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2019年第4四半期投資見通し:リセッション懸念が投資機会をもたらす <HSBC投信レポート>

LIMO / 2019年11月8日 21時15分

2019年第4四半期投資見通し:リセッション懸念が投資機会をもたらす <HSBC投信レポート>

2019年第4四半期投資見通し:リセッション懸念が投資機会をもたらす <HSBC投信レポート>

この記事の3つのポイント

リセッション間近とする市場の懸念は行き過ぎ

2017年から2018年初頭にかけての「ゴルディロックス経済(適温経済)」の再来を期待すべきではない

株式は相対的に割安

2019年に入ってこれまでの投資リターンは軒並み好調でした。債券は10%程度上昇し、株式とオルタナティブ投資はそれを上回る収益を上げました。しかし、投資家は、ブルマーケットと感じるどころか、その逆のような感覚を抱いています。

逆イールドが発生し、世界の債券の3分の1がマイナス金利で取引されるなど不穏な兆候が出ています。製造業のシクリカルな弱さ、政治の不透明感、政策当局者の手詰まり感から「不確実性の嵐」が巻き起こっています。投資家として舵を取り、この嵐を乗り切ることが必要です。

マクロ環境の動向だけでなく、市場が何を織り込んでいるかを理解することも重要です。短期的にはHSBCのマクロのベースシナリオは特に楽観的ではなく、景気の低迷、低インフレ、低金利の長期化を予想しています。しかしそれに対し市場は、政策の効果が見込めず、企業収益は大きく減少するとの前提のもと、すでにリセッションを織り込んでいます。

経済成長と企業収益は圧迫されているものの、まだ減少には転じておらず、景気サイクルは減速局面にあるに過ぎないとHSBCは考えています。世界の労働市場とサービスセクターは底堅さを保っています。現在は、悲観的ムードの中のブルマーケットと言えます。HSBCのマクロ見通しは慎重ながら比較的明るい内容であり、リスク選好型でかつ保守的な投資戦略が理にかなっています。

株式は債券とのバリュエーション格差が大きいだけに、上振れ余地の可能性をつかみたいところですが、市場の不確実性を考慮して過度のリスクを取らないよう注意しています。HSBCは世界の株式をオーバーウェイトとしていますが、政治をめぐる懸念とリセッションへの不安から世界の株式の上振れ余地は抑えられています。

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拡大する(/mwimgs/b/5/-/img_b5ee1e470cff7b2d40f32c1b3b57fc4f63339.jpg)

米国‐アンバランスな世界経済

米国経済は2018年に記録した高い成長率からは低下しましたが、他の国と比べると依然として堅調に推移しています。消費支出は好調であり、米国の経済成長の柱として、冴えない世界経済を牽引していると言えるでしょう。

米国経済は減速が予想されていますが、緩やかなインフレと極めて低いインフレ期待のおかげで、米連邦準備制度理事会(FRB)にはさらなる利下げ余地も残されているとHSBCでは考えています。米国の経済成長が長期トレンド以下に大きく落ち込むことは回避されるでしょう。

HSBCは市場が2つのシナリオの平均を織り込んでいると考えています。1つは経済がそこそこのペースで成長し続けるというシナリオ、もう1つは下振れリスクが現実のものとなりFRBによる積極的な利下げが必要になるシナリオです。

アジア‐安定と好転

中国では好転の兆しが出ており、またこれまでの緩和策による景気の下支えが続くとみられます。マクロ環境が再び弱体化した場合、当局が介入して状況を安定化できるでしょう。しかし、政策にまつわる戦略は力強い景気の好転を目指すというより、リスク管理の側面が強いと考えています。

新興国でも成長は安定化するか、少なくとも悪化のペースが鈍化する兆しが出ています。新興国株式は相対的に割安であり、マクロ経済と政治の主要なリスクが顕在化しなければ、アウトパフォームする可能性があります。これは、中国におけるマクロ経済の動向、米国の債券利回りの年内の大幅な低下、新興国の利下げがそのカギを握っているとみられます。

現時点で、HSBCはアジアの債券をオーバーウェイトとしています。リスク調整後のリターンはアジアのハイイールド債で魅力的な状態が続いており、そうしたリスクを取る投資家への見返りは大きいと考えています。

欧州‐量的緩和(QE)はドラギ総裁の置き土産?

ユーロ圏は製造業と貿易統計が低調であり、主要国の中で精彩を欠いています。中でもドイツはテクニカルリセッションに陥るリスクがあります。一方、世界の製造業サイクルと自動車セクターへのエクスポージャーが少ない分、ユーロ圏の一部の国はドイツより健闘しています。

欧州の債券は引き続きリスクプレミアムが大幅にマイナスになっています。マイナス金利の中にありながらも、欧州でデュレーションリスクを取る投資家は損失を被る恐れがあります。

ドラギ総裁は先月、量的緩和(QE)の再開を発表しましたが、銀行セクターに対するこの政策は重要なイノベーションだと考えています。欧州中央銀行(ECB)が小幅の利下げに踏み切り、同時に銀行セクターの自己資本コストを下げることができれば、政策が成功する確率は大いに高まります。

しかし、そうなったとしても、緩やかな経済成長とわずかな物価上昇圧力が、当面期待できる成果としては関の山でしょう。

HSBCグローバル・アセット・マネジメント チーフ・グローバル・ストラテジスト ジョー・リトル(Joe Little)

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