消費増税直後の住宅購入は避けるべき? 要チェックの優遇制度改正・新設とは
LIMO / 2019年10月14日 20時15分
消費増税直後の住宅購入は避けるべき? 要チェックの優遇制度改正・新設とは
10月から消費税が10%に上がりました。なんとか増税前にと、色々と駆け込み購入された方もいらっしゃるのではないでしょか。もともと消費税が導入されたのが1989年3月で、そこから段階的に、5%→8%→今回10%と引き上げられてきました。しかも、前回は2014年と5年ほど前ですので、それほど目新しくはないかと思われます。
ただ、これまでの増税とは大きく異なる点があります。それは、増税対象がすべての商品やサービスが対象ではないことです。たとえば、酒類や外食を除く食料品や新聞には軽減税率が適用されていて、それらは8%に据え置かれるというものです。
消費税増税は住宅購入にどう影響するのか
では、不動産関連については、どうでしょう。資産のご相談にいらっしゃるお客様とお話していると、今回の増税により、不動産関連全ての負担が重くなると思っている方が多くいらっしゃいます。そうなると、しばらく購入は控えようかという考えの方も増えてきます。
では増税により、実際どのくらいの影響があるのでしょうか。実は、不動産購入に関わるものでも、そもそも消費税がかかるものと、そうでないものがあります。
このように、実は土地の購入費用には消費税がかかりません。意外と知らない方もいらっしゃいます。
では、消費税8%が消費税10%になると、どれくらいの費用の差が出てくるでしょうか。
やはり建物は金額が大きいため、2%の増税で50万円アップと、インパクトが大きいですね。住宅購入の場合、トータルの金額が大きいので、こうやってみると外構やその他費用の増税分の2~3万円はあまり気にならないかもしれませんが、実際に2~3万円は大きい金額なので、金銭感覚のマヒに注意です。ただ、土地にかからないのは助かりますね。
住宅取得にかかわる優遇制度の改正や新設
このように、増税になると、特に大きい買い物は増税前にしようと駆け込み購入が増え、増税後はその反動で購入意欲が下火になります。住宅は特に大きい買い物ですから、住宅購入が下火になると、世の中にお金がまわらなくなり、景気にも影響が出てしまいます。
そういったことにならないよう、住宅取得の際の優遇制度がいくつか改正、新設されています。
住宅ローン控除の改正
住宅ローン控除とは、年末の住宅ローン残高に応じて、所得税から一定の税額を控除する制度です。もともとありましたが、消費税10%引き上げに伴い、控除期間が10年から13年に延長となりました。
延長した11年目からは、年末残高の1%または建物価格の2%/3のいずれか小さい方を控除となります。すなわち、11年目から13年目までの3年間で、建物価格の2%分を税額から控除してもらえることになります。
建物価格に対する増税分の2%が、11年目以降に3年に分けて戻ってくるようなイメージです。実際は、ローンを組むケースが多いため、ローンの利息負担を考慮すると、完全に同額ではないですが、ほぼ増税の影響は関係なくなります。
すまい給付金の拡充
すまい給付金とは、消費税引き上げによる住宅取得者の負担を緩和するために創設された制度です。
上記の住宅ローン控除は、支払っている所得税や住民税から控除する仕組みなので、収入が低いほど効果は小さくなってしまいます。すまい給付金は、そこをカバーするために、収入が低い層ほど、受け取る給付金額が増える仕組みとなっています。
住宅取得等資金贈与の特例の拡充
住宅取得等資金の贈与とは、父母や祖父母など直系尊属から贈与により住宅購入のための資金を取得した場合において、一定額までは非課税となる制度です。
こちらの制度も、消費税引き上げにより拡大されました。とはいえ、父母や祖父母からの援助が期待でき、なおかつ大きい金額の支援の方が対象なので、今回の拡充による影響がある方は限られるでしょう。
次世代住宅ポイント制度
次世代住宅ポイント制度とは、一定の省エネ性、耐震性、バリアフリー性能等を満たす住宅や、家事負担の軽減に資する住宅の新築やリフォームをされた方に対し、さまざまな商品と交換できるポイントを発行する制度です。
新築は最大35万円相当、リフォームは最大30万円相当のポイントが付与されます。2020年3月31日までに請負契約・着工した方が対象(予算の状況で早まることもある)で、省エネや環境配慮に優れた家電・家具や防災・健康・子育てに関連する商品と交換できます。
次世代住宅ポイント制度の詳細については、次世代住宅ポイント制度事務局ホームページ(https://www.jisedai-points.jp/)を参照してください。
まとめ
このように、増税に伴い、住宅購入関連に関する制度の拡充や新設が行われています。ご自身の年収帯によっては、増税後の方がメリットのある方もいらっしゃいます。
また、「駆け込み需要」が起これば、一時的に物件価格が上昇することもあり、その反動で、増税後に価格が下がることもあります。加えて、地域によっては、東京オリンピック開催の影響などもあるでしょう。金利についても、1%上昇しただけでも総返済額にはかなりの差が生じますので、消費税よりも影響が大きい要因です。消費税増税などの部分的な要素に、あまり捉われすぎないのも大事です。
一番の買い時は、理想の物件が、希望するエリアで、購入できる範囲内での金額で購入できる時だと思います。そのために、ライフプランを作成し、ご自身にとって適正な物件価格を見定めたうえで、住宅購入計画を立てていきましょう。
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