米マイクロンが決算発表、メモリー市況回復は道半ば
LIMO / 2019年10月4日 6時0分
米マイクロンが決算発表、メモリー市況回復は道半ば
ウエハー投入削減など生産調整は今後も継続
米マイクロンテクノロジー(アイダホ州ボイジ)が発表した2019年度第4四半期(6~8月)業績は、売上高が48.7億ドル(前四半期比2%増/前年同期比42%減)、営業利益が6.9億ドル(同38%減/同84%減)となり、売上高は従来ガイダンス(43億~47億ドル)を上回った。
足元の環境について、19年後半のメモリー市場は顧客の在庫レベルが減少したことや、最終需要の拡大などにより、19年前半に比べて成長する見通しだという。ただ、中国ファーウェイ向けの販売動向については、第4四半期の同社向け売上高が前四半期比で減少。同社がEntity Listに入った時点の想定を大きく下回ったという。
在庫水準は確実に改善しているものの、最終需要が本格的な回復基調にないことや、米中貿易摩擦などマクロ環境で不透明な要因も多いことから、メモリー市況の回復はまだ道半ばといえる状況だ。
DRAM平均売価は2割下落
売上高の63%を占めたDRAMは同1%増/同48%減の31億ドル。ビットASP(平均売価)は前四半期比2割減と引き続き下落、ビット出荷は同3割増となった。DRAM在庫は8月末時点で減少傾向にあり、今後もウエハー投入の削減(5%)を通じて市況健全化に努めていく。
DRAM市場の見通しは19年がビット需要で10%台半ばの成長、供給が需要を若干上回ると予想。20年は需要ベースで10%台後半から20%程度の成長、供給が10%台半ばの成長を見込む。
マイクロンではDRAMの微細化を積極的に推し進めており、19年度の期初時点では20nm世代が半分以上を占めていたが、19年度末には1X世代が75%を占めるまでになっている。さらに、19年度第4四半期から1Znmの一部量産を開始している。
NANDは新技術移行で供給減少
NANDは第4四半期において売上高全体の31%を占め、金額ベースでは同5%増/同32%減となった。ビットASPは1桁台後半の下落、ビット出荷は10%台前半から半ばの増加で推移した。市場見通しについては、19年が需要ベースで40%台前半から半ばの成長、供給が約30%になると予想。20年は需要が20%台後半から30%台前半、供給は需要を下回る成長にとどまるという。
マイクロン自身のNANDビット成長については、19年は市場全体の成長率をやや上回ったものの、20年は市場平均を大きく下回ることになるという。すでに発表済みの減産に加え、次世代プロセスで活用するRG(Replacement Gate)技術への移行に伴う影響から、供給能力は一時的に落ちる見通し。RG技術は128層世代から採用する技術で、NAND投資効率の最適化を目的としている。
なお、20年度第1四半期(9~11月)は、売上高が48億~52億ドルを見込む。DRAM、NANDともビット出荷は前四半期比で増加を見込む。
設備投資は最大80億ドルを計画
年間の設備投資額は20年度(20年8月期)に、70億~80億ドルを計画している。クリーンルーム(CR)などの建屋建設費用や後工程投資を中心に行われる見通しで、前工程投資は前年度比で大幅に減額する予定。
前年度は期初時点では105億ドル(±5億ドル)を計画していたが、その後メモリー市況が悪化。2度にわたって年間の投資額を下方修正した。しかし、最終的な実績値である91億ドルは過去最高。広島工場(Fab15)やシンガポール工場(Fab10)の新棟建設費用や台中の後工程工場新設など、建屋建設や後工程投資に軸足が置かれた。前工程装置への投資は前年度比で減額となったとみられる。
20年度もこの方針を継続する構えで、前工程装置への投資は前年度比で30%以上の減額となる見通し。CR拡張に向けた建屋建設や後工程増強に資金が投じられる。
DRAM、NANDともに微細化や多層化を通じて、製造工程数が増加しており、生産量を維持するためにCRの拡張が必要となっている。20年度は主に台中工場(Fab16)や広島工場の次期新棟が中心案件となる。台中工場では1Znm世代への対応を目的に4月から新CR棟の建設に着手。20年後半から製造装置の導入を行い、21年からアウトプットを開始する。
19年6月に新棟(B2)がオープンした広島工場でも、次期投資がすでにスタートしており、従来ウエハーテストラインがあった施設を取り壊し、「F2」の建設にも入っている。
後工程は内製化推進
後工程投資では台中の新工場に加え、マレーシア・ペナンにNANDおよびSSDの組立・テスト拠点の新工場建設を進めている。19年後半には建屋が完成し、2年後のフル稼働を目指す計画となっている。
マイクロンはもともと、後工程生産においてはOSATなど外部リソースを中心に活用していたが、Sanjey Mehrotra(サンジェイ・メイロトラ)氏がトップに就任して以降、この方針を転換。自社拠点による内製化を積極的に推進している。数年後をめどに自社生産の割合を半分以上に引き上げるべく、足元で積極的な後工程投資を展開している。
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