規制緩和で加入者増? 老後のための「iDeCo(イデコ)」の基本とメリット・デメリット
LIMO / 2019年10月16日 19時45分
規制緩和で加入者増? 老後のための「iDeCo(イデコ)」の基本とメリット・デメリット
最近またさらに話題となっているiDeCo(イデコ)。加入者の規制緩和が期待されていたり、受給開始時期の変更が検討されていたりと、まだまだ話題が尽きない様子。先日の「老後の2000万円問題」のこともあって国民の関心は資産形成に向いているようです。そこで今回は、いまさら聞けないiDeCo(イデコ)の基本について紹介します。
iDeCo(イデコ)とはそもそも何?
iDeCo(イデコ)とは、”自分で作る年金”とも言われており、毎月決まった金額を積み立てていくことで老後生活の糧となるお金を受け取ることができる仕組みです。具体的には、投資信託、定期預金や保険などの金融商品を自分で選んで運用し、60歳以上になったときにその運用した資産を受け取ることができるのです。
公的年金とは何が違うかというと、ざっくり言えば公的年金は賦課方式という方法を取っていて、今働いている現役世代の納めた保険料から今の高齢者の年金を捻出しています。そのため、少子化で保険料を支払う現役世代が減ると年金の元となる保険料の金額が少なくなり、高齢者が受け取る年金が減少するという問題が起こることが懸念されていますよね。
iDeCo(イデコ)は、自分が積み立てた金額を自分が受け取る仕組みになっています。働いているうちにお金を積み立てておいて、それを老後の自分が受け取るのであれば現役世代の減少で受け取る年金が減るということはないですよね。それが”自分で作る年金”と言われるゆえんです。国が音頭を取ってスタートしたこの制度、いよいよ年金は国だけに頼れない時代に突入したと言えるでしょう。
iDeCo(イデコ)のメリット・デメリット
次にiDeCoのメリットとデメリットについて見ていきます。まず、メリットはいくつかありますが、ここでは3つおさえておきましょう。
1. 税制優遇が受けられる
iDeCoにおいては、まず掛金が全額所得控除されます。要は所得税や住民税などの支払い負担が軽くなるんですね。各金融機関でいくら節税できるかシミュレーションできるのでぜひ調べてみてください。将来の自分のための年金を積み立てつつ税制優遇が受けられるのは非常にありがたいですよね。
また、運用益も非課税です。通常であれば、投資信託などの運用で得た利益には約20%の税金がかかり、手元に残るのは利益の約80%です。しかし、iDeCoなら運用益に対する税金はかからないので、運用益の100%を受け取ることができるのです。
さらに、年金を受け取るときも退職所得控除や公的年金等控除の対象となり税制優遇が受けられます。この3つのタイミングで税制優遇が受けられるのが通常の貯金や資産運用とは違うところですね。
2. 5000円から積立ができ、掛金の調整も可能
iDeCoの積立は月額5000円から始めることができます。また、支払いが難しいときには掛金の積立をいったん停止することも可能です。当然再開することもできます。手続きに1〜2カ月の時間がかかるので、あらかじめわかっているのであれば早めに連絡しておきましょう。また、掛金の金額を年に1回変更することが可能です。お給料が上がったからちょっと増やそうというのも可能なのです。
3. 運用コストの安い金融商品が多い
iDeCoで運用できる商品は、通常購入できる投資信託よりも信託報酬などのコストが安く、運用を始めやすいものが多くなっています。保険や定期預金を中心とした「元本確保型商品」もあるので、どうしても投資信託に抵抗がある人はそれらの商品を利用してもいいでしょう。
デメリットはやはり「引き出し制限」
iDeCo(イデコ)の一番のデメリットは、やはり60歳までは原則引き出せないことでしょう。積み立てたお金は途中で入用になったとしても引き出すことができないのです。老後資産形成のために作られた制度だけあるということもできますが、他に必要なお金があれば別途貯めておかなければなりません。
また、元本確保型の商品もあるとはいえ、いきなり投資信託に投資するという点に抵抗を感じるケースもあるようです。まだまだ投資が広く根付いていない日本では、そもそも投資信託の仕組みがわからずに手を出せないという人もいるかもしれません。ただ、預貯金の金利がほとんどつかない現状なのはご存知の通りです。まずはお金を育てていくための勉強を始めてみてはどうでしょうか。
iDeCo(イデコ)の規制緩和の内容は?
最後に、この夏に報道されたiDeCoの規制緩和について、もう少し見てみたいと思います。今回の規制緩和が影響を及ぼすのは、企業型確定拠出年金(DC)に加入している会社員の人たちです。企業型確定拠出年金に加入している会社員の人たちは、条件付きでiDeCoに加入することができますが、その条件というのが「企業型年金加入者においては、企業型年金規約において個人型年金への加入が認められている方」※という表現です。
もっと詳しく言えば、「マッチング拠出を行わないこと」や「会社の負担金額の上限を引き下げること」などの条件がありますが、このような条件をなしにして、希望する会社員の人たちが全員iDeCoに加入できるようにするというのがこの夏に報道された規制緩和の内容です。
さらに、今は60歳までとなっている掛金の拠出期間を70歳までに延長することも検討されているというのです。今は60歳を超えても、65歳を超えて正社員ではなくなっても契約社員や業務委託として働き続ける人たちもいます。つまり、「現役世代」として働く期間が延びているのに合わせて、70歳まで掛金を拠出できるようにしようという試みで老後資産づくりの後押しをしようというのです。
確かに働く期間が長ければ、その期間もお金を積み立てておきたいですよね。さらに、今は60歳から70歳の間に受け取りを開始することになっているのですが、それを70歳以降に受け取り開始できるように変更もするようです。こうなると、iDeCoもさらに利便性が上がり、より今の日本の状況に合わせた制度になりそうです。
※「iDeCoの概要(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/kyoshutsu/ideco.html)」(厚生労働省)参照
まとめ
”自分で作る年金”iDeCoは、将来の自分を支えるためのお金です。働きながら老後のお金を積み立てるのが大変な時期もあるかもしれませんが、自分が積み立てて運用した分が自分を助けるので、うまく制度を利用しつつ老後のお金を準備していきましょう。
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