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「FIREムーブメント」と「生涯現役」日本で流行るのは?

LIMO / 2019年10月3日 18時45分

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「FIREムーブメント」と「生涯現役」日本で流行るのは?

欧米のミレニアル世代(1981〜96年生まれ)の間でFIREムーブメントが流行っています。

FIRE(Financial Independence, Retire Early)とは積極的な倹約と貯蓄で経済的自由と早期退職を実現することです。FIREムーブメントでは、リタイア後の運用利回りを4%に仮定し、資産運用によって生活費をまかないます。

一方で日本は働き方改革で生産人口の減少を補おうと、高齢者も主婦も労働市場に参加するように政策的に後押ししています。また、金融庁から老後に年金以外で最低2,000万円の貯蓄が必要だというレポートが発表され、波紋が広がりました。

年金だよりの老後期間を短くするため、生涯現役こそが、日本での最適な生き方戦略であるという主張もあります。

早期リタイアと生涯現役という相反する主張が世に出ていますが、これからの日本において、どのような身の振り方を考えれば良いのでしょうか。

日本では望まなくてもFIREムーブメントに?

日本社会はこれまで新卒採用からの終身雇用が主流と言われていました。しかし現実は終身雇用を維持することは簡単ではありませんでした。非正規労働や新卒の雇用抑制をしながら、維持が難しい終身雇用を存続させることで、中高年の雇用を維持してきたのです。

最近になって日本の経団連は終身雇用の存続は非常に困難だとの見解を示しました。これでは望まなくても早期退職をしなければならない時代が到来しそうです。

㈱東京商工リサーチの『2019年「主な上場企業の希望・早期退職者募集状況」調査(http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20190514_03.html)』によると、2019年5月までに希望・早期退職者を募った上場企業は16社に達し、前年1年間(12社)を上回っています。募集人数は6697人に達しました。

そして7月、日本経済新聞が、1~6月には上場企業の17社が合計約8200人の早期退職者を募っていることを報道しました。経済的に自立できないまま、会社の外に放り出されてしまう人が今後増えていっても不思議はありません。

ちなみに英語でFIREには「解雇する」という意味もあります。同じFIREムーブメントでもFIRE(解雇)されてFIRE(経済的自立のアーリー・リタイア)を嫌でも目指さなければいけない時代になってしまうのかもしれません。

生涯現役で老後を短くする人生設計も話題

一方、生涯現役で老後を短くする人生設計をするべきだという主張もあります。

好きな仕事をずっと続けて収入を得て「老後」を短くしてしまえば、年金が足りなくなる問題も解決できるだろうという理屈です。嫌な仕事で働き続けるのは苦しいですが、好きな仕事で働き続けるなら幸せなのではないか、という考え方もあります。

FIRE(早期退職と経済的自立)と生涯現役は矛盾しない

FIRE(経済的自立とアーリーリタイア)と生涯現役は一見矛盾しているように見えますが、実は目指すところは同じではないでしょうか。

どちらも組織や会社に依存せずに個人の金融資本(資産運用)と人的資本(働いてお金を稼ぐ力)を駆使して無理せず生きていこうという部分では、昨今の「FIRE」と「好きなことで生涯現役」には重なる部分があります。

人材の流動性が低い日本社会では「ブラック企業」という言葉も生まれました。会社を辞めたら社会から取り残されるのでは?転職できないのでは?という恐れから、会社で無理な働き方をする人もたくさんいました。

しかし「FIRE」も「好きなことで生涯現役」も根本には組織に頼らずに、無理せずに自分の力で余裕を持って生きていこうという考え方という意味では共通しています。

昨今語られる「生涯現役」は、会社にずっと勤める生涯現役ではなく、自分の出来ること、好きなことで自立して生きていくという意味です。

金融資本も人的資本も育て、会社に依存しない経済的自由を確立しよう

金融資本にだけ頼る、人的資本にだけ頼る、どちらか一方を選ぶ必要はありません。どちらも育てれば良いのです。

資産運用の利益だけで生きていくのも現実的ではありません。しかし働き続けるにしても怪我をしたり体が思うように動かなくなるなど限界もあります。

・会社に依存しないでも生活費を稼げるようなスキルを身につける
・4%ルールを無理なく実現できる貯蓄と投資をする

この2点が会社に依存せずに経済的自由を確立する条件になるのではないでしょうか。

最近はギグ・エコノミーの時代です。労働力もスキルも単発的にやり取りできるプラットホームも生まれています。

クラウドソーシングのような、スキルや労働力を労働市場に必要なときに必要なだけ提供できるマッチングサービスもあります。

そして金融資産活用の観点から、今は投資の選択肢も増えました。NISA(少額投資非課税制度)・iDeCo(個人型確定拠出年金)、外国株、投資信託、ETF、様々な運用戦略を実現できます。

シンプルな全世界株式のインデックスなどに積み立てるだけでも、年利4%は不可能ではありません。いざとなれば生活費を自力で稼げるような地盤を築き、年利4%も実現できるようにしておけば良いのです。

まとめ

FIRE(経済的自立と早期退職)と生涯現役は矛盾しません。

実はどちらも、会社に依存せず自分の金融資本と人的資本の2つの柱で生きていくムーブメントの文脈上にあるのではないでしょうか。

終身雇用制度が崩壊した今、望まなくても早期退職を迫られることもあるでしょう。そんな時代だからこそ資産運用もしっかりしつつ、会社に頼らずとも生きていけるスキルを磨いていくべきです。

もちろん会社に依存しない体制ができていても、自らの選択として会社で働くことも素晴らしいことです。大事なのは会社に依存しなくても生きていけるような準備、人生設計ができているということです。

【参考】
『2019年「主な上場企業の希望・早期退職者募集状況」調査』東京商工リサーチ
『早期退職はや8000人、18年の倍 次を見据える中高年』日本経済新聞

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