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認知症患者の金融資産は200兆円!?注目される「金融ジェロントロジー」、変わる金融業界

LIMO / 2019年10月25日 18時45分

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認知症患者の金融資産は200兆円!?注目される「金融ジェロントロジー」、変わる金融業界

日本は高齢社会で現在の60歳の4人に1人が95歳まで生きる「長寿化」の問題に直面しています。

高齢社会になる中で、過去の資産運用の常識は現代社会に対応しているとは言い難くなってきました。

そこで注目されているのが「金融ジェロントロジー」という学問です。

ジェロントロジーとは日本語で「老年学」という意味で、長寿が社会や経済に与える影響を医学、心理学から研究する学問のことです。

これに金融を加え、長寿社会の金融の在り方を考える学問として金融ジェロントロジーが注目されています。

金融庁が公表した金融行政方針にも、後見制度支援信託等の金融ジェロントロジー関連項目が盛り込まれています。

健康寿命が延びたことで資産寿命も延ばす必要が出てきた

高齢社会で老後が伸びたことにより、過去の日本の寿命を基準に資産運用をしては不都合が生じるようになりました。

一人ひとりが長寿化した今の社会を生きるための働き方について考える機会も増えています。
資産運用も長寿化社会に合わせて変えていかなければなりません。

金融機関も投資家も共に長寿化に適応していかなければいけない時代です。

金融機関側に求められる対応

金融機関側も長寿化社会に対応した資産運用・管理のサービスの提供が求められています。

また金融と非金融の垣根を超えた連携もサービスの質を向上する際に必要なのではないかと言われています。

ネット証券も対面営業の金融機関も高齢社会に適応したサービスが求められていきそうです。

認知機能の低下した高齢者への対応

2018年に第一生命経済研究所が「認知症患者の金融資産が200兆円の未来(http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/pdf/macro/2018/hoshi180828.pdf)」というレポートを発表しました。

同レポートによると、認知症患者が保有する金融資産は2005年末の段階で約100兆円でしたが、2017年で約143兆円、2030年には215兆円に達するという内容です。

認知機能が低下した高齢者層には無視できないほど大きな資産があり、今後も規模は大きくなっていきます。

そんな人達に対する投資家保護、場合によっては認知症になる前の生前贈与で「老老贈与」「老老相続」なども今後問題になっていくでしょう。

そのような中で、金融ジェロントロジーにしっかり取り組める金融機関はますます求められるようになっていくのではないでしょうか。

親世代の資産運用を若い世代の目線でも見守るべき

親世代がネット証券や銀行で金融資産を保有したまま認知症が進んでしまい、親世代の資産が行方不明になるなどの問題もよくあります。

しっかりと親世代の資産状況をあらかじめ確認しておくことで、事前のトラブルを回避することができます。

また別居している親世代がリスクを把握しないまま、リスクの高い金融商品をすすめられるがままに買ってしまったということも珍しくありません。

認知症患者の金融資産が200兆円を超える時代です。

自分の親世代が認知症になってしまい、親世代の資産がどうなっているのか把握できないままトラブルにつながることもますます増えていきそうです。
家族で資産のあり方を話し合う機会を積極的につくっていくべきでしょう。

ワンストップ型サービスが今後、増えていく可能性

金融庁の金融審議会の議事録でも「ワンストップ」というのがキーワードになっています。
金融や資産運用と健康・生活・ライフラスタイルは切り離せない関係にあります。

ワンストップのサービスにはプライベートバンクが存在しますが、ITやAIを活用したロボアドバイザーなどのテクノロジーの進化によって、プライベートバンクに近いワンストップ型のサービスも今後増えていく可能性があります。

資産運用と同時にライフスタイルの提案や相続、場合によっては不動産の住み替えや地方・海外移住までも含めた提案ができる金融機関が支持される時代が来るかもしれません。

とくに米国では資産の増やし方だけではなく支出の減らし方も注目されています。

無駄な支出や出費をおさえるための助言も求められています。

総合的な視点からのファイナンシャルプランニングの提案ができることも、金融機関の付加価値として注目されるのではないでしょうか。

個人でできる高齢時代の資産運用

個人でも高齢時代に備えた資産運用を意識しなければいけない時代です。

例えば将来の自分を支えるためにiDeCoで所得控除を活用し節税しながら資産を積立てていく、今ある年金制度を前提に人生設計をしない、そして、資産形成ステージと退職ステージまでの長期視点を見据えた資産運用がますます必要になっていきそうです。

また少子化の続く日本において潜在成長率が低いままになるリスクがあります。
一方アメリカに目を向けると、先進国でも人口が増え続けており、労働生産人口の観点から有利な国もあります。

資産のポートフォリオを日本に一点集中せずに米国株などを保有することでカントリーリスクを分散することがより重要になりそうです。

【参考】
「認知症患者の金融資産が200兆円の未来」第一生命経済研究所

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