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漫画で知る「HSP:敏感すぎる人々」。あなたは”1人が一番楽”と思いますか?

LIMO / 2019年11月8日 19時45分

漫画で知る「HSP:敏感すぎる人々」。あなたは”1人が一番楽”と思いますか?

漫画で知る「HSP:敏感すぎる人々」。あなたは”1人が一番楽”と思いますか?

「HSP」をご存じでしょうか。近頃、インターネット上でちらほらと見かけられるようになってきた3文字です。これは「Highly Sensitive Person」を略した言葉で、日本語で言うなら「敏感すぎる人々」。心理学のエレイン・N・アーロン博士が提唱する概念です。

しかしHSPは病気でもなければ特にめずらしい人たちでもありません。私たちの5人に1人はHSPだと言われていますから、みなさんの日常の中にもHSPは当たり前に存在していて、もしかしたら本稿をお読みのみなさんご自身がHSPかもしれません。

Twitterではフェルミ研究所@闇の管理人(@denran1031(https://twitter.com/denran1031))さんが『HSPだった話』という漫画を投稿し、16万を越える「いいね」が集まっています。全部で18ページありますが、本稿ではその一部をごらんください。

漫画『HSP(超敏感すぎる人)だった話』


主人公の宮島ちずるは音に敏感な人として描かれています。「敏感」にもいろいろあって、音や光に敏感な人もいれば、匂いや触感に敏感な人もいます。

また、周囲で泣いたり怒ったりしている人がいれば同じ気持ちになってしまうこともありますし、ちずるのように誰かが言ったひとりごとが自分を非難しているように思えて不安を感じてしまうことも。

この漫画にはまだ続きがあります。ちずるは他者を慮る気持ちが強いために短いメールも慎重に綴って時間がかかったり、書類の中の1字だけフォントが違うことに気づいたり、また、それが気になってしまったり、とても気を遣います。

そんな風にさまざまなものに敏感に気づいたり気持ちが入ったりして1日を終えると、くたくたに疲れてしまいます。ちずるは帰宅してベッドに倒れ込み、つぶやきます。「1人が一番楽だ」。

決して人が嫌いなわけではなく、友人などと一緒に遊びに出かけるのはもちろん楽しいのですが、それでも1日を終えると疲れてしまいます。映画を見ればショッキングなシーンがあって驚いたり、強く感情移入してしまったりでくたくた。帰宅してちずるが思うのは「やっぱり1人が楽だ」。

HSPはどんな人? 4つの特徴

HSPとは具体的にどんな人なのでしょうか。その特徴は「DOES」という4つの頭文字で表されます。それぞれを簡単に見ていきましょう。当てはまることがあるか確かめながらごらんください。

Depth of Processing――ものごとを深く考える

たくさんのことを考え、またそれぞれを深く考える傾向があります。何かをするのに必要以上のことを考えて時間がかかってしまうこともある、というのは、先に紹介した漫画の中でもちずるがメールを書くのに時間がかかって上司に注意される件として描かれています。

HSPは「一を聞いて十を知る」ではありませんが、少しの情報から多くを想像し、考えることができます。またお世辞などのうわべだけの言葉もすぐにそれと見抜いてしまうなど、洞察力の鋭さも持ち合わせます。

Overstimulated――刺激を受けやすい

人と一緒にいると疲れやすく、人がたくさんいる場所は苦手。楽しいことでも刺激が多いと疲れてしまい、家に帰るとぐったり動けないほど。疲労から体調を崩すことも多いようです。

また、何だか不機嫌そうだとか素っ気ないとか、人の些細な反応に不安を感じ、あるいは傷ついて、それを長く引きずってしまう傾向があります。絵画や音楽など芸術作品に深く感じ入り、涙してしまうことも。

Emotional Reactivity and High Empathy――感情の面で反応しやすく、共感しやすい

仕種や声音などの些細な部分から人の気持ちを察することができる一方、その気持ちや表情や態度に影響されやすい面があります。楽しそうな人を見て楽しくなったり、イライラしている様子を見てイライラしたりという感じです。

職場で同僚が叱られていたりすると、自分が叱られたように感じてつらくなることも。引用した漫画の中でもちずるが「怒っている人が近くにいると自分が怒られてるみたいでつらかった」と述べています。また、映画やドラマや本に強く感情移入するなど、感情を大きく動かしてしまうことが多くあります。

Sensitivity to Subtle Stimuli――かすかな刺激に対する感受性が強い

音や光、匂いなどの刺激に敏感で、時計の秒針の音が気になったり、街に漂う香辛料の匂いで気分が悪くなったりすることがありますが、どのような刺激に対して敏感なのかは人によって異なります。肌にふれるものや食品添加物に対して敏感な場合もあります。

心身ともに敏感なために社会生活の中で大きな精神的ダメージを受けることも多く、「周囲の人たちのように生きられない自分はおかしい」と思うようになり、自己肯定感が低くなりがちです。

HSPが楽に生活するには

先の項に上げた4つの特徴をすべて持ち合わせるのがHSPです。さまざまな場面で敏感に多くの要素を受け取ってしまうために、とても疲れやすく、そのストレスが胃潰瘍や高血圧などのような身体症状となって現れる場合もあります。

こうした特性のために生きづらさを感じる場面も多いHSP。しかしHSPは生まれつきのものですし、そもそも病気ではありませんから、治すことはできません。では、HSPであるために生きづらく感じている人はどうすればいいでしょうか。

HSPであることがやめられないのなら、「HSPである」ということと上手につき合うということが必要になりましょう。そのためにできるいくつかのことがあります。自分はHSPだ、あるいはそうかもという人も、周囲の誰かがHSPだという人も、対処の方法を知っておきましょう。

1. 刺激の量を減らす

音に敏感な人はテレビやラジオをつけっ放したりしないよう気をつけて、外出する場合もBGMが常に流れている場所には長居しないようにしましょう。特に敏感な人はイヤーマフやノイズキャンセリング機能があるイヤホンなどを使って静かな環境を作ります。

まぶしいのが苦手な人は窓や戸口にカーテンを引いておいたり、照明の輝度を調節しましょう。スマートフォンやパソコンの画面もあまり見ないようにして、目からの刺激も情報からの刺激も少なくするのがいいでしょう。本稿未掲載の部分ですが、先の漫画ではちずるも「自分の身体に入ってくる情報をできるだけ減らす」という対処をしています。

2. 刺激を予測がつくものにする

同じ刺激でも、突然起こるものと予測できるものとでは、突然起こるものの方がびっくりする度合いが大きいものです。HSPは小さなことにもびっくりしやすいですから、できるだけ突然の刺激に遭遇しなくて済むようにしましょう。

具体的には、毎日の行動に時間や順番を設定して、ルーティンにしてしまいます。次に何をやるかがわかっていれば、そのときに起きることも予測がつきやすいです。毎日同じ時間に同じことを同じ順番でやるようにして、変化を少なくします。

3. 限界を越えない

これ以上刺激を受けては駄目、という限界点が、どの人にもあるでしょう。その限界点を迎える前に受ける刺激をとどめるようにするのです。疲れてきたとか何だかイライラする、ものごとの判断がつきにくくなってきたなど、「そろそろ限界かも」という兆しが現れたら、そこでそれ以上の刺激を受けないよう休みます。

人がいないところで何もせずにボーッと1日を過ごしたり、ときには物事から逃げることも必要です。「人と会わない」ことや「何もしない」こと、「逃げる」ことは悪いことではありません。自分が心地よく、楽にいられる環境をつくり、可能な限りそこで過ごすのがいいでしょう。

まとめ

HSPにとって、世の中は強すぎる刺激でいっぱいです。たくさんの強い刺激にさらされて、いつも疲れています。先に引用した漫画でちずるが「1人が一番楽だ」と思うのも無理はありません。

大勢の中で働くのが苦しいなら、1人でできる仕事をするのもひとつの選択です。ちずるも会社を退職し、ハンドクラフトで作った品を販売して生活するようになっています。そのおしまいの部分を次に引用します。


HSPの特性を活かして自宅で1人、ハンドクラフトをする生活を始め、作品にうれしい感想をもらったちずる。自分を肯定できるようになりました。HSPである自分をそのまま受け容れ、肯定することが、生きづらさを克服する大きな一歩となります。

繰り返しますが、HSPは病気ではありません。しかし、生きづらさが重なってしんどい状態が続くと病気につながることもあります。メンタルがつらい場合は精神科へ、体調が悪い場合は具合の悪い部位に合った診療科で、病気になる前に診てもらいましょう。

具合が悪いと感じる前に、「もしかしたら調子悪い?」というくらいで早めの受診が肝心です。HSPもHSPでない人も、健康でしんどくなく生きていけますように。

【参考】
「【漫画】HSP(敏感すぎる人)になるとどんな生活になるのか?(https://youtu.be/ZIqw15uNYqU)」【マンガ動画】(フェルミ研究所)
「過敏で傷つきやすい人たち HSPの真実と克服への道(https://www.amazon.co.jp/gp/product/4344984617/ref=as_li_qf_asin_il_tl?ie=UTF8&tag=navipla-22&creative=1211&linkCode=as2&creativeASIN=4344984617&linkId=8b77c588e891af6008f76d842d47e484)」(岡田尊司/幻冬舎新書)
「HSP!自分のトリセツ~共感しすぎて日が暮れて~(https://www.amazon.co.jp/gp/product/4866260513/ref=as_li_qf_asin_il_tl?ie=UTF8&tag=navipla-22&creative=1211&linkCode=as2&creativeASIN=4866260513&linkId=27baacafb213b6d2dbe5aebe8a23754b)」(高野優/1万年堂出版)

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