話が聞けない子供たち…塾講師が教える「話を聞く習慣をつけるちょっとしたコツ」
LIMO / 2019年10月13日 20時0分
話が聞けない子供たち…塾講師が教える「話を聞く習慣をつけるちょっとしたコツ」
勉強をするためにはまずは子供自身が学校の先生の話を聞くことです。学校の授業を聞けている子の成績は安定しているし、聞けていない子の学習内容はなかなか定着しません。
そして、聞けている子とそうでない子のちがいを比べてみると、やはり家庭での過ごし方、特に親子での会話に原因があると思われます。そこで今回は、人の話が聞けない子の特性や会話のちょっとしたコツについて考えていきます。
話が聞けない大人たち
学校の入学式や卒業式で印象に残っているのが、式の主役である子供達の後ろで親たちはしゃべったりスマホをいじったり寝たりしていることです。決してほめられた姿ではないですよね。
特に気になるのが小学校の授業参観。先生が授業をしたり子供達が発表をしたりしているその横で親達がガヤガヤ話をしているのです。子供を見にきたのやら話をしにきたのやら。これでは、先生や子供達の声が聞こえません。
子供は親に似ます。子供は親の姿を見ています。このように、親が話を聞いていない姿を見せていると子供も同じようになってしまいます。実際、話を聞ける子の親はよく話を聞いているし、話を聞けない子の親はどこか落ち着きがなく話が届いていないように思われます。
ある習い事関係に勤める知人から聞いた話ですが、子供がなかなか伸びないので親がクレームをつけるケースが多いとのこと。そのような子供にかぎってジッとできずにあちこち走り回ったりコーチの指示を守れなかったり、行動に問題があるそうです。親にその話もするのですがそれには耳を貸さず「金払ってるんだから何とかしてくれ」と言い返してくるとのことです。
このような家庭環境で子供が人の話を聞く習慣がつくどころか、すこやかに成長できるでしょうか?まずは人の話を謙虚に受けとめ、金で何事も解決しようとするのではなく心意気で乗り越えようとする人間になりたいものです。
親が一方的に話してしまう
話が聞けない子供達の特徴に親が一方的に説教をしてしまう傾向が見られます。親の力で子供を抑え込もうとしているのかもしれません。そこに子供の言い分は通らないから子供は納得できない、ただ聞き流すだけになってしまいます。
昔このような子がいました。勉強嫌いで落ち着きがなく、思うような成績が取れていない男の子ですが、母親からは「男なんだから勉強してそれなりの高校に行って働かなければならない」と何度も言われていたそうです。現実はともかく「男なんだから」と頭ごなしに言われてやる気になれるでしょうか?
この男の子、母親と口論をしていて言い返すことができずにポロポロ涙を流すことも多かったようです。力ずくで子供を思い通りにしようとしている情景が想像できるのです。こうなってしまっては心のやりとりが成立しません。母親に子供の気持ちを受け取るゆとりがあればよかったのでしょうが。
年齢的なものもあり、子供が大人に言葉巧みに言い返すことはなかなかできません。この親子で気になったのは次の2点。1つ目は母親主導で強引にコントロールしていたこと。2つ目は子供の言い分に耳を傾けてこなかったこと。これらが長年の習慣になってしまっていたので、自分の意見を主張したり人の話を聞いたりすることができなくなっているように思いました。
まずは子供の言い分を聞く
それでは子供が話を聞く習慣をつけるためには、まずは子供の言葉を受けとめることではないでしょうか。子供の立場からすると、聞いてもらえる→認めてもらえる→だから相手の話を聞く、というサイクルが生まれてきます。
子供ですからちょっとしたことで「疲れた」「面倒くさい」「いやだ」「ウザい」などネガティブな言葉を発するかもしれません。親としては聞きたくない言葉ですが「そんなこと言ってはいけない」とはね返すと、子供は「認められた感」がなくなりそこで心を閉ざしてしまいます。
そこはグッとこらえてまずは聞く、「疲れたか」「面倒くさいと思っているのね」など子供の言葉をオウム返しに言ってもいいでしょう。「そうか、そう思っているのか」という言葉を添えたらさらにいいですね。それから少し子供の反応を待ってみます。「でも、しないといけないでしょ」と言い返す必要もありません。子供は本能的に何とかしないといけないという気持ちがあります。そこを信じて待ってみましょう。
終わりに
親とは心配性なもの、それは親ゆえにすばらしいことでもあります。ただ、心配になるあまり「何かしなければ」「何か言わなければ」と思ってしまうのも親の性。それが過ぎるから子供に一方的に話すようになり、子供の話が聞けなくなるのかもしれません。
子供と大人とでは、時の感覚がちがいます。何をするにもゆっくりしています。子供が何かを伝えたいときにも、言葉を選んで発するまで時間がかかります。もう少し待てば子供の言葉を聞けるかもしれないのに、親は待ちきれなくなってしゃべったり話を打ち切ったりするのです。
時間が許すかぎり待てればいちばんいいのですが、お仕事や家事などで限度があります。そのときは「いつでも話を聞くよ。待っているから。」というひと言を添えてもいいでしょう。案外、その言葉に子供は救われるかもしれません。そして、子供が話かけてきたときはチャンス。そのときは話を聞きましょう。「あせらない」「信じる」という気持ちを胸に子供との会話を楽しんでみてはいかがでしょうか。
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