1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

消費税より固定資産税の増税を。東京一極集中緩和で災害対策にもなる

LIMO / 2019年11月10日 20時20分

消費税より固定資産税の増税を。東京一極集中緩和で災害対策にもなる

消費税より固定資産税の増税を。東京一極集中緩和で災害対策にもなる

消費税より固定資産税を増税することで、東京一極集中の弊害を緩和し、地方創生を進めることができるはずだ、と久留米大学商学部の塚崎公義教授は主張しています。

消費税を廃止して、代替財源に相続税と固定資産税の増税を

消費税が決して優れた税でないという点については、以前の拙稿『消費税でなく相続税を増税すべき理由。”おひとりさま”の遺産には高率の課税を(https://limo.media/articles/-/13703)』で述べた通りです。その時は、消費税の代替財源として相続税を増税すべきだ、と記しましたが、もうひとつの選択肢として、本稿では固定資産税を挙げたいと思います。

固定資産税を増税する主な理由は、東京一極集中の是正です。東京一極集中を是正するためには、「東京都内のビルは増築禁止」といった規制をすることもできますし、東京都民を全員抽選して落選者には東京から出て行ってもらう、という選択肢もあるでしょうが、それよりも価格メカニズムを活用すべきだ、と考えているわけです。

つまり、東京に住むことによって大きな恩恵を受ける人は、高い固定資産税を払っても東京に住めば良いし、そうでもない人には東京を去ってもらうことによって、東京の過密を緩和しよう、というわけです。

「東京が大好きで、高い固定資産税を払っても東京に住んでいたい」という人には残ってもらい、「べつに東京がとても好きだというわけでもないので、固定資産税が上がったら東京から出て行く」という人に出て行ってもらう方が、全員一律に抽選をして出て行く人を決めるより良いでしょう。

東京に住めば大いに稼げる人には、東京に住んで大いに稼いで多額の固定資産税や所得税を納めてもらいましょう。東京に住んでもそれほど稼げない人には、地方に移住してもらいましょう。

東京といっても一律ではなく、都心から郊外に引っ越してくれる人や企業があれば、それは望ましいことですから、地価の高い都心に高い税金がかかるように固定資産税率を引き上げることが望まれるわけです。

結果として、東京に残りたいのに、東京を去らなければならない人や企業が出てきます。彼らはかわいそうですが、誰かに去ってもらわないと東京一極集中が緩和しないのですから、仕方ありません。

東京に住むこと自体が他人の迷惑

東京は、日常的に混雑しています。東京は空気が汚れています。これは、東京に住んでいる人たちが、お互いに迷惑をかけあっているわけです。もっとも、この点については、嫌なら出て行けば良いので、特に問題視する必要はないかもしれません。

東京一極集中の本当の問題は、東京が人が多すぎて災害のリスクに弱いことなのです。通勤ラッシュや空気の汚れは誰でも体感できますが、リスクは体感しにくいので、「嫌だから出て行く」人が少ないのです。

東京に住む人々が、「東京は危険だから出て行こう」と考えるならば良いのですが、多くの人が「まあ大丈夫だろう」と考えていると、東京の過密が緩和されず、災害の時に被害が拡大してしまうのです。したがって、防災対策として東京の過密を緩和しなければならないのです。

東日本大震災の時の帰宅難民のことを思い出せば、過密の問題点は明らかでしょう。東京の道路は何百万人もの人が一斉に徒歩で帰宅するのに適した構造をしていないのです。

東日本大震災の時は、東京で大きな火災が発生しなかったので良かったですが、大きな火災が発生して道路上で渋滞している車に次々と燃え移ったら、等々と考えると背筋が寒くなります。

そうしたリスクは、東京に人や車が多すぎることによって発生しているわけで、その意味でもお互いが迷惑をかけあっている、ということができるでしょう。そうであれば、何らかの手段で人々に東京から出て行ってもらう必要があります。そのために、固定資産税を引き上げて、東京を住みにくくするのです。

個々人が東京を出て行くことを期待しても、地方に仕事がなければ難しいかもしれません。しかし、東京都心にある企業が「都心の一等地にいる必要はないから、地方に事務所(の一部)を移転しよう」と考えてくれれば、地方に仕事が生まれ、人々が地方に移住する受け皿になるでしょう。

それが地方創生の動きを加速するならば、一石二鳥だと言えそうです。もっとも、どこの地方がその恩恵にあずかるのかは、地方間の企業誘致競争の結果次第、ということになるのでしょうが。

都心に代々住む低所得者を追い出すのが正義か

固定資産税は、地価の高い所に土地を持っている人に課税するわけですから、資産課税であり、所得や消費に対する課税とは性格が異なります。「金持ち」というと日本では「高額所得者」を意味する場合が多いのですが、本稿は都心の家を相続した人に対して「金持ちだから税金を払え」というわけですね。

彼らは、普通のサラリーマンあるいは零細商店主で決して高額所得者ではないかもしれませんので、高い固定資産税を課せられたら、生活ができないかもしれません。そんな増税は正義と言えないのではないか、という考え方もあるでしょう。しかし、筆者はそうは思いません。

固定資産税が払えないなら、都心の土地を売って郊外に引っ越せば良いのです。固定資産税が高い土地はかなり高額で売れるでしょうから、かなり広い家に住むことができるでしょう。

「住み慣れた土地を離れるのは嫌だ」という気持ちはわかりますが、東京都民の多くは故郷から集団就職して出てきた人か、親の兎小屋に同居できずに住宅ローンを借りて郊外に兎小屋を購入したサラリーマンでしょう。そうした人たちと比べれば、彼らは恵まれているわけですから、我慢してもらいましょう。誰かに我慢してもらうとすれば、彼らに頼む方が正義に近いでしょうから。

本稿は、以上です。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織その他の見解ではありません。また、厳密さより理解の容易さを優先しているため、細部が事実と異なる場合があります。ご了承ください。

<<筆者のこれまでの記事はこちらから(http://www.toushin-1.jp/search/author/%E5%A1%9A%E5%B4%8E%20%E5%85%AC%E7%BE%A9)>>

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください