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急増する高齢者ドライバー、悲惨な死亡事故を減らす特効薬はないものか?

LIMO / 2019年11月1日 20時20分

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急増する高齢者ドライバー、悲惨な死亡事故を減らす特効薬はないものか?

今年も残り2カ月となりました。1年を振り返るには少し早過ぎるかもしれませんが、もうそんな季節が近づいたことは確かです。今年も新聞の社会面を賑わせた事件・事故が数多くありましたが、その1つが高齢者の運転による自動車事故です。

特に、4月に東池袋(東京)で起きた母娘死亡事故は大きな社会問題となり、現在も本質的な解決に至っていません。この2つは、全く無関係の人が巻き込まれる事故であり、とりわけ、幼い子供が巻き添えになって命を落としたことに対し、心を痛めずにはいられません。

ここ数年急増した印象が強い高齢者運転による事故

こうした最近の高齢者運転による事故を見る限り、故意でないのは当然として、過失とも言い難いケースが散見されます。具体的には、高齢による判断力の衰えのため、運転者本人は正常な意識を持っていたにもかかわらず、結果としては過失と見られる行動に繋がっていることです。

たとえば、本人は通常にブレーキを踏んだつもりでも、その反応が遅くなったため間に合わなかったことや、間違えてアクセルを踏んだことが挙げられます。

こうした高齢者の運転による自動車事故の問題は、3~4年前から急増してきた印象があります。一方で、自動車の性能という観点から見れば、衝突時の安全性は年々高まっており、また、高齢者にも運転しやすくなっているため、クルマそのものに原因があるとは考え難い状況です。

高齢者の運転による事故増発の背景には何があるのでしょうか?

運転免許保有者の100人に7人が75歳以上の高齢者、直近13年間で2.4倍増

ところで、高齢者が運転しているということは、当然ながら、運転免許を保有しているということです。そこで、高齢者の運転免許保有状況(警察庁資料)を見てみましょう。すると、昨今の高齢者による自動車事故が増えた要因を垣間見ることができます。

まず、「高齢者」の定義に関して、様々な見解はあるとは思いますが、ここでは一応、75歳以上としておきましょう。75歳以上の運転免許保有者は平成30年末で約564万人います。全保有者が8,231万人ですから、高齢者が占める割合は6.8%です。ザックリ言うと、運転免許保有者の100人に7人が高齢者ということになります。けっこう多いと感じた人も少なくないはずです。

さらに注目すべきは、その増加率です。実は、平成17年末における75歳以上の運転免許保有者は約237万人でした。つまり、この13年間で、高齢者の運転免許保有者が約2.4倍になっているのです。これはものすごい増加率と言っていいでしょう。なお、平成17年末の全保有者(約7,880万人)に占める割合は3.0%でした。

80歳以上の運転免許保有者が100人に3人という現実

感覚的には、これだけ高齢者の保有者が増えれば、自動車事故も増えて当然かもしれないと納得する人も多いでしょう。さらに、もっと高齢の80歳以上の運転免許保有者の状況を見てみましょう。ちなみに、前述した今年4月の東池袋における死亡事故の加害者ドライバーは何と88歳でした。80歳超の高齢者の運転による痛ましい事故は、決して珍しくない時代なのです。

平成30年末における80歳以上の運転免許保有者は約227万人います。平成17年末には約75万人でしたので、13年間でちょうど3倍に増加しました。なお、全保有者に占める割合は、平成17年末が1.0%、平成30年末が2.8%です。つまり、現在は、運転免許保有者の100人の約3人が80歳以上となっているのです(注:この3人は、前述した75歳以上の7人に含まれる)。

ここ数年、地方自治体は高齢者に対して、様々なクーポン券配布等により、運転免許証の返上を奨励しています。そして、その効果により、返上者数は着実に増加していると言われています。しかし、それでもなお、保有者における高齢者の割合が増加しているのが現状です。

一方で、こうした高齢者の運転免許保有者は、いわゆるペーパードライバーなど、実際には運転していない比率が高いという見方もあります。確かに、それは一理あるでしょう。しかし、日本国内の自動車保有台数が7,800万台弱、運転免許保有者数が8,200万人超であることからも、高齢者による“稼働率”は意外に高いかもしれません。

単純な年齢制限は不可能、官民一体となった対策が急務

いずれにせよ、ここ数年急増してきた高齢者による運転事故は、今後も増加していくことは確実です。そこで議論されているのが、運転免許の上限年齢の設定です。例えば、70歳以降は運転免許更新を認めないという類のものです。

しかしながら、このような単純な年齢制限を実施するのは、地方都市で生活する人々には死活問題です。地方では、最寄りのコンビニ店舗まで10km程度を要するのはごく普通であり、クルマの移動は必要不可欠です。100~200mおきにコンビニやスーパーが並ぶ都心とは全く異なります。

だからと言って、このまま毎年同じような悲惨な事故が起きるのを見過ごすこともできません。悲惨な事故を1件でも少なくするために、政府や地方自治体のみならず、自動車メーカーを始めとする民間企業も含めて、真剣に対応策を考えないといけません。

ただ、どのような施策になっても、各種法律の改正が必要になるため、相応の時間を要するでしょう。もう一刻の猶予も許されないというのは、決して言い過ぎではありません。

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