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「進学できなくなりました。就職します」ある高校3年生の言葉に考える、貯蓄がないということ

LIMO / 2019年9月30日 19時15分

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「進学できなくなりました。就職します」ある高校3年生の言葉に考える、貯蓄がないということ

ある年の9月の話です。大学受験を控えた高校3年生のK君が、担任の先生に言いました。「先生、大学に進学するつもりでしたが、金銭的に難しいので就職することにしました」

学費が免除される非課税世帯というわけでもなく、学校指定の学用品や、部活で必要なユニフォーム類もすべて新品でそろえていたK君。担任の先生が見る限り、彼の家にお金がないというイメージはありませんでした。しかしK君が言うには「大学受験から入学にかかる、100万円とも200万円ともいわれるお金を、払うだけの貯えが家にはないと親に言われた」とのこと。

このように、収入は普通にあるのに、貯えがないという家庭は意外に多いようです。なかには、年収1000万円なのに貯えゼロ…なんて人も。そこで今回は、「年収と貯金の関係性」についてみていくことにしましょう。

「年収」と「貯えゼロの割合」の関係は?

知るぽると(金融広報中央委員会:事務局 日本銀行情報サービス局内)が実施した「平成30年(2018年)家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](https://www.shiruporuto.jp/public/data/movie/yoron/futari/2018/)」の調査から、年収と貯金がどのように関わっているのかをみてみましょう。

「金融資産なし世帯」を「預貯金以外の金融商品や運用または将来の備えを保有しない世帯」と定義した場合、「年間年収1000~1200万円かつ2人以上世帯」のうち、金融資産を持たない世帯は7.3%も存在していることが分かりました。また、1200万円以上では3.8%となっています。収入が上がると、つい贅沢な生活をしてしまいがち。高収入だからといって、必ずしも金融資産があるとは限らないということなのでしょう。

あわせて、それ以下の年収の場合もみてみましょう。それぞれの年収のうち、金融資産なし世帯の割合は以下の通りです。

未収入:33.3%
300万円未満:34.8%
300~500万円未満:19.4%
500~750万円未満:12.6%
750~1000万円未満:9.6%

※「金融資産を保有していない世帯」とは、預貯金や株式などの金融商品を保有していない世帯と、預貯金のみは保有していてもそのうち「運用または将来の備え」がゼロの世帯を指します。

30~40代の貯蓄ゼロの割合は?

続いては、働き盛りである30~40代の状況をチェックしてみましょう。2019年3月にSMBCコンシューマーファイナンスが30~49歳の男女に実施した、「30代・40代の金銭感覚についての意識調査2019(http://www.smbc-cf.com/news/datas/chousa_190306.pdf)」をもとにみていきます。

この調査の結果では、23.1%の人が「貯蓄が0万円(貯蓄ができていない)」と回答しています。30~40代のうち、約5人に1人は貯蓄ゼロであることが分かりました。

さらに、貯蓄が「1万円~50万円以下」に当てはまる人は24.6%となっており、先ほどの「0万円」と合わせると47.7%と約半数となっています。30~40代の5割ほどが貯蓄100万円以下と聞くと、驚く方もいるかもしれません。

でも「2人以上の世帯で貯蓄1000万円」は意外にいる

働き盛りの世代で貯蓄がない人もいるからといって、「じゃあ、うちになくても当然ね」と考えるのは早計です。実は、年収や年代に関わらず、多額の貯蓄をしている人もたくさんいるのです。

では、貯金額の分布はどのようになっているのでしょうか。上述の金融広報中央委員会の「平成30年(2018年)家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]」から、「金融商品保有額のレンジごとの比率」(金融資産を保有していない世帯を含む)をみてみましょう。

金融資産非保有:22.7%
100万円未満:3.6%
100万円以上200万円未満:3.9%
200万円以上300万円未満:3.2%
300万円以上400万円未満:3.9%
400万円以上500万円未満:3.4%
500万円以上700万円未満:7.8%
700万円以上1000万円未満:6.8%
1000万円以上1500万円未満:10.0%
1500万円以上2000万円未満:7.0%
2000万以上3000万円未満:8.6%
3000万円以上:12.7%
※無回答 6.4%

こうみると、2人以上世帯の38.3%が、1000万円以上の金融資産を持っていることが分かります。

ただし、この「貯蓄」には金融機関への預貯金だけではなく、株式・投資信託・保険なども含まれます。これらの金額がすべて預貯金であるとは限らないので、注意しておきましょう。

※ここでいう「金融資産」とは、家計が保有する金融商品のうち、貴金属や現金、事業のために保有している金融商品、預貯金のうち日常的な出し入れや引落しなど生活費に対応する部分を除いた「運用のため、または将来に備えて保有している部分」となっています。これに対して「金融商品保有額」とは、上記に加えて「運用目的ではない預貯金(日常的な出し入れや引落しなど生活費に対応する部分)」を含んでいます。

まとめ

年収が高いほど貯えがない世帯の割合が減るものの、「年収1000万円以上なのに貯えがない」というケースも珍しくないようです。

しかし、これから高校や大学進学を控えたお子さんがいる家庭において、このような状態は少々問題。「将来、うちの子がK君と同じことを言わなくてはいけないかもしれない」と、多少の危機感を感じたほうがいいかもしれません。

まずは家計の状況を見直すことをおすすめします。

【ご参考】貯蓄とは

総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。

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