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「かつて、私はいじめっ子でした」…母親になった今、思うことは?

LIMO / 2019年11月15日 10時45分

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「かつて、私はいじめっ子でした」…母親になった今、思うことは?

「因果応報」「親の因果が子に報う」という言葉があります。果たしてこれは本当なのでしょうか?今回は、かつていじめっ子だった人たちが親になったとき、どのような心境なのか…リサーチしてみました。

彼女たちは今、昔の自分の罪を悔い、我が子がその報いを受けないだろうかと戦々恐々としているのか。それとも過去のことなど忘れて、子どもに「いじめは絶対にいけないこと」としたり顔で説いているのでしょうか…?

かつて私は「いじめっ子」でした

今回お話をお伺いしたのは、小学2年生の女の子の母親、A子さん(43歳)。A子さんは中学校時代、ひとりのクラスメートに執拗ないじめを“していた”…と告白してくれました。

「きっかけは些細なことでした。中学2年生の時、私の好きだった男の子が、クラスメートのSちゃんに片思いをしている…という噂を耳にしたこと。Sちゃんは、いつも『Aちゃんは可愛いし、人気者だよね。私なんか全然目立たないから』『Aちゃんには本当、憧れてるの』と私のことを持ち上げるような発言を繰り返していました。中学のとき、確かに私はクラスでも中心的な存在。みんなが憧れている上級生から告白されたこともあり、自分でも目立った存在だということは自負していたんです」

「放課後Sさんと男子生徒が教室に残っていた」「Sさんと男子生徒が授業中、目配せで合図を送っていた」などという噂が飛び交うたびに、否定も肯定もせず、恥ずかしそうにほほ笑むSさんに、Aさんは次第にいら立ちを覚えるようになったのです。「Sちゃんは私の好きな人を知っていたんです。それなのに…。私はSちゃんに馬鹿にされているような気がしてなりませんでした」

AさんはSさんに報復を決意。最初はグループ内の無視から始まります。それがだんだんエスカレートしてクラス全体で無視。Sさんの席を廊下に出したり、Sさんがトイレに入っているときに、上からホースで水をかけたり、体操服を隠したり…。「当時はSちゃんが私のことを馬鹿にしたのだから当然の報いだ、と思っていました。Sちゃんが謝ってきたら許してあげようと。でも、彼女は決して謝らなかった。今思うと当然ですよね、悪いことしていないのだから。でも当時はそれがまた腹が立って…」

中学2年、3年とSさんをイジメて過ごしたAさん。卒業文集に、Sさんは一言「面白くなかった」と残したのだそうです。Aさんは、当時から自分はイジメをしている、という自覚はあったのだそう。しかし、担任の先生も見て見ぬふり、クラスメートもみんな自分に同調してくれる、それに何よりSさんをいじめることによってストレス解消になっていた…いろいろな要因が重なり、「悪いことをしている」という感覚は皆無に等しかったのだ、と言います。

我が子への想い

Aさんの話を聞いた筆者は少々いじわるな質問を投げかけました。「Aさん、あなたの子どもがもしいじめられたら、かつてのあなたのように、『理由があるからいじめられるのは仕方ない』とお子さんに言えますか?」

Aさんははっとしたような顔をした後、うつむいてこう答えました。「それは無理ですね。自分勝手かもしれないけれど、学校や相手の親に徹底的に抗議すると思います」

「では、あなたのお子さんが誰かをいじめたら?」Aさんはしばらく考え込んだ後、こう言いました。「いじめはいけない、と娘をきつく叱り、相手のご両親に謝罪に行きますね…」

そしてAさんはこう続けました。「Sちゃんには本当に悪いことをしたと思っています。けれど日々の生活では、かつて自分がいじめていたことなんてほとんど忘れています。Sちゃんのことを思い出すこともありません。自分がいじめっ子だったから、娘もその遺伝子を引き継いでいじめっ子になるのでは?なんて考えたこともありませんし、他の親御さんと同程度に、『我が子が誰かにいじめられないかな』という心配はしています。ムシが良いのかも知れませんが、中学校時代のことはもう過去のことなんです」

席を立つAさんを見送りながら「もし、Aさんの娘さんに『お母さんの中学時代のお話をして?』と言われたら…Aさんはどんな話をするのだろう」と思った筆者でした。

いじめっ子だったあなたへ「我が子に胸をはれますか?」

誰かをいじめた経験のある人、傷つけた経験のある人が、残りの人生、一分一秒欠かさず懺悔し続けて暮さなければいけない…とは思いませんし、幸せになってはいけない、とも思いません。ただ、「いじめっ子だった」という十字架は一生背負っていくべきではないか、と思います。

Aさんの話しぶりからして、きっとAさんは子どもに「自分がかつていじめっ子だった」ということを打ち明けることはないでしょう。しかし、何かあるたびに、過去の自分を思い出して胸が痛むはず。…そうあってほしい、と思ってしまうのです。

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