然の後期流産。妊娠12週を越えていたために行政上では「死産」となり、死産届も提出しなければなりませんでした。

「命の誕生や母体の力は、産婦人科医でもわからないことが多い」

中学時代には陸上、高校時代にはサッカーとスポーツに明け暮れていた筆者。妊娠前に検査した骨密度や筋肉量は十分で、「アスリート並ですね!」と担当者に褒められたほどでした。

タバコも吸わず好き嫌いもなくなんでも食べ、今でも適度に運動をし、体脂肪率も「最も妊娠しやすい」とされる標準値。さらに年齢も20代と、あらゆる点から妊娠中は「自分は若いし、健康体だから大丈夫」と信じて疑いませんでした。

突然流れ出てしまった「胎児」の欠片を検査に出した数日後、結果を聞きに産婦人科を訪れた筆者が先生から言われたのは「残念ながら、はっきりした原因はわかりませんでした。もしかしたら数日前に心臓が止まっていたのかもしれませんし、もともとなんらかの染色体異常があったかもしれません」という説明。

そして予期せぬショックや悲しみで号泣している筆者に向かって、先生は「たとえ、同じ条件で水や日光などの栄養を与えても、すべての種が同じように成長して花になるとは限りません。命の誕生や母体の力は、我々産婦人科医でもわからないことがとても多いんです」とも続けました。

「高齢出産はリスクがある」と言われすぎてマヒしていた

この説明を聞いて、筆者はいくら若くて健康体だったとしても、すべての妊娠や出産には絶対大丈夫というものはなく、リスクは常につきまとうものなのだと、身をもって納得ができました。

そして同時に、「高齢出産はリスクがある」「妊娠、出産は若いうちにした方がいい」「痩せすぎたり太りすぎると妊娠しにくい」といった世の中で“常識”と思われている言説が、「確率の高低はあれど、すべての妊娠や出産にはリスクがある」という大事なことを見落とす要因にもなってしまうのではないかとも感じたのです。筆者も「自分は高齢出産じゃないから大丈夫」と、すこし感覚がマヒしていたのかもしれません。

またそうした言説によって、高齢でもないし健康体なのに流産や死産をしてしまった女性が原因を見つけるために自らのささいな言動を責めることにもつながってしまうでしょう。

筆者は実際、先生の説明を聞くまでは「20代 死産 確率」「後期流産 生活習慣 原因」などとネットで検索しては、「きっと、自分が赤ちゃんのためによくないことをしていたに違いない」と自分を責め続けていました。「死産は自分のせいではないんだ」と頭と心で理解できるまでに、結構な時間がかかったのを覚えています。

流産や死産は母親が若くて健康体でも原因不明で起こることがあるし、そして流産や死産は母親のせいではない。もし今、流産や死産を経験して悲しみに暮れている人がいたら、筆者の経験で少しでも前向きな気持ちになってくれたらと思います。

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