リストラが普通になる時代を生き抜くスキル。早期退職対象人数が6年ぶり1万人超え
LIMO / 2019年10月15日 21時15分
リストラが普通になる時代を生き抜くスキル。早期退職対象人数が6年ぶり1万人超え
筆者は都銀に15年ほど勤務した後、通算で約20年外資系等金融機関に勤務しました。その経験から判断すると、どんなに評判がよい会社でも、リストラは日常茶飯事に行われる人事の一貫であったいうことです。
私はどの勤務先でもそこそこの業績を上げていたため、リストラは「仕事がイマイチで運の悪い社員がターゲットになる」と信じて疑っていませんでした。もっとも、これは私がリストラをくらった際、リストラは仕事の達成レベルとは関係ないことだと痛感できたことですから、これからの日本ではリストラが普通になると断言できます。
1社あたりのリストラ人数が増えている
決して読者諸氏を脅かすわけではないのですが、東京商工リサーチの最新レポート「2019年 上場企業「希望・早期退職」実施状況(https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20191009_01.html)」によれば、2019年1月〜9月に希望・早期退職者を募集した上場企業は27社に達し、対象人数は1万342人と6年ぶりに1万人を超えているとのことです。
日本の上場企業は約3700社ですから、これら27社は全体の0.7%に過ぎませ。しかしながら対象人数が1社当たり平均383人ですから、中小規模の上場会社の多くは消える規模の大リストラです。
図表1からは、日本の上場企業のリストラのパターンが見てとれます。世界的にも似通っているかもしれませんが、2002年にはITバブル崩壊の影響で約4万人がリストラされ、2009年にはリーマンショックの影響で約2万3000人がリストラされています。そして今回、消費税増税げショックか何かは定かではありませんが、じわじわとリストラが進んでいます。
確かに過去には既述の大規模なリストラがありました。ですが今回の顕著なのは、1社あたりのリストラ人数が増えていることです。2002年は1社当たり約198人、2009年は約120人、そして今回は約383人と2002年時と比べ約倍近くの社員がリストラ対象となっています。
上場企業でこうですから、非上場企業を含めればかなりの労働者がリストラに遭遇しているはずです。
経営者にとってリストラは諸刃の剣
さて、この状況をどう考えるかです。
経営者の観点で見てみましょう。日本は世界でもトップクラスの少子高齢化国家です。それをもって政府は70歳まで雇用延長をしようとしていますが、これは経営者にとって恐怖です。
なぜなら、高齢者にお給料を“払い続けなければならない”ということは、利益水準が一定だとすると全員で給料総額を割り振らないといけませんから、いきおい一人当たりの給料は下がります。それが嫌なら、誰かをリストラせざるしかありません。好みの問題ではありません。私も経営者なら、泣いて馬謖を斬るでしょう。
しかし、ここで問題があります。たとえリストラしたとしても、その企業が生き残れるかどうかは分からないということです。
リストラでは固定費(人件費)を減らせますから、業績上プラス要因になります。しかし、本業順調時にリストラしたとしても、これからの競争時代に食っていけるかどうかは全く未知数です。結局、リストラしたので人手不足で撤退・・・もあり得るわけで、いずれにせよ経営判断としては諸刃の剣ですね。
会社や人生におけるサバイバルスキルは?
では、リストラされた社員の立場で考えてみましょう。少なくとも被リストラ社員に罪はありません。あくまで会社都合です。ただし、こんな世の中ですから、どんな一流企業にいようとも、自分は常にリストラに遭う可能性があり将来給料がなくなることを前提に、就職した瞬間から日々の研鑽に努めるべきです。
月並みですが、そうした研鑽とは仕事の実績(勤務している業界で数字で出せるもの)、仕事外の実績(趣味の深さ、コミュニティの広がり)を徹底的に追求することです。私にはできませんでしたが、上司へのゴマすり技術もとても重要なサバイバルスキルです。給料の半分以上は、所属している会社への我慢料ですから、このあたりのサバイバル技術は身につけておいても間違いはありません。
加えて、若い頃から資産形成に抜かりなく対応してください。20代から月に2〜3万円きっちりつみたて貯蓄をしておけば、30代で5、600万円くらいのまとまった金額にはなります。節約すれば2年くらいは無職でも平気です。流石に20〜30代でいきなりリストラというのは確率としては少ないはずですから。
備えあれば憂いなし、です。
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