健康で若々しくいたいなら「貯金」より「貯筋」! 食欲の秋に最適の「脂肪を燃やし続ける」運動法
LIMO / 2019年10月22日 18時40分
健康で若々しくいたいなら「貯金」より「貯筋」! 食欲の秋に最適の「脂肪を燃やし続ける」運動法
人生100年時代、年金だけでは老後が不安……という声も聞こえてきます。しかし、老後に備えた「貯金」ももちろん大事ですが、さらに大事なのは「貯筋」だ、と言うのは、5万部を突破した『世界一効率がいい 最高の運動(https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4761274255/kankidirect-22/)』著者であり、医師・科学者でもある川田浩志さんです。
健康で長生きするカギは“筋肉”にあるという川田さんが勧める、もっとも効率のいい最新トレーニングとは?
健康寿命を伸ばすカギは「大きな筋肉」が握っている
「ゆっくり歩く人ほど死亡リスクが高い」という言葉を聞いたことがありますか?
暴論のように聞こえるかもしれませんが、実はこれには医学的なデータの裏付けが存在します。東京都老人総合研究所(現・東京都健康長寿医療センター)が2014年、65歳以上の男女1800人を対象に行った調査でも同様の結果が得られています。たとえば、高齢者の歩く速度から、その高齢者があと何年生きられるか、ある程度予測することさえできるのです。
100年人生を思う存分謳歌したいなら、健康寿命をいかに伸ばせるかがカギといえます。そして、その健康に直結するのが“筋肉”なのです。
筋肉について、少しお話ししましょう。
人の筋肉は大きく分けて「速筋(そっきん)」と「遅筋(ちきん)」の2種類があります。それぞれ、その色の特徴から「白筋」と「赤筋」とも呼ばれます。
「敏捷性」や「機敏さ」は、いわゆる「速筋(そっきん)」と呼ばれる、瞬発的な力を発揮する筋肉の量が決め手となります。つまり、「速筋の衰え」は、「体の老化」のひとつの目安になるわけです。
持続力に大きく影響する遅筋は、ウォーキングやハイキングなどの運動習慣で比較的、鍛えやすく衰えにくい筋肉です。それに比べて、速筋は意識して鍛えていないと、年齢とともにどんどん落ちていきます。
特に落ちやすいのが大腿四頭筋と腹筋の「大きな筋肉」です。太ももにしてもお腹にしても、体の支えとなる部分ですから、こうした部位の筋肉が落ちてくると自然と動作が緩慢(かんまん)になっていく……これが典型的な「老化現象」といえます。
これが「貯金」よりも「貯筋」という所以です。
いくら老後用の貯金を貯めても、まず健康でなければ人生の楽しみは半減してしまうでしょう。また、長生きしたとしても病気を患ったままであれば、医療費もかさんでしまいます。病気はいちばんの「金食い虫」なのです。
「筋トレ」効果と「ダイエット」効果が一度に得られる夢の運動法
若さを表すこの速筋、ウォーキングや早歩き、階段を登る動作、ゆっくり何十回も行う筋トレといった日常的な動きではなかなか鍛えられません。というのも、速筋を鍛える際に必要なのは、“筋肉への負荷”だから。最大筋力の40%以上という大きな負荷をかける必要があるのです。
そこで効果的なのが、最新のトレーニング「HIIT(ヒット)」です。近年では、スポーツ界や医療界でも取り入れられるなど世界的に広がっているため、ご存知の方もいらっしゃるでしょう。
このトレーニングの独特なところは、高強度の(負荷が高い)運動と休息を短いスパンで交互に行う点。
たとえばダッシュと軽いランニングを交互に組み合わせたり、スポーツジムのエアロバイクを「全力の7~8割の力」で漕ぎ、休憩(またはゆっくり漕ぐ)と組み合わせたり、スクワットやバーピー、ジャンピングジャックといった全身を使うエクササイズに緩急をつけるというトレーニングで、大腿四頭筋や腹筋、背筋などの大きな筋肉に負荷をかける運動が中心です。
特別な道具などは必要なく、自宅でもできますので、まずは、「(20秒運動+10秒休憩)× 8セット」で、運動を始めてみましょう。実質的に運動している時間は、2分40秒。1日に、たったの3分弱、週に2~3回行うだけで大きな効果が得られるのです。
慣れたら「30秒運動+15秒休憩」× 8セット」に増やしたり、週3~4回に増やしてもいいですが、それ以上や、土日に連続して行うといったことは身体に大きな負荷がかかるためお勧めできません。つまり、HIITは、徹底的に短時間で最大限の効果を狙う運動法といえます。
HIITは、たったひとつの運動で「筋トレ」だけでなく「有酸素運動(脂肪燃焼)」の両方の運動効果が得られるのが特徴です。これによって速筋が効率よく鍛えられ、同時に持久力が上がり、機敏な動きも取り戻すことができるのです。
「脂肪」が「筋肉」に入れ替わるだけじゃない。糖尿病にバツグンの効果を発揮
「ダイエットしなくちゃ!」とおっしゃる方のほとんどが「体重減」を目指しますが、身長と体重のバランスを表すBMIだけで見ると、日本人は「適正」な方も多いのです。健康のためにはむしろ、内臓脂肪などの体脂肪率を気にしていただきたいものです。
HIITは、皮下脂肪と内臓脂肪を減少させ、代わりに筋肉がつくので、健康な体になるうえに、引き締まった若々しいシルエットになります。
すばらしいのは、「アフターバーン効果」と呼ばれる、運動後にダラダラ過ごしても「脂肪が燃え続ける」効果があることです。「脂肪燃焼」効果は、運動後3~14時間、長ければ24時間続きます。この燃焼効果は、ウォーキングやジョギングのような軽い運動では得られにくく、HIITのように負荷の高い運動ほど得られることがわかっています。
HIITがすぐれているのは、ダイエット効果だけではありません。多くの健康効果があることがさまざまな研究によってわかっています。たとえば、血糖値や血圧をぐっと下げますし、善玉コレステロールが増えて悪玉コレステロールが低下するという研究結果も発表されています。
とくに近年、研究結果が増えているのが、糖尿病の予防や改善効果。2型糖尿病患者へHIITと軽めの持続運動(ジョギングなど)効果を比較したメタ解析(13の研究結果から解析)を見ても、HIITの優位性が確認できます。また、脳細胞が増え、情報処理能力が上がり、認知機能の向上に役立つ可能性もあるのです。
運動は継続することに意味があります。
「毎日のジョギングはなかなか続けられない……」という人も1日数分×週2~3回のHIITであれば続けられそうだと思いませんか?
実際、私自身も長年続けていますし、かつて出勤前のジョギングにチャレンジしたものの「早起きがツラい」という理由で運動を挫折した知人にHIITを勧めたところ、いまだに続けられているそうです。実際に行ってみると効果が感じられるので、運動が楽しくなり、モチベーションも持続するでしょう。
「でも、こんなに激しい運動をして安全性はどうなの?」という疑問も当然生まれると思います。
結論から言うと、近年のHIITの安全性に関する多くの研究結果を踏まえ、心臓病や代謝系の病気のリスクのある人にとっても、運動のなかでHIITが特に危険ということはないと考えられます。
いまやHIITは、病気を患った人のリハビリにも使われていますし、心筋梗塞後のリハビリでHIITと軽めの持続的運動の効果を比較した結果、HIITは心機能の改善だけではなく、メンタルや活動性の回復にも、より効果的であることがわかっています。
ただし、もちろん、何かしらの持病を抱えていらっしゃる方は医師の指導のもとで運動を行う必要があることはいうまでもありませんし、健康な方であったとしても高強度の運動を長時間続けることは、体を負傷したり、必要以上に心臓に負荷をかけてしまうリスクがあります。
HIITが重視するのは短時間における運動強度で、「運動の量」ではなく「運動の密度」です。「早く効果を得たいから」と、高強度のHIITを長時間行ったり、連続で行ったりすることは控えましょう。
全力の7~8割でOK。「HIITはプロスポーツ選手のもの」という誤解
HIITを知っている方は、「かなりキツいトレーニングだ」というイメージもあるかもしれません。たしかに、プロアスリートがトレーニングメニューに取り入れているHIITは、全力、または極限まで力を出し切る、「オールアウト」(最大酸素摂取量や最大心拍数に達する負荷をかけるもの)と呼ばれるものです。
ですが、健康やダイエット目的の一般の方なら、そこまでキツいトレーニングは必要ありません。オールアウトの手前、つまり最大心拍数の7~8割の負荷をかける運動で十分効果が得られるでしょう。
最大心拍数を計るには、各社から発売されている心拍計機能がついた時計を活用してもよいですが、基本的に負荷設定は「感覚値」でOKです。主観的な強度としては、「ややキツい」と感じる強度くらいから始めましょう。
「最高にキツい」が100%、「非常にキツい」が90%、「キツい」が80%、そして「ややラクである」が60%としたとき、「ややキツい」は70%くらいに相当します(最大心拍数に対する割合的にも)。
もしわかりづらかったら、「ちょっとでもラクだと感じたら負荷を上げる」というシンプルな解釈で構いません。運動後に息がほとんど切れないのであれば、負荷として軽すぎです。「ややキツい」と感じ、「ゼーゼー」「ハーハー」と息が切れる状態であれば十分な負荷がかかっているといえます。
HIITは、“時間効率がバツグンによいのに、健康効果やダイエット効果が高い”トレーニング。時間のない方、運動が続かない方にはオススメといえます。食欲の秋についた脂肪を燃やすよう、みなさんもぜひチャレンジしてみてください。
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