「ワンオペ育児」という言葉は浸透した、その先は?まだまだ続く「負担感」
LIMO / 2019年10月5日 9時45分
「ワンオペ育児」という言葉は浸透した、その先は?まだまだ続く「負担感」
共働き世帯が多い現在、妻が産休や育休を取って時短勤務で復職をするというケースが非常に多くなっています。仕事をしながらの育児や家事は、とても大変なものです。
夫が少しでも協力的であれば、精神的にも肉体的にも助かりますが、そうではない場合は妻にばかり負担がかかります。では、夫に育児の協力を求めるコツとは、どのようなものなのでしょうか。
そして「ワンオペ育児」には、夫婦間だけでは解決できない問題もあります。今回は、夫婦間での「ワンオペ育児」解消法と、社会全体で解決していかなければならない点について考えていきます。
男性の育児休業取得率はどのくらい?
厚生労働省の「平成29年度雇用均等基本調査(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/71-29r/07.pdf#search=%27%E8%82%B2%E4%BC%91%E5%8F%96%E5%BE%97%E7%8E%87+%E5%8E%9A%E7%94%9F%E5%8A%B4%E5%83%8D%E7%9C%81%27)」によると、2017年度の男性の育児休業取得率は5.14%となっています。非常に低いですが、2016年度は3.16%だったため、それでも1.98ポイントの上昇となっています。
一方、女性の育児休業取得率(2017年度)は83.2%と、男性の取得率との差は大きいです。
また「平成29年度 仕事と育児の両立に関する実態把握のための調査研究事業 報告書―労働者アンケート調査結果―(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000174277_3.pdf)」によると、男性が「育児休業を取得しなかった理由」でもっとも多かったのは、「業務が繁忙で職場の人手が不足していた」の27.8%となっています。
次いで「会社で育児休業制度が整備されていなかった」の27.5%と、男性は「育児休業を取得しなかった」というよりも「育児休業を取得できなかった」状態であることも多いのです。
妻だけが育児をする「ワンオペ育児」に潜んでいる問題点とは?
先ほどご紹介したような状況のため、妻だけに育児の負担がかかる「ワンオペ育児」が増えています。夫は仕事、妻は育児というように役割分担されているかのようにも見えますが、実はこのワンオペ育児にはさまざまな問題点が隠れています。
例えば、子どもがごはんを食べるという行為だけでも、大変な作業が求められます。子どもの口までスプーンで食事を運ぶ、着替えをさせる、後片付けをするなどといったことも同時にしなければいけません。
このなかの1つだけでも夫に任せることができれば、妻としても助かります。しかし、そのようにならない場合、妻は肉体的にも精神的にも追い詰められ、そのうえ自分を責めてしまうようにもなってしまうのです。
また、もしも夫の仕事が激務などで育児や家事の協力が得られない日があったとしても、育児の愚痴を聞いてもらえるかどうかというのは非常に重要なポイントです。
夫に、思っていることを聞いてもらうことはストレス解消にもつながります。公的機関でも育児相談は可能なのですが、人気で予約が取れない場合も多く、妻が孤独感を抱えて育児と家事をこなしている家庭も少なくありません。
夫に育児や家事を協力してもらうコツとは?
妻が洗濯や食事の用意をしているのに、夫がスマートフォンでゲームをしていたら、妻は不満をもって当然だと思います。
ただ、この夫の行動は「妻がすべきだろう」ばかりではなく「どうやって手伝ったらいいか分からない」からきている場合もあるのです。では、夫に育児や家事を手伝ってもらうためのコツをご紹介しましょう。
具体的に分かりやすく頼みごとをする
ただ「あなたも育児を手伝って」「もっと家事に協力して」では、夫としては何をすればいいか分かりません。「洗濯物をたたんでほしい」「おもちゃを片付けてほしい」など、より具体的に分かりやすく、お願いするようなかたちで頼むとスムーズにいくことが多いものです。
2つのお願いごとをして夫に選んでもらう
「ゴミを捨てるか、トイレの掃除をお願いしたいんだけど」といったように、あえて2つの要望を伝え、夫自身に選んでもらうという方法も有効です。このような頼み方をすると、夫としては断りにくく、どちらかの家事を引き受けようとなるからです。
完璧にできていなくても褒める
例えば赤ちゃんの洋服のボタンを掛け違っていたなど、とくに大きな問題点ではないことはスルーしましょう。夫の育児や家事に自分と同じレベルや完璧を求めないようにするのです。
そして、そのような完璧ではない部分があったとしても「ありがとう」と伝えましょう。頼られて喜ばれる、これが嫌な人はいません。次からも喜んで協力してくれるようになるでしょう。
「ワンオペ育児」という言葉が浸透した今、求められるもの
「ワンオペ家事・育児」という言葉が浸透してきており、女性ばかりが家事・育児をすることに対して「おかしい」といえる世の中になりました。
「働き方改革関連法」も順次施行されています。男性の育休取得率もわずかながら上昇しています。そこに「パタハラ」なども様々な問題があったとしても、少しずつ世の中は変わろうとしています。
それでも、女性たちのつらさや負担感の軽減には至っていないのが現状ではないでしょうか。ここへきて自民党有志による「男性の育休義務化」という議論が出てきたことの意義は大きいでしょう。
今までの少しずつの変化とは違い、勢いを感じます。もちろん育休制度そのものも含めた反対意見も多くあります。
待機児童や人手不足など、社会問題は山積していますが、政府主導で「ワンオペ家事・育児」にメスを入れる方向性そのものは良いのではないでしょうか。
「夫への家事・育児の頼み方」を工夫したところで、家に夫がいなければ意味がありません。社会全体で、「ワンオペ家事・育児はもうやめよう」といえる、シェアできるようになることを願ってやみません。
【参考】
「平成29年度雇用均等基本調査」厚生労働省
「平成29年度 仕事と育児の両立に関する実態把握のための調査研究事業 報告書―労働者アンケート調査結果―」三菱UFJリサーチ&コンサルティング
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